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ジャンル虎の穴 Vol.18 ウェスト・コースト・サウンド特集 West Coast Sounds

70年代のアメリカ ロックへの憧れはここから始まった。 抜けるような青空と爽やかな風 俺たちはいつだってTake It Easy! ヒッピームーヴメントから幻想の終わりまで、 歴史を動かしたウェスト・コースト・サウンドを探る・・・

ウェスト・コーストといっても、ヒップホップの“ウエッサイ”のことではない。あのイーグルスやドゥービー・ブラザースが日本でもバカ売れした、70年代アメリカン・ロックの一大潮流のことである。70年代に青春真っ只中だった人達は今や40歳代も終わりに差しかかっていることと思うが、そういうオッサン、オバサンがローラースケートをやりながら、アメリカに憧れて聴いていた音楽・・・、といえばわかり易いか。ライ・クーダーが片岡義男と同じCMに出ていた時代ですよ!ポパイの発売日が待ち遠しかった時代、みんな長髪が似合っていた時代、そして、いつの間にか「ホテル・カリフォルニア」で幻想が崩れ落ちた時代。それに気づかない人達を多く残したまま、産業ロックへと時代は移り変わっていく。

「Take It Easy」は、イーグルスが72年に放った大ヒットだが、彼らが影響を受けたクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングポコフライング・ブリトー・ブラザース、さらに遡って、バーズバッファロー・スプリングフィールドなどがウェスト・コースト・ロックの源流である。カントリーやフォークを土台にしたアコースティックなサウンドと爽やかなハーモニーのイメージが強いが、ロサンゼルスとサンフランシスコでは、それぞれに特徴のある音楽を生み出している。

ロサンゼルスには、何といってもハリウッドがあり、それをとりまく映画音楽産業とでもいえる製作システムが整っていた。そこから生まれたのがバーバンク・サウンドであり、レニー・ワロンカーやテッド・テンプルマンといったプロデューサーがウェスト・コーストの音を形作っていった。そして、新興レーベルであるアサイラムから巣立っていったアーティスト達、とりわけイーグルスの出現がウェスト・コースト・ロックのイメージを決定付けた。あわせてリンダ・ロンシュタットの活躍も忘れられない。サンフランシスコは、ヒッピー・ムーブメントと結びついたサイケデリック・ロックの流れで、グレイトフル・デッドやジェファーソン・エアプレイン、スティーヴ・ミラー・バンドなどが独自の路線で注目された。いわゆるウェスト・コースト的なイメージだと、イッツ・ア・ビューティフル・デイからパブロ・クルーズへの流れも押さえたいところ。

ここでは紹介できなかったが、カントリー・ロックの重鎮ニッティ・グリッティ・ダート・バンドや、爽やかコーラスのアメリカ、東と西を行ったり来たりのオーリアンズ、さらに、ビーチ・ボーイズママス&パパスといったポップ・サイドのグループも、ウェスト・コースト・サウンドの歴史を語る時に欠かせない。あの頃の風に、もう一度吹かれてみたいと思いませんか?

(Text/遠藤哲夫)

