今回は
サマーソニック・ゼロセブンにも出演したイギリスの過激なコンビ、ヤング・パンクス!をピックアップします。日本でクラブ・ミュージックがブレイクスルーするポイントは、だいたい縦ノリのロック・テイストが入り、クラブ媒体以外にピックアップされる場合が殆どで、ヤング・パンクス!もご多分に洩れずこうした傾向を踏襲していると言えます。そのため、デビュー作である『
ユア・ミュージック・イズ・キリング・ミー』は日本先行でリリースされました。
まず細かい音の説明の前に、ヤング・パンクス!は、ハル・リットソンとキャメロン・サンダースから成ります。で、どうしても触れておきたいんですが、かつて90年代前半に3BEAT MUSICで活躍したニュー・アトランティックというコンビがいました。「I Know」(’92年全英12位)を筆頭に、「Into The Future」(’92年全英70位)、「Take Off Some Time」(’93年全英64位)、アルバム『Global』も残していて、ベリをフィーチュアした「The Sunshine After The Rain」(’94年全英26位)なんてヒット曲もあります。そこでリチャード・ロイドとコンビを組んでいたのが、キャメロン・サンダースだったのです。当時のピアノなレイヴ・サウンドからすると、今のヤング・パンクス!の音は想像出来ないんですが、ロック畑出身のハル・リットソンの出会いにより、掛け合わせ(マッシュアップ)を信条とした“ごった煮”サウンドは功を奏し、一躍人気を得ることになります。ロッキンで即時的な解りやすさは、
ノーマン・クックにも気に入られ、彼のサイド・プロジェクトであるマイティ・ダブ・カッツや、シケインのリミックスなどもこなすようになりました。そしてここでも聴けるように、「
You’ve Got To…」ではノーマン・クックがリミックスを手掛けています。
’03年にヤング・パンクス!を結成した初期の頃は、そのものズバリのネタ、それはある種反則技スレスレな違法作品が多く、これまでに
マドンナ(余談ですがこの「Dance With Someone Else」のBサイドのリミックスはニュー・アトランティック名義でした)、モーターヘッド、『マトリックス』などを使ってきていて、こうしたことからRADIO ONEのベスト・ブトレッガーという賞にも輝いています。しかしながら、所詮全てのライツをクリアするのは大変なので、過去の財産を形を変えながら再生・再利用し、そこに自分たちのアイデンティティを組み込むことで、新たなヤング・パンクス!を形成し、今回のアルバムを完成させています。ということで、先述したものは含まれていませんが、「
ロッキーのテーマ」をフィルター・ディスコ仕立てにした「
Got Your Number」や、「
Young And Beautiful」に「
Rockall」といったシングルは収録されています。ネタ明かしをすると面白くないと思いますので、アルバム収録曲の細かい出自は自身で探ってみましょう!!
違った形という意味では、スウェーデン・ハウスの雄、スティーヴ・アンジェロと共同リミックスを手掛けていて、しかもその作品はヤング・パンクス!の変名であるモヒート名義のものでした。他にもスウェディッシュ・コネクションは活きていて、ハル・リットソンはエリック・プリッズ(註:プライズと発音する人が多いですが間違いです)の「Call On Me」に、スーパーモード(アクスウェル&スティーヴ・アンジェロ)の「Tell Me Why」に至ってはボーカリストとしても参加しています。他にもラヴフリークスの「Shine」に関わっていたりと、もともとダンス畑でなかったハル・リットソンの方が引く手数多な現象が起きています。
ディスコでハウスでロックで時にブレイクスでドラムンベースな異端児は、ヒットを契機にポップなクラブ・ミュージックに昇華されたということですね。