マドンナ来日公演のタイミングで、『
レイ・オブ・ライト』らを手掛けたプロデューサー、
ウィリアム・オービットを取りあげようと思っていたんですが、いつの間にか時が経過し、
マドンナは帰ってしまいました。どちらにせよ、どこかでピックアップしないといけない人なので、この機会に紹介しましょう。
最新作で『Hello Waveforms』というのもありますが、今回は、
ウィリアム・オービットのプライベート・プロジェクトともいえる『
ストレンジ・カーゴ』にスポットを当てます。とにかく、繊細でストイックに音楽に対峙していることでも知られる彼の真骨頂が味わえるシリーズのベスト盤となります。ベストというからには、何枚かリリースされているわけで、まずはその辺の紹介も兼ねて、ざっとおさらいを。
ウィリアム・オービットが最初に注目を浴びたのは、トーチ・ソングというユニットでした。平たく言えば、エレポップ系なんですが、’83年のデビュー曲「Prepare To Energize」という曲が目立ったくらいで、一般認知度はちょっぴり低いです。ただし、このときのボーカリストであるローリー・メイヤーと組んだ
ベース・オ・マティック名義で90年代初期に大暴れし、「
Fascinating Rhythm」の全英9位を筆頭に、フロアを大いに賑わせました。さらに余談として、今年ローリー・メイヤーは、
ウィリアム・オービットらのバックアップでソロ・デビュー・アルバム『Black Lining』をリリースしています。
閑話休題。そんな
ウィリアム・オービットが、ソロ・アルバム『Orbit』のすぐあとにリリースしたのが、’87年の『
ストレンジ・カーゴ』です。トーチ・ソング時代からI.R.S.というレーベルに所属していたので、そこの『ノー・スピークス』シリーズの一環として出されました。いわゆるインストに焦点を当てたものなんですが、レーベルの性質上、この1stはギター色が濃くなっています。というのも、実はこのレーベル、
スティングが在籍した
ポリスのドラマー、スチュワート・コープランドの兄弟であるマイルス・コープランドが経営していたんです。
’90年には『ストレンジ・カーゴ 2』、’93年にはVIRGINに移籍して『
ストレンジ・カーゴ 3』をリリース。ここでは、ボーカルも入るようになり、少しメジャー感が出てます。その証拠に「
Water From A Vine Leaf」をシングル・カットしました。ちなみに、ここでボーカルを取っているのは
ベス・オートンです(ここでは触れませんが、彼女も
ウィリアム・オービットから羽ばたいていったひとり)。この『
ザ・ベスト・オブ・ストレンジ・カーゴ』は、これら3部作から抜粋した’98年の作品です。アンビエント的な感覚、特に浮遊感漂うサウンドは今聴いても色あせていません。
なお、この作品が気に入ったという方は、
ウィリアム・オービット名義ではなく、ストレンジ・カーゴ名義で『Hinterland』というアルバムも出ています。探してみて下さい。
他にもGUERILLAっていうレーベルの話や、「弦楽のためのアダージョ」がヒットした『ピーシズ・イン・ア・モダン・スタイル』のことなど漏れていることが多いのですが、今回はこれでご勘弁を。