93年に、シャロン・ストーン主演の映画『硝子の塔』でも使われたエルヴィス・プレスリーのカバー「I Can't Help Falling In Love With You(好きにならずにいられない)」が世界的に大ヒットし、UKレゲエ界の重鎮としてデビュー25周年を迎えるUB40。
イギリスで失業手当をもらう時の書式番号を意味するUB40をそのままバンド名とした彼等は、工業都市バーミンガムの労働者階級の出身だ。アリ&ロビン・キャンベル兄弟を中心に白人・黒人混合のメンバーで78年に結成され、アルバム・ジャケットに失業手当申請書を模した『サイニング・オフ』(80年)でデビュー。当時のイギリスの状況への不満や怒りを込めた内容で、2トーン=スカ・ブームと共にポスト・パンク世代の支持を集めた。
レゲエとポップスを組み合わせ、より一般的な人気を獲得したのが83年リリースの『レイバー・オブ・ラブ 1』で、初の全米No.1ヒットとなる「Red Red Wine」を収録している。スカやロック・ステディのカバーを中心にしたこのアルバムは、メンバーの祖国でもあるジャマイカへのリスペクトを込めたもので、後にシリーズ化される。彼らはその後、プリテンダーズのクリッシー・ハインドとのデュオを聴かせる「I Got You Babe」(ソニー&シェールのカバー)や、ハーブ・アルパートがトランペットで加わったアフリカ解放賛歌「Sing Our Own Song」などをヒットさせ、幅広い音楽性を発揮していく。
レゲエ・カバーだけでなく、テンプテーションズやアル・グリーンのソウル・ヒットを取り上げた『レイバー・オブ・ラブ 2』(89年)も大ヒットし、ポップ・レゲエを代表するグループとして不動の地位を築いた。
93年には、全世界で900万枚を売り上げたという『プロミス・アンド・ライズ』をリリース、「好きにならずにいられない」が2枚目の全米No.1ヒットとなる。彼等は、この曲で世界で最も有名なレゲエ・バンドになったが、本来の社会的・政治的な姿勢が無くなったわけではない。人種差別に反対するために南アフリカで大規模なコンサートを行ったり、国連AIDS撲滅キャンペーンとのタイアップ等、国際的な活動を繰り広げている側面も見逃してはなるまい。
そして、通算23枚目となるスタジオ・アルバム『フー・ユー・ファイティング・フォー』では、戦争反対を訴え、原点に立ち返るようにライブ感覚を生かしたレコーディングを行ったという。有名なヒット曲をトロピカルなアレンジでカバーするだけがレゲエではない。ゆったりしたリズムの中に鋭いメッセージを込める、UB40は闘い続けるバンドだ。そしてラブ・ソングを歌うポジティブな明るさも決して忘れない。(Text/遠藤哲夫)
「君は誰のために戦うのか」、イラク戦争に触発されて書かれたというタイトル曲の問いかけが鋭く突き刺さる。ここには、デビュー当時のように、社会に向けて叫ばずにはいられなかったUB40がいる。デビュー25周年を迎え、自分達のスタート地点を見据え、更に先に進んでいこうとする意志が感じられる。
彼等をスターダムに押し上げたポップ・レゲエの要素、キャッチーさをアピールする得意のカバーでは、マンハッタンズの76年の全米No.1ヒット「Kiss And Say Goodbye(涙の口づけ)」、UKレゲエの先駆者マトゥンビの「After Tonight」の他、何とビートルズの「I'll Be On My Way」が!
ボブ・マーリー亡き後のルーツ・レゲエを支えたブラック・ウフル。ダッキー・シンプソン、マイケル・ローズ、プーマ・ジョーンズ(女性)の3人によるレゲエ・コーラスは、グラミー受賞の『Anthem』(83年)で一時代を築いた。本作は別名『Guess
Who's Coming To Dinner』で知られる名盤。スライ&ロビーがバック!
スペシャルズのボーカルを担当していたテリー・ホール他3人が脱退して、新たに結成したのがファン・ボーイ・スリー。スカっぽい「Funrama Theme」などもあるが、どちらかというとトーキング・ヘッズに近い。テリー・ホールはこの後、Go-Go'sでヒットする「Our Lips Are Sealed」を作り、どんどんポップに。