今やシンガーとしてではなく、DJとしての名を見かけることも多くなったネナ・チェリーのデビュー作にして代表作『
ロウ・ライク・スシ』をピックアップします。
上記の書き方だと語弊があるかもしれませんが、90年代後半からソロ活動よりも客演の方が多く、最近ではサーカスというユニットも組んでいて、表立ったソロ・リリースがない分、そう見えてしまうのかもしれません。実際、気付いていないだけで、みなさんがお持ちのCDにも彼女が参加しているものがたくさんあるはずです。例えば、パルプ、グルーヴ・アルマダ、ゴリラズ、パーム・スキン・プロダクションズ、ティモ・マース、最近だとアゴリアなどなど。
ネナ・チェリーは、スウェーデンのストックホルムで音楽家の家に生まれたのですが、実際の親よりも、義理の父親が有名なため、ドン・チェリーの(義理の)娘と紹介されることが多いです。ちなみに兄弟にティティヨと
イーグルアイ・チェリーがいます。そんな彼女は渡英後、80年代前半はポップ・グループからの分派=リップ・リグ&パニックや、ニュー・エイジ・ステッパーズ、
ザ・スリッツなどに参加しています。ソロとしてのデビューは’88年の「
Buffalo Stance」。察しのいい方は感付いたと思いますが、
マルコム・マクラーレン亭のときに取り上げた「
Buffalo Gals」をベースにしています。しかもプロデュースをボム・ザ・ベースのティム・シムノンが手掛けるという最高布陣。結果、いきなりの全英3位を記録します(全米では翌年3位)。そもそもこの曲、ストック/エイトキン/ウォーターマンがプロデュースしたモーガン・マクヴィというデュオの「Looking Good Driving」という曲をベースにしているんですが、(キャメロン・)マクヴィは彼女の旦那なんですね。そのため、’89年リリースの本作『
ロウ・ライク・スシ』のプロデュースの大半を手掛けているのが、ダイナミック・デュオの片割れでもあり、ブーガ・ベアと名乗っている旦那様なのでした。しかも冒頭に触れたサーカスのメンバーでもあります。深い絆で結ばれているんですね。
’89全英5位を記録した2ndシングルである「
Manchild」に目を向けても、
マッシヴ・アタックの
3Dやネリー・フーパーが関わっているなど、アルバムにはブリストル人脈が活かされていて、他でもDJマッシュルームが参加しています。シングル曲は、アルバムでは1曲目から順にカットされ、3rdシングルは「
Kisses On The Wind」(’89年全米8位、全英20位)、「
Inner City Mama」(’89年全英31位)となっています。隠れた名作と言えるのではないでしょうか。
最後ですが、前述した客演のところで敢えて触れなかった人がいます。それは
ユッスン・ドゥールとの「
7 Seconds」、個人的にはコレがベストだと思っています。機会があれば、そちらも是非聴いてみて下さい。