ブラザーズだけど兄弟じゃない(ベンベン)、それは何故かと言われたら(ベンベン)、トランス義兄弟だから(意味不明)。
スペース・ブラザーズは、リッキー・シモンズとスティーヴン・ジョーンズが使っているメインの名義で、その他ASCENSION、CHAKRA、ESSENCE、FORCE MAJEURE、LUSTRAL、THE REALMなど、数多くの名前を使い分けながらクラブ・ヒットを量産しているコンビである。
冒頭でトランスと言及したが、今は世界的に当初とは異なった音楽を指す場合が多くなり、多くのDJ、プロデューサーがこのトランスという名称の使用に対して異議を唱えている。例えば、ポール・ヴァン・ダイクやアーミンなどは、「僕らの音楽をチージー(筆者駐:安っぽい、下世話な)なトランスと一緒にしないで欲しい」とインタヴューなどで度々発言している。よってポール・ヴァン・ダイクは、自身の音楽を「エレクトロニック・ミュージックである」と広義に解釈するよう促している。だが本稿では、敢えてトランスという表記をさせて頂く。
閑話休題。本作
『Shine』は、'97年の
「Shine」と
「Forgiven」、'99年の
「Legacy」というシングル・ヒットのあとにリリースされたアルバムである。ちなみに
「Shine」と
「This
Is Love」には、WAY OUT WESTの「The Gift」やSLACKERの「Your Face」などに参加し、自身でもソロ作品を出しているJOANNA LAWがフィーチュアされている。また
「Lagacy」や
「Heaven
Will Come」に参加しているKATE CAMERONは、スペブラの別名義、CHAKRAの「Home」などにも参加しているヴォーカリストだ。
さて、当時は他にもシケインやBTがトランスの傑作アルバムをリリースしており、それぞれが、アッパー一辺倒ではなく、幅広い音楽性をさりげなく内包した作品を作り上げている。本作もご多分に漏れず、トランスだけでなく、チルアウトであったり、アブストラクトといったバラエティに富んだスタイルが聴けるアルバムに仕上がっている。そういうことを考慮してか、輸入盤では(というか実は日本盤の発売は見送られてしまったんです)ダンス・ファン向けに、ポール・オークンフォールドによるリミックス・アルバムが付いていた。ディスク1収録曲が、ディスク2にてリミックス・ヴァージョンになり、更に有名DJにMIXされるという事象は、サシャがBTのアルバムを繋いで以降の出来事なのだが、MIX CDフォーマット自体がある程度飽和してしまった現在となっては時代を感じる産物であるといえよう。
'99年にUKのメディアがダッチ・トランス、いわゆるオランダ産トランスを仕掛けたことによって爆発したトランス・ブームだが、その時代を体験していない人だけでなく、当時聴いていた人にも、本作
『Shine』は純イギリス産のトランスを振り返ってみたい場合に格好のサンプルとなるに違いない。