DJ 19なんて名前を名乗っていますが、実は、今回取り上げる
ポール・ハードキャスルのヒット曲「
19」に由来するんです。
といっても、
ポール・ハードキャスルを知らない若い世代には、ジャズマスターズやキス・ザ・スカイなんてプロジェクトを説明しても長くなってしまうだけで分かり難いと思いますので、もっと遡って本当にざっとくりと紹介したいと思います。
イギリスのシンセサイザー奏者である
ポール・ハードキャスルは、ダイレクト・ドライヴといったグループを経てソロ活動に入り、「Guilty」や「Rainforest」などのヒットを飛ばすんですが、その名を世界に轟かすようになるのは’85年のこと。TVドキュメンタリー番組のナレーションをサンプリングした「
19」がイギリスでのNo.1を皮切りに、世界中に飛び火します。その証拠に、英語ヴァージョン以外にも、日本語・フランス語・スペイン語・ドイツ語なんてのものまでリリースされました。しかも、内容は「ベトナム戦争の兵士の平均年齢は19歳だった」というシリアスなものなので、日本語のナレーションを担当したのは、今は亡き人気キャスターの小林完吾さんだったのです。
個人的には、この「
19」を収録したアルバム『PAUL HARDCASTLE(邦題:マイクロチップに愛を込めて)』は、これまでの人生の中で最も愛聴したアルバムです。この盤でいうと、「
Better」に「
Moonhopper」に「
Central Park」に「
Just For Money」に「
Don’t Waste My Time」が収録曲です。今でこそ、「
19」程度のサンプリングは簡単に出来てしまうんですが、当時は画期的で、ノックアウトされたために、道を誤ってしまう人間をひとり生み出してしまいました(笑)。
こういう書き方をしていると、先鋭的なダンス・クリエイターな面ばかりが浮き彫りにされますが、実際は、アルバム収録曲や、12インチのBサイドで見せるメローな面が、のちのポール・ハードキャッスルを形作っていくのです。ここでいえば「
Walk In The Night」(余談ですが、ジャズマスターズの雛形になった曲です)辺りですね。
その結果、90年代に入って、キス・ザ・スカイ、ジャズマスターズ、ポール・ハードキャッスルの3本柱を使い分け、80年代に見られたような過激なダンス・ミュージックをクリエイトするのではなく、使い捨てではなく長く愛されているのです。
ところで、ポール・ハードキャッスルはいろんなベスト盤が出ていて、盤によって収録曲が微妙に異なります。例えば、ここに紹介しているものでは、インストなのにR&Bチャートで1位を獲得した「Rainforest」が入っていなかったりしますので、気に入った方は、まだまだいろんな引出しがあるポール・ハードキャッスルを掘り下げてみて下さい。