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総合TOP > 連載 > ジャンル虎の穴 > Vol.16 ディープ・ソウル特集


ジャンル虎の穴/さまざまなジャンルがはびこる洋楽の世界。このジャンルってどんな音楽?「ジャンル虎の穴」は、毎回ひとつのジャンルをセレクトして、そのジャンルの成り立や、代表アーティストからマニアックな裏名盤までを紹介するコーナー。これであなたも音楽通に!
Vol.16 ディープ・ソウル特集
Vol.12 ボサノヴァ特集>>男性ディープ・ソウル>>女性ディープ・ソウル>>Stax/Atlantic系インスト
Vol.12 ボサノヴァ特集
ディープ・ソウルとは、元々はゴスペル・タッチのスロー・バラードを意味する言葉だったそうだが、一般的にはモータウンなどのノーザン・ソウルに対する、南部のソウル(サザン・ソウル)を指して使われることが多い。南部のメンフィスを本拠地にしたスタックス・レーベルや、アラバマのマッスル・ショールズで多くの録音をしたアトランティック・レーベルなどのアーティスト達がサザン・ソウルと呼ばれている。ただ、サザン・ソウルと共通する、ゴスペルやブルース、そしてカントリー・バラードなどの音楽要素を強く持ったアーティストはシカゴやニューヨークなど他の地域にもいるわけで、サザン・ソウル色が強いものを、幅を広げてディープ・ソウルと呼んでいる。

ディープ・ソウルの原型は、60年代初めの頃のサム・クックやジェイムス・ブラウンなどの曲に見出すことが出来るが、デトロイトで活動していたファルコンズ(ウィルソン・ピケット在籍)やニューヨークのソロモン・バークなども“ディープ”な曲を出し始めていた。そして、メンフィスのスタックスのスタジオで、オーティス・レディングが「ジーズ・アームズ・オブ・マイン」を録音したのが62年の10月だった。オーティスを筆頭に、サム&デイヴドン・コヴェイ、そしてブッカー・T&ザ・MGズなども活躍し、66年から67年にかけてスタックス・サウンドが世界に知れわたる。

アラバマのマッスル・ショールズでもプロデューサーのリック・ホールを中心に、白人のミュージシャン、作曲家(ダン・ペン&スプーナー・オールダムのコンビなど)によるサウンドが形作られていった。アトランティックのアレサ・フランクリンやウィルソン・ピケット、アーサー・コンレー、パーシー・スレッジなどが次々と名作を世に送り出した。70年代初頭のシンガー・ソングライターやスワンプ・ロックと呼ばれた一派もマッスル・ショールズ録音を多く残している。

日本では、70年代のシンガー・ソングライター・ブームのあと、ジェイムス・カーやオーティス・クレイ、O.V.ライトなどに新たな興味を示した者が少なくない。次第にマンネリ化していくシンガー・ソングライター達に比べ、ボーカルの説得力からして段違いのディープ・ソウルに熱中し、ゴールド・ワックスやハイ、フェイムといったレーベルが注目された。

サザン・ソウルは、70年代に入ると“ニュー・ソウル運動”やディスコの波を浴びて、後退気味となる(スタックスが倒産したり・・・)が、80年代には、マラコ・レーベルの頑張りで息を吹き返した。ヒップホップ全盛の現在にあっても、歌えるシンガーが出てくると、往年のディープ・ソウル/サザン・ソウルが引き合いに出される。魂をうち震わせるようなボーカルの魅力は永遠の輝きを失ってはいない。

