ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」が、何度もCMソングに使われてお茶の間に浸透していったように、フレンチ・ポップスは意外と身近なところで耳に馴染んでいることが多い。シルヴィ・バルタンの「あなたのとりこ」がCMや映画『ウォーターボーイズ』に使われてリバイバル・ヒットしたのが2002年頃。もともとは1968年のヒット曲だったので、シルヴィ・バルタンを全く知らない世代の人にも、広く受け入れられたということだ。60年代から70年代始めくらいまでは、ヨーロッパのポップスや映画音楽やロックもソウルも、すべて同じレベルで聞かれていた時代だったように思う。
ラジオから流れるヒット曲であれば、ポール・モーリアでもジミ・ヘンドリックスでもオーティス・レディングでも同じように受け入れ、メロディを一所懸命覚えようとした。そんな時、どこかムズムズするような思いを抱きながら聴いていたのがフレンチ・ポップスだった。あえぎ声が耳にまとわりつく「ジュ・テーム」を聴いて、こんな曲をラジオで流していいのかと思ったが、後になって、その曲を作った(デュエットもしてました)のがセルジュ・ゲンズブールだとわかり、フランス・ギャルやフランソワーズ・アルディの有名曲も作っていたことが判明。フレンチ・ポップスの魅力の2大潮流といえるエロスとロリータの双方に深く関わっていたのがゲンズブールだった。 フレンチ・ポップスの魅力は、何と言っても砂糖菓子のように甘く響くウィスパー・ボイスである。ジェーン・バーキンは露骨すぎるとしても、シャルロット・ゲンズブールやバネッサ・パラディ、アリゼ、ケレン・アン、コラリー・クレモン、カーラ・ブルーニとその系譜は今も根強い。一方、シャンソンの発展型としてフレンチ・ポップス〜ヴァリエテ・フランセーズを捉えると、人生の裏表を歌いこんだ、ある種アンニュイでモノローグ的な世界を作り上げたのがフランソワーズ・アルディや、その再来とも騒がれたケレン・アンである。演劇チックな世界はミレーヌ・ファルメールが受け継いでいる。 フランス映画が好きな方には、カトリーヌ・ドヌーヴやマリー・ラフォレ、イザベル・アジャーニ、アンナ・カリーナといった女優もアルバムを出しているので探してみると面白い。映画『男と女』での、ダバダバダ〜というフレーズは一世を風靡し、アラン・ドロンとダリダのデュエット「パロ−レ・パローレ」も耳に焼くつくヒット曲だ。 今回は、本場フランスだけでなく、フレンチ・テイストを感じさせる日本の歌手達もご紹介。あわせて、ヨーロッパ・ポップスの中で“シャンソン”と共に日本で幅広い人気のイタリアン・ポップス(カンツォーネ)も、ジリオラ・チンクェッティをはじめ数曲セレクトしたので、こちらもどうぞ。 (Text/遠藤哲夫) |






