家で聴くハウスとフロアで聴くハウスは同じハウスでもかなり異なるんですが、特徴的にジャズ/クロスオーバー系のものがオウチで好まれます。しかもこうした音楽の源流を辿ると、アシッド・ジャズに行き着き、更に遡ると、その前のジャズ・ファンク的な時代になるわけですが、今回はそうした時代の生き証人でもあるジャン=ポール・モーニック率いる
インコグニートの『
ザ・ベスト・リミックス・イン・ザ・ハウス(Remixed)』を取り上げます。
ジャン=ポール・モーニックは、アフリカのモーリタニア・イスラム共和国出身で、12歳で家族とともにイギリスへ移り住んでいるんですが、’79年にはライト・オブ・ザ・ワールドに参加し、’80年には
インコグニートを結成しています。しかも当時出したアルバムがそのままズバリ『
Jazz Funk』で、時代背景が窺えます。言ってみれば、TALKIN LOUDの看板アーティストとして頭角を表す以前から活動する大ベテランなわけです。ただ、アシッド・ジャズ・ムーヴメントの中心的存在になるまで、
インコグニート名義での活動を一時停止していたり、それこそ「Southern Freeze」や「I.O.U.」のヒットを放った僕の大好きなフリーズにも参加してましたし(中心人物でもあるボーカルのジョン・ロッカは後年ハウスへ移行)、ザ・ウォーリアーズなんてプロジェクトもやっていました。
では、第二期の
インコグニートはというと、やはり’91年の「
Always There」(’91年全英6位)以降になります。
ロニー・ロウズの名曲をカバーしたもので、ジョセリン・ブラウンがボーカルを務めていたのも記憶に新しいです。ここでは、1でマスターズ・アット・ワークのリミックス、8でデヴィッド・モラレスのリミックスが聴けます。残念なのが、一番クラブでプレイされたのがモラレスの手掛けたインスト・バージョンなので、CDにはそちらを収録して欲しかったです(個人的主観でスイマセン)。余談ですが、同曲は同じくアシッド・ジャズ系のジェームス・テイラー・カルテットも演っています。
このリミックス・アルバムでは、マスターズ・アット・ワークが他に「
Everyday」(’95年全英23位)と「
Jacob’s Ladder」(こちらは
ニューヨリカン・ソウル名義)、ロジャー・サンチェスが「
I Hear Your Name」(’95年全英42位)、「
Givin’ It Up」(’93年全英43位)、「
Pieces Of A Dream」(’94年全英35位)の3曲を手掛けています。
面白いところでは、ブルーノの息子が、ドラムンベース・スタイルで「
Barumba」を手掛けています。そういえば、フュージョン色が強いとはいえ、同じラインである
シャカタクでも、息子がハウス・リミックスしていたりするのも奇妙な偶然です。
このリミックス・アルバムは、邦題にもあるように、ハウス・リミックスがメインとなっていますが、ピート・ロックによる「
Roots」なんてのもあります。どれも原曲が有名なだけに、リミックスを聴けば、オリジナルとの相違が分かり易いのではないでしょうか。