今年の夏、サーフ・ミュージック・シーンの歌姫として日本でも大ブレイクを果たしたトリスタン・プリティマン。。“女性版ジャック・ジョンソン”とも呼ばれ、デビュー・アルバム『トゥエンティスリー』からの1stシングルとなった「Love Love Love」は、全国のラジオ局でヘビー・ローテーションとなり、各局のチャートでNo.1になった。カリフォルニアの陽光と潮風を運んでくるような、オーガニックな歌声は、そのカジュアルでプリティ(!)なルックスと共に、多くのファンの心を掴んだ。
南カリフォルニアのサンディエゴ(ビーチタウンであるデルマー)出身のトリスタンは、1982年5月23日生まれなので今年23才、アルバム・タイトルの『トゥエンティスリー』は彼女自身の現在の年齢を表している。南カリフォルニアのレイドバックした環境のもと、12才の頃からサーフィンを始めた彼女は、女性シンガー・ソングライターのアーニー・ディフランコやジョニ・ミッチェルの影響を受けて、曲も作り始めるようになる。友人たちの前でパフォーマンスし、やがてコーヒーショップでも歌うようになった彼女だが、サーフィンやモデルも続けていて、歌はまだ趣味の領域を出ていなかった。
だが、この頃、ジャック・ジョンソンが運営する映像制作会社“ムーンシャイン・コンスピラシー”の眼に留まり、彼が編集に携わっていたサーフ・ビデオ「Shelter」に楽曲を取り上げられたことが、トリスタンの音楽人生を大きく変えていく。現在のサーフ・ミュージック・ブームの先駆者でもあるジャック・ジョンソンの仲間たちであり、同じサーフ・ミュージック・シーンを支えるGラヴやドノヴァン・フランケンレイター、ジェイソン・ムラーズ(現在、恋人同士!)、ジョン・バトラー・トリオなどのツアーに同行するようになり、トリスタンのパフォーマンスは日増しに評判を高めていくことになる。
2002年の12月に彼女は4曲入りのデモCDを制作している。トリスタンのオフィシャル・サイトで試聴できるが、さすがにまだ硬い感じ。その後、2003年8月に自主制作でリリースした『The Love EP』になると、いい意味で肩の力が抜けてきて、波しぶきに太陽の光が反射するようなキラキラとした個性がもう生まれている。このEP盤はインディーで1万枚以上を売り上げ、2004年のサン・ディエゴ・ミュージック・アウォーズでは、“ベスト・アコースティック・パフォーマー・ジ・イヤー”を受賞した。
もうこの時期になると、多くのレコード会社がトリスタンの争奪戦を始めており、遂にメジャー・レーベル(ヴァージン)との契約に至る。2004年の冬からニューヨークで録音が開始され、2005年8月にデビュー・アルバム『トゥエンティスリー』はリリースされた。ノラ・ジョーンズのバンド・メンバーやジェイソン・ムラーズが参加した、爽やかさと同時にしっとりとした女性らしさも感じさせる、シンガー・ソングライター・アルバムの傑作でもある。
そして、2ndシングルとなる「Always Feel This Way」にアルバム未収録曲を加えた『ALWAYS FEEL THIS WAY EP』が日本独自の発売となる。「Love Love Love」のアコースティック・バージョンや「Crazy」「Daisy」といった未発表曲が収録されたスペシャル・パッケージ。来年の1月には待望の来日も決まったトリスタン。このEP盤を聴いて来日を待て!
(Text/遠藤哲夫)
遠くで聞こえる波の音に、ファンキーなアコギのリズムが被さってくる1曲目の「Love Love Love」だけで、もう降参!はるか昔にリッキー・リー・ジョーンズの「恋するチャック」を聴いた時のような衝撃を感じたりして…。2曲目の「Always Feel This Way」もノラ・ジョーンズ・ミーツ・ジャック・ジョンソンと称されるのもわかる、実にリラックスしながらもオーガニックな味わい。ちょっとハスキーになるトリスタンの声も魅力的で、「The Story」や「Electric」「Breathe」では、センシティヴな叙情も感じさせるなど、サーフィンだけではくくれない、本質的な部分でフォーク的な歌作りの才能がある人なんだな、と思ってしまう。ジェイソン・ムラーズとのデュエットにはちょっと妬いてしまうけど、ノラ・ジョーンズのバンド・メンバー達、ジェシー・ハリスやリー・アレクサンダーを迎えてのライヴ録りのような、シンプルだけど温かみのあるサウンド。秋になってもまだまだ聴きたい!
全世界で3000万枚を売り上げたという、デビュー・アルバム『Jagged Little Pill』(95年)の発売10周年を記念して作られた、アコースティック・バージョン。10年たって、さすがに落ち着きはらって、当時はまさにセンセーショナルだった曲を繊細に歌い上げる。過激な歌詞が話題となった「You Oughta Know」も客観的に歌えるようになった、ということでしょうか?シェリル・クロウの新作と並べて聴くと面白いかも。
北欧のミュージック・シーンから登場した新世代女性シンガー・ソングライター、マレン・モーテンセン。そのジャジーなサウンドは、北欧のノラ・ジョーンズというか、もっと洗練された上品さを感じる。ニルス・ラン・ドーキーがプロデュースしたデビュー盤から2年、待望の新作が登場した。ジョニ・ミッチェルの「All I Want」やアニタ・ベイカーの「Giving You The Best〜」に言葉を失う。
スキンヘッドで登場したアイルランド出身の才女、シンニード・オコナー。過激な行動ばかりが話題となりがちだが、そのカリスマ性も含め、音楽にじっと向き合いたい女性である。プリンス作の「愛の哀しみ(Nothing Compares 2U)」が世界的に大ヒット。内なる情念を静かに燃焼させていくような「Don't Cry For Me Argentina」や「John I Love You」での凄みもこの人ならでは。