つい最近、「
Der Kommissar」という80年代初期の楽曲をふと思い出したように掘り起こし、カラオケのような合成がモロばれのビデオ・クリップを見て大笑いしていたんですが、考えたらここでオーストリア出身の伊達男、ファルコをまだ紹介していないことに気付き、今回は代表作である’86年の
『ロック・ミー・アマデウス〜FALCO3〜』を取り上げたいと思います。
ファルコといっても、実際問題’98年に交通事故で亡くなってしまっているので、新譜を聴くことはもう出来ないんですが、改めて聴いて欲しい80年代を代表するアーティストの一人です。というのも、代表曲である「
Rock Me Amadeus」は非英語のシングル…この場合はドイツ語と英語のミックス…として全米のビルボードとキャッシュボックス誌(’96年廃刊)の2つのチャートでNo.1になっていて、’63年のシンギング・ナンの「Dominique」以来の快挙ということで、当時のブレイクぶりを窺い知ることが出来ると思います。ちなみにドイツの
ネーナの「
99 Luftballons(邦題:ロックバルーンは99)」はビルボードでは2位だったので残念ながら記録に残りませんでした。ラップを基調としたダンス・サウンド、同郷の音楽的先駆者であるアマデウスことモーツァルトをピックアップするなど、それはもういろんな意味で大騒ぎでした。結果、このモンスター・トラックは’86年に全米では3週連続No.1、全英でも1位を記録します。
ファルコの名が一部で知られることになったのは、遡ること4年、冒頭に触れたディスコ・チューン「
Der Kommissar」が、様々なアーティストにカバーされるほどヒットしたからで、中でもアフター・ザ・ファイアーのバージョンは’83年に全英47位まで上昇しました。
ということでいきなり登場したわけではないのですが、「
Rock Me Amadeus」のヒットで彼の名を知った人も多いことでしょう。実際このあと
『ロック・ミー・アマデウス〜FALCO3〜』から次々とシングル・カットされ、「
Vienna Calling」が’86年全米18位、全英10位、「
Jenny」が’86年全英68位を記録しています。アルバムでは「
Rock Me Amadeus」がロング・バージョンで収録されているため、歌詞がほとんどないサンプリングを多用したものになっていて、日本盤には聴き取りで起こした歌詞が掲載されていました。そのため「パ・パ・パ・パ・パン粉」と空耳状態の箇所が“falco”と表記されていて、実際はオリジナルの歌い出しの“Er war ein Punker”という箇所の“Punker”をサンプリングしていて間違っていたという、全く役に立たない小話です、スイマセン。ついでに言えば、島谷ひとみさんの「Falco」も全くもって関係ありません。
話題をアルバムに戻しましょう。プロデューサーであるボランド兄弟とのタッグは大成功し、どれをシングルにしても通用する仕上がりになっています。おバカな感じに聴こえる作品も多いですが、特に「
Jenny」は強姦殺人をテーマにした問題作で、放送禁止になった国もかなりの数にのぼりました。さて最後にもうひとつだけ役に立たないけど、知っているとちょっぴり嬉しいネタをご紹介。グラミーの“ベスト・リミックス”部門に輝いたこともあるクラブ69のピーター・ラウホファーは、その昔ファルコをリリースしていたオーストリアのGIG RECORDSで働いていました。その彼が、のちにクラブ69名義でファルコのリミックスを手掛けることになるとは奇妙な巡り合わせではないでしょうか。