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総合TOP > 連載 > ジャンル虎の穴 > Vol.31 エモ特集

ジャンル虎の穴/さまざまなジャンルがはびこる洋楽の世界。このジャンルってどんな音楽?「ジャンル虎の穴」は、毎回ひとつのジャンルをセレクトして、そのジャンルの成り立や、代表アーティストからマニアックな裏名盤までを紹介するコーナー。これであなたも音楽通に!

Vol.31 ジャンル虎の穴/エモ特集 感情全てをさらけ出せ!

>>代表アーティスト>>エモ系>>スクリーモ系>>ピアノ・エモ系

最近、音楽を愛する若者の会話から「エモい」という言葉をよく耳にする。感情的だったり、テンションが高まるような作品を指す時に使用する造語なのだが、この言葉の語源となったエモというジャンルが若者に絶大な支持を得て、ここ数年で大きくシーンを広めつつある。

エモという言葉が生まれたのは90年代初頭。マイナー・スレット、フガジ等、80年代中期に台頭したハードコア・バンドの影響を受け、過激に弾き立てるギターサウンドがメロディアスに、社会的批判だった主張が自己の内面をさらけ出すような切ない主張へと変化し「エモーショナル」つまり感情的な音楽へと派生していった。その代表となる作品がサニー・デイ・リアル・エステイト『Diary』である。緩急をつけたメロディラインはどこか寂しく、独特の哀愁を感じさせるジェレミーの歌声が切なく訴えかけてくる。エモーショナルという言葉が120%シンクロした名盤だ。グランジ・ブーム最中の94年にリリースされ、異様なほどの注目を浴びた彼らは方向性を見失い、結果として解散してしまうわけだが、メンバーのネイトとウィルはその後フー・ファイターズに加入、多くのフォロワーを誕生させている。

また、ウィーザージミー・イート・ワールド、ゲット・アップ・キッズの存在も外せない。パワーポップにインディ・ロック、それぞれが歩んできたルーツは違うものの、エモというキーワードにおいては模範とも言うべきサウンドを提供し、エモの黄金期を支えたバンド達である。

21世紀に入ると、エモはあらゆる要素を吸収し、次々と形を変えていく。90年代後期に興ったニュー・メタルに見られる絶叫シャウトを切ないメロディに加えたスクリーモ。エモ独特の感情的なメロディをピアノ、キーボードによってより美しく演出させたピアノ・エモなどがそれだ。

今やエモはハードコアで語れるものではなく、ジャンルとしても意味を持たなくなってきた。それゆえ、エモに対して批判的な態度をとる音楽ファンも少なくない。しかし、エモという言葉は自己主張をなくした若者の象徴であり、文化であり、支えなのだ。現代の若者が背負う未来、次世代を担うムーブメントとして、エモの世界を少しでも知っていただければと思う。
(Text/Gudera)

■代表アーティスト

ジャケットにはだらしない格好をした冴えない男4人が並び、ロックとは強くカッコ良くなければならないというイメージを根本から覆したウィーザーのデビューアルバム。根はオルタナティブロックなのだが、どこか田舎っぽく泣きの入ったメロディにリスナーは感銘を受けた。今や若手エモバンドのみならず多くのロックバンドからリスペクトを受ける存在である。

ALBUM
『Make Believe』

2005年 Release

ALBUM
『The Green Album』

2001年 Release

 

彼等の音楽にはエモの要素である、感情的なボーカル、切ないメロディライン、そしてロックの荒々しいギターサウンドが全て揃っていた。3作目となる本作は、派手さはないがミドルテンポでじわじわと感情を揺さぶり、エモーショナルの真髄を学ばせてくれる傑作。映画『25年目のキス』のサントラに「Lucky Denver Mint」が収録されたことで知名度も上がった。

ALBUM
『Futures』

2004年 Release

 

グリーン・デイ、サム41に次ぐ存在と言われながらもメロディアスかつヘヴィ、そして胸に突き刺さるような哀愁サウンドを繰り広げ、独自路線を行くニュージャージー出身の5人組。スクリーム気味のボーカルは印象的で、大合唱できるほどキャッチーなサビの展開も画期的である。3rd『The Black Parade』では、よりダークな世界をロックオペラとして完成させた。

ALBUM
『The Black Parade』

2006年 Release

ALBUM
『Live And Rare』

2007年 Release

 

ポップ・パンク勢の中で最も勢いのあるバンドと言えば、間違いなくフォール・アウト・ボーイだろう。若さを武器にした有り余るほどのパワフルな演奏力に、情のこもったボーカルのメリハリが、メジャー1stアルバムとは思えないクオリティに仕立て上げ、アメリカだけで300万枚のセールスを記録。新作『Infinity On High』も全米1位の快挙を達成している。

ALBUM
『Infinity On High』

2007年 Release

 

■エモ系

 

[ジャケット画像]

ダッシュボード・コンフェッショナル
『Dusk And Summer』

2006年 Release

 

夏の終わり、秋の夕暮れ。誰もがしみじみと切なさを感じずにはいられないそんな時期にピッタリな作品。アコースティックの温かみを活かしたバンドサウンド、涙腺を刺激する甘い歌声は、クリス・キャラバの素晴らしき才能に生み出された産物。波打ち際で1人うつむく姿もエモい。