(Text/遠藤哲夫)
男性ディープ・ソウル
Otis Redding  『Otis Blue』1965
サザン・ソウル/ディープ・ソウルを代表するシンガーといえば、やはりオーティス・レディングになるだろう。68年の全米No.1ヒット「The Dock Of The Bay」が有名だが、オーティスの最高傑作とされるのは、『Sings Soul Ballad』や、この『Otis Blue』である。ベスト盤で済ませるよりも、オリジナル・アルバムを聴いてほしい。“燃え尽きた男”の魂が宿る。
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I've Been Loving You Too Long  >>試聴
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Wilson Pickett  『In The Midnight Hour』1965
アラバマ生まれのウィルソン・ピケットが最初に名をあげるのは、ファルコンズで放った「I Found a Love」で、このアトランティックからのデビュー作でも再録。以降、「Land of 1000 Dances(ダンス天国)」「Mustang Sally」「Funky Broadway」など、野性味のあるダンス・ナンバーが次々にヒットするが、デュアン・オールマンが参加した「Hey Jude」等の重量感のあるバラードも凄い。
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In the Midnight Hour  >>試聴
  I Found a Love  >>試聴  
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Clarence Carter  『The Dynamic Clarence Carter』1969
盲目のシンガー/ギタリストであるクラレンス・カーターは、「Slip Away」や「Patches」といったヒットでも知られるが、その誰にも真似出来ない独特な歌い回しは強烈な印象を残す。エタ・ジェイムスの熱唱も有名な「I'd Rather Go Blind」をはじめ、ミディアムでクラレンス節が炸裂する「Too Weak To Fight」など、フェイム・スタジオのバッキングも含め、まさにダイナミックな1枚。
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I'd Rather Go Blind  >>試聴
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  Making Love (At The Dark End Of The Street)  >>試聴  
Sam & Dave  『Hold On, I'm Comin'』1966
日本でも当時「Hold on, I'm Comin'」は大ヒットしたが、ブルース・ブラザースが「Soul Man」を、ホール&オーツが「When Something〜(僕のベイビーに何か)」をカバーしたりで、ロック・ファンにも根強い人気なのがサム&デイヴ。66〜68年の間に、全米No.1ヒットを2曲含む、7曲ものトップ10ヒットを放っている。最近ではサム・ムーアが新作を出し、これが素晴らしいの一言。
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Hold on, I'm Comin'  >>試聴
  When Something Is Wrong With My Baby  >>試聴  
  Soul Man  >>試聴  
Solomon Burke  『If You Need Me』1963
2000年に入っても『ドント・ギヴ・アップ・オン・ミー』や『メイク・ドゥー・ウィズ・ワッチュー・ガット』といった名盤を発表し、ロック・ファンの心もがっちり掴むソロモン・バークだが、60年代にアトランティックに残したアルバムはどれもディープ・ソウルの最高峰。
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Home in Your Heart  >>試聴
Don Covay  『Mercy!』1965
その唱法がミック・ジャガーに大きな影響を与えたことでも知られるドン・コヴェイ。「Mercy, Mercy」はストーンズが65年の『Out Of Our Heads』でカバーしている。アトランティックからの2作目『Se-Saw』はメンフィス録音で、ファンキーなノリを生んでいる。70年代の『Super Dude1』も名盤。
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You're Good For Me  >>試聴
Percy Sledge  『When A Man Loves A Woman』1966
「男が女を愛するとき」であまりに有名になってしまったパーシー・スレッジ。サザン・ソウル・シンガーとしては、それほど歌が上手いというわけでもないのだが、温かみのあるのある声はまさしく“Warm And Tender”。このデビュー作では、「My Adorable One」なども非常に味わい深い。
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When A Man Loves A Woman  >>試聴
Warm And Tender Love  >>試聴
Eddie Floyd  『Knock On Wood』1967
ウィルソン・ピケットと同じファルコンズ出身。スタックスからのデビュー作は、No.1ヒットの「Knock On Wood」をフィーチャー。アップもスローも軽妙にこなすのが持ち味か。ジェリー・バトラーの「I Stand Accused」や、ウィルソン・ピケットの「634-5789」など、カバーも聴き応えあり。
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Knock On Wood  >>試聴
I Stand Accused  >>試聴
William Bell   『The Soul Of A Bell』 1967
オーティス・レディングよりも先にメンフィス・ソウルのヒット曲「You Don’t Miss Your Water」(61年)を放つ。本作収録のものは再録になるが、A面がバラード曲、B面がジャンプ曲で構成されていた。マイルドな持ち味のベルのボーカルは、カントリー・バラードで一層光る。
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Do Right Woman - Do Right Man  >>試聴
Johnnie Taylor  『Wanted: One Soul Singer』1967
サム・クックの後継者としてソウル・スターラーズに参加、スタックスに入って1作目が本作であるが、非常にブルース臭いこのアルバムよりも、2作目の『Who's Making Love』の方が人気が高いかも。でもこのボーカルのエグさは凄い迫力。75年には「Disco Lady」の大ヒット有名に。
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Just The One I've Been Lookin' For  >>試聴
