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ジャズを歴史的に見ると、1910年代頃にディキシーランド・ジャズ(ニューオーリンズ・ジャズ)が生まれ、30年代にスウィング・ジャズが全盛となり、40年代にチャーリー・パーカーの出現でビ・バップが誕生する。ビ・バップをより洗練させた形でハード・バップが55年頃からジャズの主流を占めるに至る。この間、クール・ジャズやウエストコースト・ジャズなども傍流として脚光を浴びるが、ハード・バップから枝分かれしていくのが、ファンキー・ジャズやモード・ジャズなどであり、そして60年代半ばには新主流派を生み、80年代以降のフュージョンや新伝承派を経て現在に至る。
この歴史の中で、激動の60年代に噴出した一大ムーブメントといえるものがフリー・ジャズである。ハード・バップ全盛といえる50年代後半から、オーネット・コールマンやセシル・テイラーが奏でていた一風変った音楽、マイルスのモード奏法から独自のシーツ・オブ・サウンドを生み出したジョン・コルトレーン達が向かった新たなジャズの地平。社会情勢の変動とも背中合わせになり、60年のオーネットの『フリージャズ』によって、フリー・ジャズ時代が始まった。64年には、ビル・ディクソンやセシル・テイラーが中心となった「ジャズの10月革命」が起き、アーチー・シェップやポール・ブレイなどが本格的にフリー・ジャズを志向していく。
従来のコード進行から離れて、自由な立場でプレイするのがフリー・ジャズだとすれば、エリック・ドルフィーなどは、コード進行から外れずにフリーの道を切り開いた稀有なミュージシャンである。フリー・ジャズはアルバート・アイラーなどの不世出の天才を生み出しながらも、一般的には難解な音楽というレッテルが貼られたまま、ブームが終息したように見えるが、アート・アンサンブル・オブ・シカゴやロフト・ジャズ一派の出現で70年代においても革新的な音楽を創造し続けた。その後のワールド・サキソフォン・カルテットやジェームス・ブラッド・ウルマーなどの活躍は、ファンクやロックも呑み込んだブラック・ミュージックの潮流として現在につながっている。
阿鼻叫喚のようなサックスだけを想像してもらっても困るが、そこに今まで感じたこともない強烈な刺激があることも事実。さあ、未知なる体験をフリー・ジャズで!
(Text/遠藤哲夫)
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