 

[ジャケット画像]

オール・アメリカン・リジェクツ
『Move Along』

2005年 Release

 

名曲「スィング・スィング」を筆頭に、爽快なロックを楽しませてくれるオール・アメリカン・リジェクツ。ニックとタイソンの2人で作り上げた『The All-American Rejects』に比べ、2ndのグルーヴは格段に上がりさわやかさ倍増。エモの甘酸っぱい香りも漂ってくる良作だ。

 
 
 

[ジャケット画像]

30セカンズ・トゥー・マーズ
『A Beautiful Lie』

2005年 Release

 

映画『チャプター27』でジョン・レノンを殺した犯人を熱演したジャレット・レトがボーカルをとるロックバンドの2nd。洗練された音作りのお陰もあってか、感情的な叫びが多い割には落ち着きがあり、大人の美しさを感じさせる。アーティストとしての演技力もやはり素晴らしい。

 

[ジャケット画像]

ジ・アカデミー・イズ...
『Santi』

2007年 Release

 

2年前のパンクスプリング、昨年のサマーソニック出演で多くの観客を魅了したジ・アカデミー・イズ。フォール・アウト・ボーイのピート・ウェンツが運営するレーベルから誕生し、本格的なロックサウンドにダンサブルな要素を取り入れた、新スタイルのバンドである。歌声もセクシーで渋い。

 
 
 

[ジャケット画像]

テイキング・バック・サンデイ
『Louder Now』

2006年 Release

 

ビルボードの年間チャートにランクインするほどアメリカでは人気が高い、テイキング・バック・サンデイのメジャー第1弾アルバム。感情のままに歌い上げるツインボーカルのハーモニーは美しく、切ない上にキャッチーな大合唱必至ナンバーがズラリ。エモ好きなら魂を揺さぶられて当然。

 

[ジャケット画像]

ザ・スターティング・ライン
『Based On A True Story』

2005年 Release

 

ペンシルバニア出身の4人組のメジャーデビュー作となる2nd。メロディック・パンクの中にエモ要素を多く取り入れることで、パンク・キッズ中心だったファン層を大きく広げることに成功。メンバー全員が20代前半なだけに成長も著しい。今年1月には待望の3作目がリリースされる予定。

 
 

■スクリーモ系

 

[ジャケット画像]

サーズデイ
『War All The Time』

2003年 Release

 

エモをスクリーモへと発展させメインストリームへ押し上げたシーン最重要バンド、サーズデイ。本作は全米初登場7位を記録し、スクリーモを世界に認めさせたと共に、人間が抱える全ての感情と、芸術的な音の深みを全体に漂わせた実験的なアルバムでもある。

 

[ジャケット画像]

フィンチ
『Say Hello To Sunshine』

2005年 Release

 

スクリーモバンドの本家、フィンチのラストアルバム。ポップな要素もメロディックな展開もなく、残ったのは果てしなくダークな曲の数々だが、緻密に計算しつくされた構成にレベルの違いを感じさせる。とてつもない影響力を秘めていただけに解散は惜しい。

 

[ジャケット画像]

スライス
『Vheissu』

2005年 Release

 

日本人ギタリストのテッペイが所属するカリフォルニア州アーヴァイン産の4人組。過去作に見られたスピード感をあえて抑え、重くヘヴィにエモーショナル・ハードコアを鳴らすことで音楽的視野が広がっている。スクリーモの新しいスタイルを想像させる1枚だ。

 
 
 

[ジャケット画像]

フューネラル・フォー・ア・フレンド
『Casually Dressed And Deep In Conversation』

2004年 Release

 

今回、唯一のイギリス出身バンドとなったフューネラル・フォー・ア・フレンド。この1stが発売された当初は、単音を刻むギターリフを多用するためメタルコアに分類されていたが、強烈なスクリームに哀愁の強いメロディ展開はスクリーモそのものである。

 

[ジャケット画像]

ザ・レッド・ジャンプスーツ・アパラタス
『Don't You Fake It』

2006年 Release

 

フロリダ発5人組のポップ・パンクバンド。感情をむき出しのシャウトも注目だが、絶妙なコーラスワークに上手く絡み合うメロディの良さは、1stアルバムにして実力の高さを証明している。彼らのポップなスクリーモは、シーンに新たな息吹を吹き込んだ。

 

[ジャケット画像]

セイオシン
『Saosin』

2007年 Release

 

スクリーモの最終兵器として昨年デビューしたカリフォルニア出身のセイオシン。哀愁を帯びたメロディ、ハイトーン・ボイスから次々と放たれるクリーンな叫びはすでに一級品。飛びぬけた曲はないが、本作は間違いなくスクリーモを次のレベルへと伸し上げている。

 
 

■ピアノ・エモ系

 

[ジャケット画像]

サムシング・コーポレート
『Leaving Through The Window』

2002年 Release

 

サムシング・コーポレイトがデビューした当時、ピアノ・エモというジャンルは存在しなかった。しかし、アンドリュー・マクマホンの弾き語りスタイルと天才的なメロディ・センスは、後のピアノ・エモを開拓するアーティストに多大な影響を与えることになる。