今回は、以前サンドラ亭のときに軽く触れたことがある
エニグマをピックアップします。ちなみに、昨年ベスト・アルバムが激売れした
サラ・ブライトマンの現在のパートナーであるフランク・ピーターソンは、元々
エニグマに関わっていた人物で、同時にグレゴリアンというプロジェクトも仕掛けていることから、サラのアルバムにはポップでありつつクラブ・ファンも納得のチル感覚が備わっていたんです。
エニグマの心臓はマイケル・クレトゥという人物ですが、当初はかなりミステリアスなプロジェクトで、だからこそ
エニグマ=謎・不可解な物という名前もシャレが効いたのですが、デビュー曲である「
Sadness Part 1」が’90年末に全英No.1になってしまい、隠されれば知りたくなるのが人間の本質というもので、すぐさま素性がバレてしまいます。しかも奥方であるサンドラもしっかり参加していたわけです。このプロジェクトの何が画期的だったかというと、簡潔に言えばグレゴリアン聖歌とクラブ・ミュージックの融合、もっと絞ればグランド・ビートに乗ったグレゴリアン聖歌を生み出したこと。多くのフォロワーを生んだのは言うまでもないですが、実際、重要なのはプログレッシヴの要素(ここではハウスではなくロックの方です、念のため)だったりします。マイケル・クレトゥのソロにも垣間みることができますが、例えば
エニグマの1stアルバム『MCMXC a.D.』(こちらも全英1位)でも、楽曲が組曲で構成されていたり、それこそプロジェクトの念頭に置いたというアート・オブ・ノイズにも通じる部分があり、クラシックの素養がある人による様式的なロックが、クラブ・ミュージックと斬新に出会ったサウンドに仕上がっています。
今回紹介する2ndアルバム『
エニグマ2〜ザ・クロス・オブ・チェンジズ』は、’94年頭にリリースされたもの。その直前には、シャロン・ストーン主演の『硝子の塔』に
エニグマが3曲提供していたことから、そのうちの「Carly’s Song」が、ここでは「
Age Of Loneliness」にバージョン・アップされて収録されているのも注目です。先行シングルとしては「
Return To Innocence」がカットされ、’94年全英3位を記録しています。アルバムは1st同様に1位を獲得。続けて「
The Eyes Of Truth」と「
Age Of Loneliness」がカットされ、両方とも’94年に全英21位という結果を残しています。個人的には、アルバムのラスト・トラックである「
The Cross Of Changes」のチルアウト加減もたまりません。そういえば、マイケル・クレトゥとサンドラは早くからスペインのイビサに移住していたんですが、
エニグマ一派も追随する人が多いので、自然とそういった質感が備わってくるのかもしれないですね。