今回は、
イエスを取り上げます。別にCMで「
Owner Of A Lonely Heart」が使われたからではありません。アート・オブ・ノイズが4枚組ボックスセット『And What Have You Done With My Body, God?』をリリースし、その中で、メンバー自身がアート・オブ・ノイズの成り立ちについて語っていて、結成する契機となったのが『
90125(邦題:ロンリー・ハート)』だったからです。
察しのいい方はご存知のように、
イエス唯一の全米No.1(イギリスでは28位と意外に奮わなかった)ヒットである「
Owner Of A Lonely Heart」のプロデュースを手掛けたのが、誰あろうトレヴァー・ホーンであります。そのトレヴァー・ホーンが立ち上げたZTTレーベルの第一弾アーティストが、アート・オブ・ノイズでした。自身もメンバーではあったのですが、実作業をしていたのは他の3人だったこともあり、やがてトレヴァー・ホーンと訣別していきます。アン・ダッドリーのみ、トレヴァー・ホーンと仕事を続けていたので、交流はあったのですが、今回のアルバムではメンバー全員が話をしているので、ファン的にオリジナル・メンバーで再始動かな?なんて邪推もしたりしたんですが、
イエスとどんどん本題が離れていきそうなのでこの辺でストップしましょう。
純粋な
イエス・ファンにとって、’83年のこのアルバムだったり、前作の『
ドラマ』(トレヴァー・ホーンとジェフリー・ダウンズのバグルス・コンビがメンバーとして加入)あたりは正直言って心から歓迎されない作品なんですが、僕自身はこの時代から
イエスに入ったため、スティーヴ・ハウやジェフリー・ダウンズらが結成した
エイジアでさえも、
イエスの本質を知らずに楽しんでいて、あとあといろいろな経緯を知ったという感じなのです。
というわけで、
イエスのメンバー変遷をここで触れるつもりは毛頭なく(字数が足りないですからね)、純粋に、メンバーからプロデューサーという立場になったトレヴァー・ホーンのイチ仕事としてピックアップしたいと思います。ので、『
ドラマ』後に解散し、シネマというグループが結果的に
イエスの再生に繋がって、トレヴァー・ラヴィンがうんぬんという話はここではなしです。
ABC亭のときにも触れましたが、トレヴァー・ホーンがこの時期プロデュースを手掛けるときのスタッフは、どれもアート・オブ・ノイズの面々が深く関わっています。『90125』(余談ですが、意味深なタイトルは、単にレコード番号を指しています)では、ゲイリー・ランガンにJ.J.ジェグザリクのふたりです。といっても、「
Owner Of A Lonely Heart」や「
Leave It」といったシングルで聴けるようなアート・オブ・ノイズ特有の過激なフェアラアイト・サウンドが全編に敷き詰められているわけではなく、やはり
イエスの特性を活かした作品にまとまっていて、「
Cinema」は
イエス初のグラミー賞のベスト・ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門受賞曲に輝いています。
「
Owner Of A Lonely Heart」のインパクトが強い分、シングルに特化しがちですが、改めて掘り起こしてみたら再発見があるかもしれません。なお、リマスター盤では、ボーナス・トラックも入っていて、「
Owner Of A Lonely Heart」のエクステンデッド・リミックスなんて、アート・オブ・ノイズがのちのちリリースする「Paranoimia」クリソツですし、「
Leave It」のアカペラなんて、マックス・グラハムなみにリミックスを作りたい人にはマストです。