Ain't That Loving You  >>試聴
BILL CODAY   『Right On Baby - The Crajon Recordings』 2006
デニス・ラサールが「Trapped By A Thing〜」を取り上げたことで名が知られるようになったジョージア出身のシンガー。無名ながらディープなシャウト唱法は、O.V.ライトに迫るものがある。「Jury Of Love(8 Men 4 Women) 」を、そのO.V.のヴァージョンと聞き比べるのも面白い。
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Jury Of Love (8 Men 4 Women)  >>試聴
A Woman Rules The World  >>試聴
Roscoe Robinson   『Heavenly Soul Music - The Jewel / Paula Recordings』2006
名門ゴスペル・グループ、ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピー出身のロスコー・ロビンソン。ワンドやサウンド・ステージ7などにもシングルがあるが、本作はジュエル/ポーラ時代の編集盤。ボビー・ウォマックのカバー「Trust Me」に泣かされる。哀感漂うボーカルが魅力。
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Spencer Wiggins   『Key To The Kingdom』 2003
泣く子も黙るスペンサー・ウィギンスであるが、ゴールドワックス時代の『Soul City USA』が懐かしい。『GOLDWAX YEARS』というCDも出ているので、究極のサザン・ソウルは是非そちらで。本作はどっぷりとゴスペル畑に移っての復活アルバム。バックがチープなのは我慢して・・・。
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Ben E. King  『Don't Play That Song』1962
ベン・E・キングといえば「スタンド・バイ・ミー」。そのオリジナルが収録されたのが62年の本作で、ドリフターズから独立してソロ3作目となる。ハスキーなバリトン・ボイスは情熱的でもあり、どこかスマートさもある。その魅力には抗し難いものがある。「Don't Play That Song」も熱い。
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Don't Play That Song  >>試聴
Bobby Womack   『Understanding』 1972
サム・クック直系であるが、オーティス・レディングやウィルソン・ピケットの流れも汲みつつ、ニュー・ソウルの中ではダニー・ハサウェイに対抗できた孤高のソウル・シンガー、ボビー・ウーマック。80年代の『The Poet』も最高だったが、まさに“ラスト・ソウルマン”に相応しい。
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Donny Hathaway  『Extension Of A Man』1973
決してサザン・ソウルではないが、70年代のニュー・ソウルの中核となった重要人物がダニー・ハサウェイ。同じくシカゴ出身のカーティス・メイフィールドや、モータウンのマーヴィン・ゲイなどと並んで大きな影響力を持った。「Someday We'll All Be Free」を含む本作は彼の最高作とされる。
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女性ディープ・ソウル
Aretha Franklin  『Amazing Grace: The Complete Recordings』1999
コロンビア・レコードを経て、アトランティックでは“ソウルの女王”としての地位を築き上げたアレサ・フランクリン。オーティスのカバー曲である「Respect」の大ヒットをはじめ、『I Never Loved A Man〜』や『Lady Soul』等の名作アルバムはどれも必聴。勿論、このゴスペル・アルバムも。
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You've Got A Friend  >>試聴
Etta James   『Her Best - The Chess 50th Anniversary Collection』1997
強烈なシャウトが、アレサとは違った存在の大きさを感じさせるエタ・ジェイムス。チェス初期のR&B時代を経て、マッスル・ショールズ録音の『Tell Mama』あたりが“ディープ・ソウル”としては馴染み深い。「I’d Rather Go Blind」はクラレンス・カーターと並ぶ名バージョン。
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I’d Rather Go Blind  >>試聴
Losers Weepers  >>試聴
The Sweet Inspirations  『The Sweet Inspirations』1967
ホイットニー・ヒューストンの母親、シシー・ヒューストンが在籍していた女性4人組で、全員が名門ゴスペル・グループ出身。そのディープで肉厚なソロ&コーラスは、ソウル界屈指の実力を誇った。「The Sweet Inspirations」は全米18位のヒットに(ダン・ペン作)。
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Here I Am (Take Me)  >>試聴
Do Right Woman-Do Right Man  >>試聴
Carla Thomas  『Comfort Me』1966
オーティスとのデュエット・アルバムもある“メンフィス・クイーン”。ご存知、ルーファス・トーマスの娘でもある。バラードでのディープな持ち味もいいが、ヒット曲カバーをさらりとこなす軽妙さも捨てがたい。「Comfort Me」には、グラディス・ナイトも参加。
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Woman's Love  >>試聴
Comfort Me  >>試聴
Doris Troy  『Sings Just One Look And Other Memorable Selections』2005
ジョージ・ハリスンが惚れ込んで、アップルからアルバムを出していることでも知られるが、63年の「Just One Look」の大ヒットで有名(ホリーズやリンダ・ロンシュタットがカバー)。ミュージカル『ママ、アイ・ウォント・トゥ・シング』のモデルともなった。
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Time  >>試聴
Candi Staton  『The Best Of Candi Staton』1995
フェイム時代の『I'm Just A Orisoner』と『Stand By Your Man』が何と言っても女性サザン・ソウルの超名盤として名高い。ワーナーに移ってからは、ディープから抜け出したキャンディの新たな魅力が開花し、「Young Hearts Run Free」はNo.1ヒットに。
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