新年1回目となる『レコ麺』は、
EBTGを取り上げます。このコンビほど、ある時期を境に音楽的嗜好が変化した人達はいないんじゃないでしょうか。同時に、ファン層も年代によって全くといっていいほど異なります。初期を知る人にとってはアコースティックなサウンドで、後期はメインとしてハウスという認識が強いでしょう。今やベン・ワットはMIX CDを多数手掛ける売れっ子DJですからね。
今回紹介する『
テンパラメンタル』は’99年の作品です。その前の’96年にリリースされた『
哀しみ色の街(Walking Wounded)』では、大胆にドラムンベースを取り入れリスナーの度肝を抜いたので、本作では驚きも減りましたが、ドラムンベースからハウスへとシフトする過程を垣間見れるアルバムとなっています。というより、ベン・ワットがソロに専念し、このあと
EBTGとしてはベスト盤の『
ライク・ザ・デザーツ・ミス・ザ・レイン』に、リミックス・アルバム『アダプト・オア・ダイ』といった編集盤が出ているのみなので、実質的には現在のところ最新アルバムに当たります。
「R&Bが1950年代のリズムだったように、ドラムンベースは現代のリズムで、僕達がコンテンポラリーなレコードを作るために無視できないものなんだ」とベン・ワットは過去に語っているんですが、打ち込みとは一番縁遠い所にいた人が何故、こうも変貌してしまったのでしょうか。
EBTGがクラブのリズムに乗るなんてこと、ホントに以前には考えられないことでした。しかし「
Missing」が
トッド・テリーの手に委ねられ、劇的な科学反応を起こしてからというもの、特にハウス・ビートに乗ったトレイシー・ソーンの存在感はいっそう際立ち、
EBTGは新たな道を歩みだしたのです。
『テンパラメンタル』の内容をざっと紹介すると、まず目玉はアメリカのハウス・デュオ、ディープ・ディッシュにフィーチュアされ’98年全英31位を記録した「
The Future Of The Future(Stay Gold)」。アルバムからの先行カットで
ある「
Five Fathoms」は’99年27位、UKガラージ・タイプの「
Temperamental」は’
00年全英72位を記録しています。「
Lullaby Of Clubland」は北アメリカでカットさ
れたナンバー。「
Blame(邦題:悪いのは私)」には、J・マジックが名を連ねているのでドラムンベース・ファンは見逃せません。ちなみにこの曲、元々
マッシヴ・アタックとのコラボレーションで出来上がったものを、発表に至らなかったため、歌詞のみ使用しています。
他にも、アナログ限定でカットされたものなどありますが、かなり細かくなるのでここでは割愛します。なにはともあれ、一時も早く
EBTGとしての新作を聴きたいものですね。