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総合TOP > 連載 > ジャンル虎の穴 > Vol.3 パンク・ロック


ジャンル虎の穴 さまざまなジャンルがはびこる洋楽の世界。このジャンルってどんな音楽?「ジャンル虎の穴」は、毎回ひとつのジャンルをセレクトして、そのジャンルの成り立ちや、代表アーティストからマニアックな裏名盤までを紹介するコーナー。これであなたも音楽通に!
Vol.3 パンク・ロック
ロックの歴史を変えたとんでもない野郎たち! Punk Is Not Dead!! アメリカとイギリス、凄いのはどっち?
UKパンク TIMELINE USパンク
パンク・ロックは単に、既成の音楽に反抗精神や破壊衝動を示しただけでなく、ロック本来の姿を取り戻すムーヴメントでもあった。ロンドンで起こったパンクは、ニューヨーク・パンクの影響を受け、独自のファッションとも結びつき社会的な出来事となったが、UKパンクの源流として、74〜75年のパブ・ロックの盛り上がりは見逃せない。ニック・ロウを擁したブリンズリー・シュウォーツ(後にグレアム・パーカーのバック、ルーモアに発展)やデイヴ・エドモンズの他、75年に『ダウン・バイ・ザ・ジェティ』でデビューしたドクター・フィールグッドは、その剥き出しのロックン・ロールでパンクへの導火線となった。

セックス・ピストルズ登場に関しては、ニューヨーク・パンクの渦中にいて、ロンドンに戻ってきたマルコム・マクラレン(ブティック経営者にしてピストルズのマネージャー)の戦略的な部分も大きいが、過激なファッションと破壊的なライヴはたちまちマスコミを席巻した。76年11月に「アナーキー・イン・ザ・UK」でデビュー、1年後の77年11月にアルバム『勝手にしやがれ』がリリースされるが、78年1月のアメリカ・ツアー中にジョニー・ロットンが脱退を表明したことで、ピストルズはあっけなく解散してしまう。

76〜77年にかけて、ダムド、クラッシュ、ストラングラーズ、バズコックスといったピストルズと並んで初期オリジナル・パンクを担った多くのバンドがデビュー。特にクラッシュは「白い暴動」や「ロンドン・コーリング」でUKパンクの精神的支柱ともなった。反社会的なイメージではなく、強靭なビート感を打ち出したポール・ウェラー率いるザ・ジャムや、アート志向のワイアーも重要バンドだ。

78年以降も、ジェネレーションXやシャム69、スージー&ザ・バンシーズといった第2世代といえるパンク・バンドが登場し、スティッフ・リトル・フィンガーズがラフ・トレイドの第1号アーティストとしてデビューするが、時代はすでにパンクからニュー・ウェイヴへと移り変わっていく過渡期にあった。ピストルズ解散後、ジョーニー・ロットン(ジョン・ライドンに改名)が新たに結成したのがPILで、レゲエ/ダブを消化したサウンドを聴かせ、さらにギャング・オブ・フォーのメタリックで切り込みが鋭いギター・サウンドや、ポップ・グループなど確実に新しい感覚を持つアーティストの登場がパンクを終焉に導いた。同時にエルヴィス・コステロやXTC、ポリスといったパンクではくくれないアーティストを売り出すためにニュー・ウェイヴという言葉は便利だった。

一方では、パンクの破壊性を極限にまで高めた“ハードコア・パンク”が80年に現れる。商業化されたパンク・ロックへのアンチ・テーゼでもあり、ディスチャージ、エクスプロイテッド、クラス、カオスUKといったバンドの登場でニュー・ウェイヴの時代そのものにも区切りをつけた。
  MC5
ニューヨーク・パンクの始まりは一般的には、パティ・スミスのメジャー・デビュー作『雌馬(Horses)』がリリースされた75年10月ともいわれるが、勿論それ以前から、アンダーグラウンドでの蠢きはあったわけで、74年3月のテレヴィジョンのライブ・デビューをその起点と考えることも可能だ。

ニューヨーク・パンクの源流は、同じニューヨークの伝説的なバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやニューヨーク・ドールズ(ジョニー・サンダースがギター)、デトロイト一派のストゥージズ、MC5、さらには無数に存在した60年代ガレージ・サイケ・バンドなどにあるのは定説である。産業化されたロックに異議を唱え、失われた“ロックの精神”を取り戻すムーヴメントが“パンク・ロック”だとすれば、その中心にいたのは、パティ・スミスであり、トム・ヴァーレインやリチャード・ヘルを擁したテレヴィジョンであり、ラモーンズだった。

テレヴィジョンを75年に脱退したリチャード・ヘルが、ジョニー・サンダースとのハートブレイカーズを経て、自らのバンドで「ブランク・ジェネレーション」をリリースしたのが76年。同年には、テレヴィジョンやトーキング・ヘッズ、ブロンディなどがメジャー・レーベルと契約し、ラモーンズやパティ・スミスがイギリス公演を行うなど、パンク・ロックが大きく動いた年だ。

