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総合TOP > 連載 > ジャンル虎の穴 > Vol.22 フリー・ジャズ特集

ジャンル虎の穴 Vol.22 フリー・ジャズ特集 FREE JAZZ

狂気を突き抜ける生々しい咆哮 燃えさかる創造の炎が挑む表現の限界 ジャズの革新〜フリー・ジャズ

ジャズを歴史的に見ると、1910年代頃にディキシーランド・ジャズ(ニューオーリンズ・ジャズ)が生まれ、30年代にスウィング・ジャズが全盛となり、40年代にチャーリー・パーカーの出現でビ・バップが誕生する。ビ・バップをより洗練させた形でハード・バップが55年頃からジャズの主流を占めるに至る。この間、クール・ジャズやウエストコースト・ジャズなども傍流として脚光を浴びるが、ハード・バップから枝分かれしていくのが、ファンキー・ジャズやモード・ジャズなどであり、そして60年代半ばには新主流派を生み、80年代以降のフュージョンや新伝承派を経て現在に至る。

この歴史の中で、激動の60年代に噴出した一大ムーブメントといえるものがフリー・ジャズである。ハード・バップ全盛といえる50年代後半から、オーネット・コールマンやセシル・テイラーが奏でていた一風変った音楽、マイルスのモード奏法から独自のシーツ・オブ・サウンドを生み出したジョン・コルトレーン達が向かった新たなジャズの地平。社会情勢の変動とも背中合わせになり、60年のオーネットの『フリージャズ』によって、フリー・ジャズ時代が始まった。64年には、ビル・ディクソンやセシル・テイラーが中心となった「ジャズの10月革命」が起き、アーチー・シェップポール・ブレイなどが本格的にフリー・ジャズを志向していく。

従来のコード進行から離れて、自由な立場でプレイするのがフリー・ジャズだとすれば、エリック・ドルフィーなどは、コード進行から外れずにフリーの道を切り開いた稀有なミュージシャンである。フリー・ジャズはアルバート・アイラーなどの不世出の天才を生み出しながらも、一般的には難解な音楽というレッテルが貼られたまま、ブームが終息したように見えるが、アート・アンサンブル・オブ・シカゴやロフト・ジャズ一派の出現で70年代においても革新的な音楽を創造し続けた。その後のワールド・サキソフォン・カルテットやジェームス・ブラッド・ウルマーなどの活躍は、ファンクやロックも呑み込んだブラック・ミュージックの潮流として現在につながっている。

阿鼻叫喚のようなサックスだけを想像してもらっても困るが、そこに今まで感じたこともない強烈な刺激があることも事実。さあ、未知なる体験をフリー・ジャズで!

(Text/遠藤哲夫)

代表アーティスト

『Live Dead』

John Coltrane
ジョン・コルトレーン
『Ascension』

1965 Release

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『A Love Supreme』

『A Love Supreme』

1964 Release

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『Meditations』

『Meditations』

1965 Release

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チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィス等に並ぶジャズ界の巨人、ジョン・コルトレーン。1967年に40歳の若さでこの世を去るまで、まさに求道的といえる音楽人生を歩んだ。マイルス・デイヴィス・クインテットを抜けた後、モード奏法を独自に発展させ、インパルス・レーベルでの怒涛のような作品で、前人未踏の領域へと踏み込んでいく。スピリチュアルに変貌を遂げた『至上の愛』、一気にフリー・フォームへと雪崩れ込んだ『アセンション』の実験性など、前衛的な姿勢を貫いた。遺作となった『エクスプレションズ』の安らぎは何を物語るのか?

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『Free Jazz』

Ornette Coleman
オーネット・コールマン
『Free Jazz』

1960 Release

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『The Shape Of Jazz To Come』

『The Shape Of Jazz To Come』

1959 Release

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『Live At The Golden Circle Vol.1』

『Live At The Golden Circle Vol.1』

1965 Release

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ジャズの革命者、オーネット・コールマン。59年の『ジャズ来るべきもの』を経て、二つのカルテットを使った集団即興のアルバム『フリージャズ』によって、60年代の新しいジャズの方向性を切り開いた。エリック・ドルフィー、ドン・チェリー、チャーリー・ヘイデンといったフリー・ジャズ界に名を残す達人が参加した『フリージャズ』は、ジャケットに使われたジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングのように、音を譜面という制約から自由な空間へと解き放った。ソロイストとしても素晴らしく、『チャパカ組曲』『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』といった作品も必聴である。

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『Live In Greenwich Village: The Complete Impulse Recordings』

Albert Ayler
アルバート・アイラー
『Live In Greenwich Village: The Complete Impulse Recordings』

