ボーカリスト、特にハウス系に於いてはプロデューサー先行型になって久しいので、活動の場を失う人も少なくありません。今回紹介する
アディーヴァも、そんなひとりかもしれませんね。
グレース・ジョーンズばりのハードなルックスで、ゲイ人気も高かった
アディーヴァ、本名パトリシア・ダニエルズは、いわゆるハウスの中でも、ガラージ系で人気のシンガーで、出身地がニュー・ジャージーということもあり、トニー・ハンフリーズの強力なサポートを受けてデビューしました。
今回紹介するのは、もっとも勢いのあった時代の作品(実質2枚のアルバム)を纏めた’96年リリースのベストアルバム『
Ultimate Adeva』です。まずデビュー時から順に振り返っていきましょう。ここには収録されていませんが、’88年の「In & Out Of My Life」でクラブ・シーンの注目を浴び、続く「
Respect」が’89年全英17位を記録し、世界的に認知されます。この曲は元々
オーティス・レディングの曲なんですが、
アレサ・フランクリンのカバーで知られています。続けて、プロデューサーであるポール・シンプソンのフィーチャリングという形で出された「
Musical Freedom」が全英22位。こちらはマーティン・ルーサー・キングをサンプリングしている憎い曲でした。そして「
Warning」が全英17位と、’89年に一気にブレイクします。このあと1stアルバム『Adeva!』がリリースされ、こちらは全英6位。アルバムの人気の高さから、その後も続々とシングルが切られ、「
I Thank You」(全英17位)、「
Beautiful Love」(全英57位)、「
Treat Me Right」(全英62位)といった具合です。
’91年には、UKのラッパー、モニー・ラヴとの「
Ring My Bell」がスマッシュヒットし、全英20位を記録します。
マドンナの「
Vogue」クリソツなところもビックリです。ちなみにアニア・ウォードのディスコ・クラシックとは無関係。このあと「
It Should’ve Been Me」(全英48位)、「
Don’t Let It Show On Your Face」(全英34位)、「
Until You Come Back To Me」(全英45位)のヒットを放ち、この辺は’91年発売の2ndアルバム『ラヴ・オア・ラスト?』に収録されています。ちなみに「
It Should’ve Been Me」のサイモン・ダンモアによるタッチダウン・ミックスは、DEF MIX調のピアノ・ハウスで感動的です。
その後、’92年に「
I’m The One For You」(全英51位)をリリースしたり、過去曲のニュー・リミックスに加え、フランキー・ナックルズのアルバム『Welcome To The Real World』に全面参加し、「Too Many Fish」(全英34位)や「Whadda U Want(From Me)」(全英36位)が’95年にヒットし、’97年には3rdアルバム『ニュー・ダイレクション』をD-インフルエンスや
Kクラスなどをプロデューサーに迎え制作しますが、以前ほどの目立った成果を残せず現在に到っています。一応、次のアルバムに向けてレコーディング中という情報も入っているので、是非とも見事なカムバックを果たして欲しいものです。その前に、ハウスが輝いていた時代の作品、聴いてみて下さい。