パティ・スミスと密接な関係にあったテレヴィジョン(トムはかつてパティと恋仲)は、NYパンクの創始者的立場だったが、メジャー・デビューは一番遅かった。77年2月にリリースされた『マーキー・ムーン』は、内容は絶賛されたもののセールス的にはイギリスでの方が受けが良く、2作目『アドヴェンチャー』を発表後、あっさりと解散してしまうのだった。

NYパンク・シーンから出てきたグループの中で異彩を放っていたのがトーキング・ヘッズで、パンクと呼ぶには知的すぎる感があるが、デビュー作収録の「サイコ・キラー」は名曲。2作目以降はイーノのプロデュースでエスニック・ファンクの道を切り開く。イーノはNYパンクとはまた違うコアの極北『ノー・ニューヨーク』をコンパイルし78年末に発表している。

パンク・ロックがニュー・ウェイヴに吸収されていく過程で、アメリカからはオハイオ州のディーヴォやジョージア州のB-52's、サンフランシスコからデッド・ケネディーズといったバンドが登場するが、80年代以降は、インディー・レーベルが各地に出現、地方毎の特色を出したインディー・シーンがパンクの精神を引き継ぐ形となった。ここからミクスチャー・ロックやグランジ・ロックが派生してくる。これらをひっくるめた“オルタナティヴ”というジャンルは遅れてきた90年代のパンク・ロックともいえる。

パンクというより“ジャンク”の系譜に連なるバンドとして、レジデンツやホラー・ガレージ・パンクのクランプスといったカルト・バンドの存在も押さえておきたい。
(Text/遠藤哲夫)
ブリンズリー・シュウォーツ ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
ドクター・フィールグッド ラモーンズ
セックス・ピストルズ ブロンディ
ストラングラーズ リチャード・ヘル
ジェネレーションX ト−キング・ヘッズ
トム・ロビンソン・バンド  
バズコックス テレビジョン
ワイヤー デッド・ボーイズ
シド・ヴィシャス ディーヴォ
スティッフ・リトル・フィンガーズ /search_detail_track/track_id/tr0000038237/
ダムド クランプス
P.I.L.  
ギャング・オブ・フォー スーサイダル・テンデンシーズ
ニュー・モデル・アーミー MXPX
  Green Day
UKパンク
Dr. Feelgood  『Stupidity』1976
Dr. Feelgood  『Stupidity』 おすすめトラック
  She Does It Right  >>試聴
  Checkin’ Up On My Baby >>試聴
  Johnny B Goode >>試聴
ブルースやR&Bをベースにした、シンプル極まりないストレートなロックン・ロール。60年代ビート・グループのヤードバーズ、ザ・フー、ストーンズなどの音を、パンク・ロックに橋渡しした彼らの功績は大きい。3作目のライブ盤『Stupidity』はチャート1位のヒット作でもあり、ギターのウィルコ・ジョンソン、ボーカルのリ−・ブリローのラフな熱気が伝わる。
 
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Sex Pistols 『Never Mind The Bollocks』1977
Sex Pistols 『Never Mind The Bollocks』 おすすめトラック
  Anarchy In The UK >>試聴
  God Save The Queen >>試聴
  Pretty Vacant >>試聴
パンク・ロックの代名詞といえば、やはりこのアルバム。デビュー・シングル「Anarchy In The UK」、「God Save The Queen」「Pretty Vacant」さらに「Holidays In The Sun」と、アルバム・リリース前に4枚もシングルを切っている。ジョニー・ロットンの型破りなボーカルと痙攣するリズムは衝撃的だった。シド・ヴィシャスがベースを弾いているのは2曲だけらしい。
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The Stranglers 『RATTUS NORVEGICUS』 1977
The Stranglers 『RATTUS NORVEGICUS』 おすすめトラック
  Peaches  >>試聴
  Sometimes  >>試聴
  London Lady  >>試聴 
キーボードを使ったパンク・バンドとして、パンク版ドアーズとも呼ばれた時期があったが、アルバム・セールスでは郡を抜いており、このデビュー作『野獣の館』も全英4位になっている。ジャン・ジャック・バーネルの攻撃的なリード・ベースが印象に残り、プログレッシヴ・ロック的手法も用いた文学っぽさも他のパンクとは一線を画す。現在も活躍中の息の長いバンド。
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Generation X 『Generation X』 1978
Generation X 『Generation X』 おすすめトラック
  Ready Steady Go  >>試聴
  Youth Youth Youth >>試聴
  One Hundred Punks >>試聴
元チェルシーにいたビリー・アイドルが76年末に結成したバンド。「Your Generation」「Wild Youth」のシングルに続き、78年にリリースされたデビュー・アルバムが本作。圧倒的なスピードで元気いっぱいの「Ready Steady Go」や「Day By Day」がまず痛快!ちょっとグラマラスな雰囲気もあるビリー・アイドルは後にソロとしても成功を収める。
 