1998 Release

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『In Greenwich Village』

『In Greenwich Village』

1967 Release

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『Love Cry』

『Love Cry』

1968 Release

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フリー・ジャズが持っていた暴力的なエネルギーや崇高なエモーションを、すべて昇華させて純粋な一音に込めることが出来た異端の天才、アルバート・アイラー。ニューオーリンズ・ジャズが持っていた原初的なジャズの衝動を、そのままフリー・ジャズの世界に持ち込んだアイラーのサックスの音には例えようのない温かみがあった。61年のプロ・デビューから70年にNYのイースト・リバーで変死体で発見されるまで、10年ほどの短い活動期間の間に、『スピリチュアル・ユニティ』や『スピリッツ・リジョイス』などの名作を残す。本作はマイケル・カスクーナが編集した65〜67年録音のライブ集。

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『Four For Trane』

Archie Shepp
アーチー・シェップ
『Four For Trane』

1964 Release

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『Fire Music』

『Fire Music』

1965 Release

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『New Thing At Newport』

『New Thing At Newport』

1965 Release

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60年代当時は、過激な政治的発言で“怒れるテナー”とも呼ばれていたアーチー・シェップ。今でこそ、スタンダードやバラード集を連発して親しまれているシェップであるが、コルトレーンの『アセンション』に参加する前年に、コルトレーンに敬意を捧げて作り上げたのが『Four For Trane』で、フリーの度合いが高い奔放なブローが聴ける。この後シェップは、黒人意識とファンク色がドロドロになったような異色作を発表していくが、『アッティカ・ブルース』『ザ・マジック・オブ・ジュジュ』などは、 コルトレーン以上に、極限まで挑んだような過激さに満ち溢れている。

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『Karma』

Pharoah Sanders
ファラオ・サンダース
『Karma』

1969 Release

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『Thembi』

『Thembi』

1970 Release

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『Jewels Of Thought』

『Jewels Of Thought』

1969 Release

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コルトレーンの一番弟子といえば、何といってもファラオ・サンダース。コルトレーンがアリス・コルトレーンやラシッド・アリなどと新カルテットを作り、『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン』で、肉声を断ち切るかのように咆哮しまくっていたサックス奏者がファラオだ。死への巡礼のような崇高な瞬間も感じられるが、闇を切り裂くようなフリーキーな雄叫びは、時に苦痛さえともなう。悪く言えば“ハッタリ”の人でもあるが、コルトレーン亡き後のスピリチュアル性を受け継ぎ、『Karma』『Thembi』などは時代を象徴する傑作だ。今も現役で味のあるサックスを聴かせている。

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『Symphony For Improvisers』

Don Cherry
ドン・チェリー
『Symphony For Improvisers』

1966 Release

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Focus On Sanity   >>試聴
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Unite   >>試聴

『The Avant-Garde』

『The Avant-Garde』

1960 Release

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『Where Is Brooklyn Connoisseur』

『Where Is Brooklyn Connoisseur』

1966 Release

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オーネット・コールマンと共に、フリー・ジャズ・ムーブメントを牽引してきたのがドン・チェリー。『フリージャズ』などのオーネットの初期作品に参加、コルトレーンと『アヴァンギャルド』も作っている。自己のグループでは、アヴァンギャルドな過激性よりも、より民族音楽色を強めた方向性へと向かい、ガムランを取り入れた『永遠のリズム』などの名作も残している。一方で、ネナ・チェリーを介しての、80年代パンク/ニューウェイヴとの共演なども記憶に残る。ブルーノートに残した『Symphony For Improvisers』『Where Is Brooklyn』には、ファラオ・サンダースが参加している。

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フリー・ジャズおすすめアルバム

Sun Ra
『Live at Praxis '84』

1984 Release

The Art Ensemble of Chicago
『Fanfare For The Warriors』

1974 Release

Carla Bley
『Karen Mantler's Pet Project』

2000 Release

『Live at Praxis '84』

『Fanfare For The Warriors』

『Karen Mantler's Pet Project』

まさにジャズ界のブラックホールのような存在。土星からやってきたと公言するサン・ラ率いるアーケストラ(オーケストラ)の、スウィング・ジャズからフリーキーなノイズの嵐までを行き来するカオスの洪水は、世界遺産級の謎を孕みながら、膨大な記録を生み続ける。

祝祭的なパフォーマンスで集団即興演奏を繰り広げる5人組。69年の『苦悩の人々』で認められ、ブリジット・フォンテーヌのバックで吹き込んだ『ラジオのように』も有名である。フェイスペインティングして民族衣装を身にまとう彼等は、音楽の起源を遡るように音を紡ぐ。

ポール・ブレイとの結婚後、女流作曲家として名を上げる。「ジャズの10月革命」に始まる、ジャズ・コンポーザーズ・ギルドへの参加を経て、マイク・マントラーとジャズ・コンポーザーズ・オーケストラを結成。フリー・ジャズの分野での作・編曲の可能性に挑み続ける才女。

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Fate in a Pleasant Mood
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Why Not A Bear   >>試聴

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Roland Kirk
『Rip Rig And Panic』