代表アーティスト
『Buffalo Springfield Again』
バッファロー・スプリングフィールド Buffalo Springfield 『Buffalo Springfield Again』
1967 Release
『Buffalo Springfield』
『Buffalo Springfield』
1967 Release
『Last Time Around』
『Last Time Around』
1968 Release
ウェスト・コースト・ロックの原点ともなったバンドがバッファロー・スプリングフィールド。後にアメリカン・ロックに金字塔を打ちたてたCSN&Yのうちの2人=スティーヴン・スティルスとニール・ヤング、ポコを結成するリッチー・フューレイが在籍していた。バーズと並ぶ60年代後期の最重要グループであり、日本のロック黎明期において、“はっぴいえんど”に与えた影響も大きい。このセカンド・アルバムは彼らの最高傑作とされ、「Rock & Roll Woman」「Expecting To Fly」など時代を切り開いた名曲を収録。
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『Deja Vu』
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング Crosby, Stills, Nash & Young『Deja Vu』
1970 Release
『Crosby, Stills & Nash』
『Crosby, Stills & Nash』
1969 Release
『Greatest Hits』
『Greatest Hits』
2005 Release
バッファロー・スプリングフィールド、バーズ、ホリーズという歴史に名を残すバンドからメンバーが集まり、アコースティック主体で完璧なハーモニーを聴かせるグループ、クロスビー、スティルス&ナッシュが生まれた。「青い目のジュディ」は日本でもかなりコピーされたが、そこにニール・ヤングが加わり『デジャ・ヴ』が作られた。69年の“ウッドストック”出演で、人気もピークになっていた時期である。個々の曲の寄せ集め的部分はあるが、「Teach Your Children」「Helpless」などは語り継がれる名曲。
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『Hasten Down The Wind』
リンダ・ロンシュタット Linda Ronstadt 『Hasten Down The Wind』
1976 Release
『Living In The USA』
『Living In The USA』
1978 Release
『Don’t Cry Now』
『Don’t Cry Now』
1973 Release
ストーン・ポニーズ時代からヒット曲を放ち、71年の『Linda Ronstadt』は、デビュー前のイーグルスのメンバーがバックを務めている。アサイラムに移籍してからは、ピーター・アッシャー(ジェイムス・テイラーを手がけた)のプロデュースによる『風にさらわれた恋』『夢はひとつだけ』『ミス・アメリカ』等でトップ・スターの座を揺るぎなきものにした。バディ・ホリーやロイ・オービソンから、モータウン・ナンバー、西海岸の同世代アーティストの曲まで、カバー曲を自らのものにするセンスと歌唱力は凄いの一言。
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『Jackson Browne』
『Jackson Browne』
1972 Release
『The Next Voice You Hear - The Best Of〜』
『The Next Voice You Hear - The Best Of〜』
1997 Release
ジェイムス・テイラー、キャロル・キング、ジョニ・ミッチェルなどと共に、70年代始めのシンガー・ソングライター・ブームを作り上げた一人。デビュー前から多くのアーティストに曲を取り上げられていたが、イーグルスの大ヒット「テイク・イット・イージー」もジャクソンがグレン・フライと共作したもの。デヴィッド・リンドレーのスライド・ギターを入れて作り上げた『フォー・エヴリマン』や『レイト・フォーザ・スカイ』を最高作に推すファンは多い。勿論今も現役であり、変わらぬ姿勢で世界を見つめている。
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Gram Parsons 『The Complete Reprise Sessions』
『The Complete Reprise Sessions』
2006 Release
Emmylou Harris 『Heartaches & Highways: The Very Best Of〜』
『Heartaches & Highways: The Very Best Of〜』
2005 Release
60年代フォーク・ロックの代表的なグループはバーズだが、そのオリジナル・メンバーであるクリス・ヒルマンと、バーズにカントリーを持ち込んだ張本人、グラム・パーソンズによって結成されたのがフライング・ブリトー・ブラザーズだ。彼らは70年代前半にアメリカン・ロックの主流(?)となったカントリー・ロックのパイオニアといえる存在である。ついでに言えば、現在に至るルーツ・ロックの原点と捉えることも出来る。グラム・パーソンズの影響力はローリング・ストーンズからエルヴィス・コステロまで及ぶ。
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おすすめアルバム
Little Feat 『The Best Of Little Feat』
2006 Release
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The Doobie Brothers 『The Best Of The Doobies』
1976 Release
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Firefall 『The Essentials: Firefall』
1983 Release
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フランク・ザッパのバンドにいたローウェル・ジョージを中心に69年に結成。ニューオーリンズのリズムを吸収した独自のファンキーなサウンドと、ローウェルの天才的スライド・ギターで、ウェスト・コーストらしからぬ個性を確立。『ディキシー・チキン』が最高傑作として名高い。
マイケル・マクドナルドが参加する前の、トム・ジョンストンのワイルドなボーカルと歯切れのいいリズムを愛するドゥービー・ファンは多い。初期の代表曲である「China Grove」「Listen To The Music」などは、ハイウェイをぶっ飛ばす爽快感に溢れている。パット・シモンズとのハーモニーもキマっている。
元フライング・ブリトー・ブラザースのリック・ロバーツを中心としたコロラド出身のグループ。CSN&Y〜マナサスの影響を強く受け、「It Doesn't Matter」のカバーも素晴らしい。美しいコーラスと清涼感溢れるサウンドの中に、ハードなうねりも持ち合わせ、ポスト・イーグルスとして結構人気があった。
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Poco 『Classic Poco』
2001 Release
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The Souther-Hillman-Furay Band 『The Souther-Hillman-Furay Band』
1974 Release
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Loggins & Messina 『Live: Sittin' In Again At The Santa Barbara Bowl』
2006 Release
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バッファロー・スプリングフィールドのリッチー・フューレイと、ジム・メッシーナによって結成されたカントリー・ロックの代表グループ、ポコ。エピックからABCに移籍した時点で、既に二人ともバンドを脱退しており、ラスティ・ヤングとポール・コットンが中心になったマイルドな味わいが特徴。名曲多し。
