たまにTVのCMで「これはいったいなんなの?」っていうのがありますね。商品を説明するでもなく、ただ会社名だけを控えめに最後に添える感じのが。就職活動の学生に向けてのイメージ広告だったり、いろんな意味や背景があるんですが、最近では、やっぱりUs3の「
Cantaloop」を使用した某分譲マンション会社のCMに尽きるでしょう。ということで、今回はUs3のデビューアルバム『
ハンド・オン・ザ・トーチ』をピックアップします。
いわゆるアシッド・ジャズというブームが90年代前半にイギリスであったのですが、その中でも、知名度/セールス/チャート的に飛び抜けていたのがUs3といえるでしょう。しかも特殊なのは、リリース元がジャズの老舗であるBLUE NOTEであるということ。いわゆるアシッド・ジャズ系の中でも、ジャズ・ヒップホップ的な展開をしていたUs3は、その他多くのバンド/プロジェクトが消滅・解散していった中、ブラン・ニュー・ヘヴィーズや
インコグニートらとならび、まだ現役でバリバリ活動しているのも特徴です(新作『
Say What?』もリリースされたばかり)。
それではざっと経歴を。核となるのはDJ/プロデューサーであるジェフ・ウィルキンソンと、エンジニアであるメル・シンプシンの二人。Us3としての活動は’92年からなんですが、実際にはその前にプロトタイプとして「Where Will We Be In The 21st Century」というホワイト盤に、
コールドカットのNINJA TUNEからNW1名義で「The Band Played The Boogie」というBLUE NOTE音源を使用した作品をリリースしています。そして、この「The Band Played The Boogie」を耳にした、イギリスでBLUE NOTEを管理しているCAPITAL RECORDSから彼らは呼び出しをくらってしまいます。当然、無断でサンプリングをしているから怒られるのかと思いきや、BLUE NOTE音源の使用を許可するので、作品を作って欲しいということに。ダンス・ミュージックに対するイギリスのレコード会社の懐の広さを示すエピソードですね。そうしてUs3が誕生するわけです。2ndアルバムからはメル・シンプシンが離れ、実質ジェフ・ウィルキンソンのソロ・プロジェクトとなるのですが、そんなことはさて置いて、デビュー曲にて
ハービー・ハンコックの「
Cantaloupe Island」をサンプリングした、冒頭で触れた「
Cantaloop」をドロップ。タイトルが微妙に変わっているのは、古いものと新しいものをループするという意味が込められているからです。ループはダンス・ミュージックの基本ですしね。アルバム『
ハンド・オン・ザ・トーチ』は’93年のリリースで、当然BLUE NOTE音源のサンプリングが満載。しかし、ただ単にメジャーなネタを使って一丁上がりということはありません。サンプリングと生の音をうまく融合させることで時代の垣根を越えさせ、古いリスナーも新しいリスナーも納得させた訳ですね、ジャズ・ラップを基本としたUs3スタイルで。このアルバムからは、他に「
Tukka Yoot’s Riddim」に「
I Got It Goin’ On」もカットされています。面白いのが、イギリスでは最高位が「
Cantaloop」での23位だったのに対し、少し遅れること’94年に全米でカットされた「
Cantaloop」は、ナント9位にランクインします。
本当はネタ元も触れるのが親切なんでしょうが、数が膨大なのと、パッと聴いて解る範疇ではないということで今回はこの辺でお開きに。しかしもう15年近く経っていることが一番の驚きです。