1965 Release

Wayne Shorter
『Schizophrenia』

1967 Release

Gato Barbieri
『Latino America』

1973 Release

『Rip Rig And Panic』

『Schizophrenia』

『Latino America』

ジャズ界の大道芸人、ローランド・カーク。一度に3本のサックスを口に加え、鼻でホイッスルを演奏。そのワンマン・バンド的な姿勢は、ジャズ本来の大衆性につながり、高尚さとは無縁の遊びの美学を感じる。でもプレイ自体は本当に凄い。本作の他に『Domino』なども必聴。

マイルス・デイヴィス・クインテットで活躍の後、新主流派として一世を風靡、さらにウェザー・リポートでフュージョン時代の花形プレイヤーとなったウェイン・ショーター。ブルーノート初期の『Night Dreamer』や『JuJu』と並んで、オカルティックな世界が垣間見える。

アルゼンチン生まれのサックス奏者、ガトー・バルビエリ。60年代のドン・チェリーとの交友でも知られるが、ガトーが個性を発揮するのは、南米の民族音楽やラテン・サウンドを取り入れた『チャプター』4部作以降である。本作はその『チャプター』から抜粋した編集盤。

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山下洋輔
『ミスティック・レイヤー』

2006 Release

Paul Bley
『Hommage To Carla』

2001 Release

Don Pullen
『Sacred Common Ground』

1994 Release

『ミスティック・レイヤー』

『Hommage To Carla』

『Sacred Common Ground』

日本を代表する前衛ピアニスト、山下洋輔。森山威男、中村誠一(後に坂田明)と組んでいた山下洋輔トリオは、海外でも高い評価を得た。荒れ狂うように弾きまくる驚異的なピアノ奏法は、一度見たら(聴いたら)忘れられない。本作でも、落ちつきの中にきらりと狂気をしのばせる。

キース・ジャレットにも影響を与えたと言われているが、ポール・ブレイ特有の冷たくて、かつ官能的なピアノの音はフリー・ジャズとは関係なく、唯一無二のもの。特にピアノ・ソロである『Open, To Love』『Alone, Again』は名作である。本作はカーラ作品を集めたオマージュ集。

ジョージ・アダムス(sax)との双頭バンドで数々の名作を残したドン・プーレン。共に後期チャーリー・ミンガスのバンド出身であり、『チェンジス1&2』にも参加。プーレンは古くはESPのジュゼッピ・ローガンのバックで弾いているのでかなりのキャリア。95年に惜しくも亡くなった。

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Eric Dolphy
『Last Date』

1964 Release

Charles Mingus
『Changes One』

1974 Release

Charlie Haden
『Liberation Music Orchestra』

1969 Release

『Last Date』

『Changes One』

『Liberation Music Orchestra』

60年代ジャズの最高峰のプレイヤーであったエリク・ドルフィー。アルト・サックス、バスクラ、フルートそれぞれで神懸りのプレイを残している。コルトレーンやミンガスのアルバム、ブッカー・リトルとの双頭コンボなど聴くべきアルバムは多いが、遺作となった本作の美しさは特別だ。

モダン・ジャズ・ベース奏法を確立した一人であり、偉大なるコンポーザーとして名を残すチャーリー・ミンガス。あまりに強烈な個性ゆえカテゴリーの収まらず“ミンガス・ミュージック”と呼ばれた。『直立猿人』『道化師』『ミンガス・プレゼンツ・ミンガス』などの名作を発表。

“ベースの詩人”と呼ばれ、オーネット・コールマンとの運命的な出会いで『ジャズ来るべきもの』『フリー・ジャズ』に参加。政治色の強い『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』にはカーラ・ブレイも参加し、壮大な叙事詩を作り上げた。パット・メセニーやジェリ・アレンなどの若手とも共演。

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Gil Evans
『The Individualism Of Gil Evans』

1963 Release

Leroy Jenkins
『Space Minds, New Worlds, Survival of America』

1978 Release

Pat Metheny / Ornette Coleman
『Song X』

1985 Release

『The Individualism Of Gil Evans』

『Space Minds, New Worlds, Survival of America』

『Song X』

マイルス・デイヴィスの『クールの誕生』の影の仕掛け人のような存在であり、音の魔術師的なアレンジは、同じくマイルスの『スケッチ・オブ・スペイン』でも重要な役割を果たした。本作は『ギル・エヴァンスの個性と発展』という邦題がついていた、ギルのアレンジが堪能できる傑作。

今年の2月に亡くなったという訃報が入ってきた。70年代初頭のNY前衛ジャズ・シーンで活躍したヴァイオリン奏者、リロイ・ジェンキンス。ヴァイオリン、ベース(チェロ)、ドラムスという3ピースのレボリューショナリー・アンサンブルを結成し、かなり実験色の強い音楽をプレイ。

フリー・ジャズの巨匠、オーネット・コールマンを迎えてのデュエット・アルバム。音の空間を柔軟に埋め尽くしていくメセニーのギターと、無骨なオーネットのサックスの音が有機的に絡まる様は見事。これぞフリー・ジャズの極地といってもいい衝撃作。リマスターされ6曲のボーナストラックを追加。

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