イーグルスの対抗馬というわけではないが、イーグルスに曲も書いていたJ.D.サウザー、バーズ〜FBBのクリス・ヒルマン、ポコのリッチー・フューレイで結成されたスーパー・グループ。それぞれの持ち味が曲にそのまま反映され、バックの凄腕メンバーと共に、いかにもウェスト・コースト的なアルバムとなった。
ポコを抜けたジム・メッシーナが、ケニー・ロギンスをプロデュースしているうちにコンビ結成に至る。パキパキのカントリー/ロックンロールのメッシーナと、叙情的な歌を聴かせるロギンス。お互いの個性が融合して、ロギンス&メッシーナでしか出せないダイナミズムを生み出した。本作は2006年の再結成ライブ。
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Stephen Stills/Manassas 『Manassas』
1972 Release
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The Souther-Hillman-Furay Band 『The Souther-Hillman-Furay Band』
1974 Release
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Crazy Horse 『Crazy Horse』
1971 Release
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CSN&Y解散後のスティーヴン・スティルスが、クリス・ヒルマンやアル・パーキンス、ポール・ハリス達と結成したのがマナサス。スケールの大きな演奏でサイド毎(当時は2枚組LP)にコンセプトがある。ラテン色を強めたところも特徴だが、やはり「It Doesn't Matter」と「Colorado」が胸にしみる。
ロジャー・マッギン、デヴィッド・クロスビー、ジーン・クラーク、クリス・ヒルマンというバーズのオリジナル・メンバーが一時的に顔をそろえた再結成盤。それぞれがソロで成功しており、個性の違いを楽しむことができる。ニール・ヤングのカバーを歌うジーン・クラークが飛びぬけて素晴らしい。
ニール・ヤングのバック・バンドとして活躍したクレイジー・ホース。メンバーのダニー・ウィッテンの死を悼んで、ヤングは『今宵その夜』というアルバムまで作った。そこにも収録されていた「Downtown」をはじめ、「I Don't Want To Talk About It」の最高のオリジナルが聴ける。ニルス・ロフグレンも参加。
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Grateful Dead 『American Beauty』
1970 Release
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Steve Miller Band 『Fly Like An Eagle』
1976 Release
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The Youngbloods 『High On a Ridge Top』
1972 Release
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ヒッピー/サイケデリック文化の象徴的なグループ、グレイトフル・デッド。ジャム・バンドの元祖としても、今なお強い支持を集めているが、CSN&Yに影響されてフォーク/カントリーにシフトした時期の名盤が『ワーキングマンズ・デッド』と本作。おすすめの他に「Ripple」「Trackin'」も古典的名曲。
テキサスのブルース・バンドから始まり、サイケデリック全盛期にサンフランシスコに出てきたスティーヴ・ミラー。初期のメンバーに、ボズ・スキャッグスがいたことは有名だ。74年の「ジョーカー」のNo.1ヒットで波に乗り、ポップス指向となって更にヒットを連発する。独自のスペース感が心地よい。
東海岸出身のグループだが、カリフォルニアに移住し「ゲット・トゥゲザー」のヒットで注目される。ジェシ・コリン・ヤングの柔らかで優しさに溢れるボーカルと、漂うようなサウンドが特徴。コミューン的な匂いもする本作は、オールディーズのカバーも独自のホンワカ・ムードに。ジェシのソロ作も必聴である。
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Harpers Bizarre 『Feelin' Groovy』
1967 Release
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Randy Newman 『Little Criminals』
1977 Release
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Ry Cooder 『Paradise And Lunch』
1974 Release
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後にドゥービー・ブラザーズやヴァン・ヘイレンを手がけるプロデューサー、テッド・テンプルマンが在籍していた伝説のグループ。最近はソフト・ロックの流れで語られることも多いが、ハリウッド的なアレンジと洒落たコーラスで、日本の渋谷系にも影響を与えた。バーバンク・サウンドの代表的存在。
シニカルで文学性の高い歌詞や、父親(ハリウッドの音楽家)の血を引くアレンジ能力、そして朴訥としているが妙に心にひかっかるボーカル。個性の塊のようなランディ・ニューマン。多くのアーティストが彼の曲を取り上げるが、本作から「Short People」が全米2位のヒットに。「I'll Be Home」の美しさも絶品。
タジ・マハールとバンドを組み、独特のボトルネック・ギターでローリング・ストーンズともセッションをし、自らのソロではアメリカの伝統音楽の掘り起こしに余念が無い。研究家のような側面もあるが、メキシカンとハワイアンと黒人音楽がボーダーレスにカクテル化された、本作のノリは最高である。
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Warren Zevon 『Warren Zevon』
1976 Release
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Andrew Gold 『Thank You For Being a Friend: The Best Of〜』
1997 Release
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Curt Boettcher 『There's An Innocent Face』
1972 Release
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ジャクソン・ブラウンのプロデュースで、アサイラムから再デビューしたウォーレン・ジヴォン。ハードボイルドでデカダンスも感じる曲の数々は、西海岸でも異彩を放つものだが、「Hasten Down The Wind(風にさらわれた恋)」のような美しいバラードも多い。リンダ・ロンシュタットのお気に入りでもあった。
こちらもリンダ・ロンシュタットのお気に入りで、マルチ・プレイヤーでもある。75年にソロ・デビューし、ビートルズやバディ・ホリーからの影響も強いポップな曲が持ち味で、「Lonely Boy」は全米7位のヒットに。カーラ・ボノフとブリンドルというグループを組んでいたことでも知られる。
ウェスト・コーストの源流として、サーフ・サウンドや高度なハーモニーを生み出したビーチ・ボーイズの功績は外せない。そのハーモニーを究極まで突き詰めたソフト・ロックの頂点が、カート・ベッチャーが関わったミレニアムやサジタリアスであった。本作は、実験的な面は薄れたが、シンプルで美しい。
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JASRAC
JASRAC許諾番号
9005801003Y
30005900580
1003Y30007
JASRAC
JRC許諾番号:X000140A02L
JRC許諾番号:X000140A03L
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