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The Buzzcocks 『ANOTHER MUSIC IN A DIFFERENT KITCHEN』1978
The Buzzcocks 『ANOTHER MUSIC IN A DIFFERENT KITCHEN』 おすすめトラック
  Fast Cars >>試聴 
  I Don't Mind >>試聴
  Autonomy >>試聴
76年にハワード・ディヴォートとピート・シェリーを中心に結成されたバズコックス。メジャー・デビュー前にハワードが脱退(マガジンを結成)するが、ポップでキャッチーな持ち味で独自の地位を築く。この1作目はまだ完全にポップになりきらない、パンクの初期衝動が見え隠れする緊張感がたまらない。彼らの音は、90年代以降のメロコアに受け継がれている。
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The Damned『Machine Gun Etiquette』1979
The Damned『Machine Gun Etiquette』 おすすめトラック
  Smash It Up,Pt2 >>試聴
  Noise, Noise, Noise >>試聴
  Love Song >>試聴
UKパンクで一番最初にレコード・デビューしたのはこのダムドだった。76年11月5日にニック・ロウのプロデュースでシングル「New Rose」をリリース、アルバム『地獄に堕ちた勇者ども』はクラッシュよりも早い77年2月だ。ストゥージズやMC5からの影響を受けたゴツゴツしたロックンロール。本作は2作目にあたり、名曲「Love Song」「Smash It Up,Pt2を収録!
 
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USパンク
MC5 『The Big Bang: The Best of the MC5』 2000
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  Kick Out The Jams >>試聴
  Ramblin’ Rose >>試聴
  Come Together  >>試聴
工業都市デトロイトが生んだ、ラウド・ロックの原点というべきMC5。イギー・ポップのストゥージスと並びデトロイト・ロックの雄として、ニューヨーク・パンクに大きな影響を与えた。デビュー・アルバム『Kick Out The Jams』はまさに衝撃的なライヴ盤で、元祖「パンク・アルバム」とも呼ばれる。ギターのフレッド・スミスは後にパティ・スミスと結婚(94年死去)。
 
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The Velvet Underground 『Live at Max's Kansas City [Deluxe Edition] 』2004
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  Sweet Jane (Version 2)  >>試聴
  White Light White Heat >>試聴
  Pale Blue Eyes >>試聴
パンクの源流として必ず名前が挙がるのがヴェルヴェット・アンダーグラウンド。ルー・リード、ジョン・ケイル、ニコといった才能がぶつかり合った伝説のバンドであり、異端的な歌詞やノイジーなサウンドや内に潜む暴力など、ニューヨーク・パンクの精神的な支柱ともいえる存在。本作は72年のライヴ盤で、未発表テイクを加え2004年にリイシューされたもの。
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The Ramones 『The Ramones』 1976
The Ramones 『The Ramones』 おすすめトラック
  Blitzkreig Bop >>試聴 
  Beat On The Brat >>試聴
  I Wanna Be Your Boyfriend 
14曲入って収録時間が28分52秒。1曲が平均2分であるが、そこにはパンク・ロックの全てが注ぎ込まれた凝縮した2分間だ。3作目までは偉大なワン・パターンといわれるものの、楽曲の完成度ならば3作目『ロケット・トゥ・ロシア』だろうが、衝撃性となるとやはりファースト『ラモーンズの激情』だ。エモコアのみならずハードコア・パンクスからも支持される唯一無二の存在。
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Richard Hell & The Voidoids 『Blank Generation』1977
Richard Hell & The Voidoids 『Blank Generation』1977 おすすめトラック
  Blank Generation >>試聴
  Love Comes In Spurts  >>試聴
  Betrayal Takes Two  >>試聴
トム・ヴァーレインとは同郷で、71年終わりにネオン・ボーイズを結成している。テレヴィジョン〜ハートブレイカーズと渡り歩いたヘルの、パンクの歴史に残る大傑作である。英スティッフからも発売され、77年のイギリス・ツアーのサポートはクラッシュだった。ロバート・クワインの金属的ギターとヘルのヘナヘナしたボーカルが生み出す焦燥感が絶対的にパンク!
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Talking Heads 『SAND IN THE VASELINE』 1977
Talking Heads 『SAND IN THE VASELINE』 おすすめトラック
  Psycho Killer  >>試聴 
  No Compassion >>試聴
  Don’T Worry About The Government  >>試聴
NYのクラブ、CBCGに出入りしていたアート・スクール出身のメンバーで75年に結成されたトーキング・ヘッズ。現在ではNYパンクというより、『リメイン・イン・ライト』(80年)で作りあげたエスニックなハイブリッド・サウンドで高い評価を得たが、デビュー作からすでにR&Bのリズムを借用している。デヴィッド・バーンを中心にした知的な個性は80年代を牽引していく。
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Television 『Adventure』1978
Television 『Adventure』 おすすめトラック
  Glory >>試聴
  Days >>試聴
  Foxhole >>試聴
 
トム・ヴァーレインとリチャード・ロイドの2本のギターのエロチックとさえいえる絡みが、研ぎ澄まされた空間を作っていたデビュー作『マーキー・ムーン』は、NYパンクの金字塔だ。1年後にリリースされたこの2作目は、幾分、緊張感を緩めた感はあるが、トムの叙情性が表れている点でこちらも捨てがたい魅力を放つ。ドアーズを敬愛するだけあって、サイケな匂いも充満。
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