先日、『Malcolm McLaren Profile 1984』というDVDが国内盤としてリリースされました。タイトルにある通り、
マルコム・マクラーレンの衝撃的なデビュー作『Duck Rock』に続く、2ndアルバム『Fans』を制作中に取ったインタビューをまとめたものなんですが、当時の雰囲気がビシバシ伝わってきて、あの時代を過ごした人ならば、興味深い話がたくさん聞けます。ただ、BBCの番組をパッケージしたものなので、収録時間が短いのは少し不満ですけど(笑)。
とはいえ、ここでいきなり
マルコム・マクラーレンの名前を出しても、大多数の人が知らないかもしれません。
セックス・ピストルズのマネージャーだったとか、ヴィヴィアン・ウェストウッドのパートナーだったとか、形容詞はいろいろあれど、一番相応しいのは、時代の仕掛人とか、稀代の詐欺師といった称号でしょうか。
今回紹介する『
バッファロー・ギャルズ-Back To Skool』は、’83年の『Duck Rock』を再解釈し、ヒップホップ系のアーティストが参加した’98年の作品です。わざわざ『Duck Rock』をリコンストラクトするのにはそれなりの意味があります。まず「Buffalo Gals」(’82年全英9位)に於けるスクラッチ/ヒップホップの導入が、商業的なレコードとしては初であったこと、アルバム全体がのちのワールド・ミュージックを先取りしていたことなどなど。そしてサウンド面で最も重要なのは、ミュージシャンではなくパフォーマーである
マルコム・マクラーレンのアイディアを表現するため、トレヴァー・ホーン指揮のもと、のちのアート・オブ・ノイズのメンバーが総力を挙げてこのアルバムを仕上げていたのです。このアルバムからは、他に「Soweto」(’83年全英32位)、「Double Dutch」(’83年全英3位)、「Duck For The Oyster」(’83年全英3位)がチャート入りしています。アメリカでは「World's Famous」(この曲、僕が高校時代によく聴いていたラジオ番組でジングルとして使われていたので印象深いです)、「Hey D.J.」と「Radio Man」の3曲がR&Bチャート入りしています。
本作をいつ紹介するんだ!と突っ込みが入りそうですが、しばしお待ちを。この辺を説明しないと意味合いが変わってきますので。そういうわけでエポック・メイキングだった『Duck Rock』が、『
バッファロー・ギャルズ-Back To Skool』では、
ラキム、KRSワン、デ・ラ・ソウルといったメンツに委ねられ、アップデートされています。シングルとしてカットされた「Buffalo Gals Stampede」(’98年全英65位)は、ハウスのロジャー・サンチェスが手掛けています。また、新しいファンだけでなく、昔を知る人にとっても、当時のアルバムに入っていなかった「
Do You Like Scratchin'?(Original)」に「
Hey DJ (Original 12"Mix)」に「
She's Looking Like Hobo」といった作品が並列で収録されているのも嬉しい限りです。
どんなに悪く言われようとも、こうした仕掛人がいた時代の方がワクワクしと思うのは僕だけでしょうか。
マルコム・マクラーレンがいなかったら、パンクもニュー・ロマンティックも
マドンナの「
Vogue」も生まれてなかったのは紛れもない事実ですからね。