今回はミスター・チルアウトともいえる
ホセ・パディーヤの'98年のデビュー・アルバム
『スーヴェニーア』をご紹介しましょう。
ホセ・パディーヤというのは、スペインはイビサのサン・アントニオにあるサンセット・バー、CAFE DEL MARの名を世界的にしたDJです。もともとチルアウトという言葉は、レイヴだったり、クラブから帰ってクール・ダウンするときに使われることが多く、アンビエント・ミュージックなどと密接に結びついていたのですが、
ホセ・パディーヤがコンパイルし、REACTからリリースされたコンピレーション『Cafe
Del Mar』によって、ある程度ジャンルとしてフォーマット化された感があります。誤解されがちなんですが、チルアウトというのはスタイルであって、決してジャンル、年代など、特定のフォーマットに束縛されないところが良さだったりします。
CAFE DEL MARはREACT、MANIFESTOとレーベル・パートナーを鞍替えしながら、現在は自身のCAFE DEL MAR MUSICから『Cafe
Del Mar』のコンピレーションをリリースしているのですが、時を経るごとに選曲の幅が狭められ、聴いた際の驚きが減っています。それは
ホセ・パディーヤからブルーノ・レプレトレ、そして今ではバーの設立者自らが中心にコンパイルを行うことになり、余計に初期『Cafe
Del Mar』シリーズの評価を上げる形になっています。何故、そこまで
ホセ・パディーヤの選曲が優れていたのかというと、「コンピレーションの収録曲の95%が自分で作りたかった曲であり、しかも20回聴いても飽きない曲が収録の条件で、20回聴いて飽きる曲はスピリットが足りない」という本人の真摯なコメントからも窺い知ることが出来るでしょう。
チルアウトの最高峰ともいえる
ホセ・パディーヤの
『スーヴェニーア』は、完全にコンピレーションの延長線上に位置しながらも、オリジナルとして一本の芯が通った作品に仕上がっています。カヴァー曲として、マーヴィン・ゲイが'76年に放った
「After
The Dance」に、バカラック&デヴィッドのペンによる
カーペンターズの名曲
「Close To You」の2曲が収録されている他、過去にコンピレーションに収められた楽曲に手を入れたりするなど、全体的にミュージック・ラヴァーなら誰もが頷けるエモーショナルな作品ばかりになっています。参加アーティストも、
ホセ・パディーヤとともにCAFE DEL MARを支えたフィル・メイソンに、イビザールことレナート・クララップなど、チルアウトの重要人物がずらり勢揃いしています。
'55年生まれという年輪が刻むサウンドを一度体験してみて下さい。また、僕が毎月最終木曜にやっている「R」では、こうしたサウンドがメインにかかっています。是非、お越しをお待ちしております。