ボサノヴァの起源は、1958年にアントニオ・カルロス・ジョビンが作曲し、ヴィニシウス・ジ・モライスが作詞した「Chega de Saudade(想いあふれて)」という曲である。ギター伴奏をつけたジョアン・ジルベルトが自ら歌ってレコードとなった。打楽器による強烈なシンコペーションするリズムが特徴だったサンバの様式ではなく、ギター、ピアノなどのシンプルな演奏だけで、つぶやくように歌うボサノヴァは、その斬新さとモダンな感覚で、従来のブラジル音楽に改革をもたらした。
アメリカでは、ボサノヴァが従来のポピュラー音楽と融合して、セルジオ・メンデス&ブラジル'66が人気を博し、ジャズのCTIレーベルのように、アントニオ・カルロス・ジョビンのイージーリスニング・ジャズや、ボサノヴァの楽曲をジャズ風にアレンジしたジャズ・ボッサのアルバムも数多く作られた。このブームにより本来のボサノヴァ(新しい感覚)が、サロン風な音楽になり下がってしまったような部分もあり、ボサノヴァに変わるMPB(Musica Popular Brasileira)の潮流が生まれ、現代へと繋がっていく。
白人テナー・サックスの巨人であるが、クール・ジャズで一斉を風靡した後、50年代半ばに一時期低迷するが、62年のチャーリー・バードとの共演盤で初めてボサノヴァを取り入れ、63年の『ゲッツ/ジルベルト』でボサノヴァ・ブームを巻き起こす。本作はジョビンの曲を集めた編集盤で、一連のボサノヴァ作5作からの名曲をまとめて聴くことができる。アストラッドが6曲でボーカルをとる『Getz Au Go Go』も必聴!
ブラジル音楽をよりポピュラーにしたのは、やはりセルジオ・メンデスの功績が大きい。ボサノヴァを取り入れたソフト・ロック/ポップス路線は、ビートルズやバート・バカラックのカバー曲の親しみやすさも手伝い、60年代後半に爆発的な人気を誇った。今年に入り、ブラック・アイド・ピーズとのコラボで人気再燃中なのはご存知のとおり。時代を超越したお洒落な名曲「Mais Que Nada」の聴き比べを是非!