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洋楽TOP > アーティストインデックス > アーティスト特集 > トム・ウェイツ
“酔いどれ詩人”が描き出す儚いセンチメンタリズム しゃがれ声のバラードが心をえぐる Featured Artist:TomWaits トム・ウェイツ
Selected Discography トム・ウェイツ的おすすめ
 トム・ウェイツ、この名前から連想されるものは“酔いどれ詩人”というイメージがいまだ強い。場末のキャバレーや裏通りのバーにうごめく人間模様、夢や挫折を、時にはシニカルに、時にはメランコリックに描き出す。その圧倒的なリアリティーを持つストーリーテリングの裏側には、社会からあぶれた人達へのどこか温かい眼差しが隠れている。しかし、そこには自らを“酔いどれ詩人“として演じる、パフォーマーとしての性(ペルソナ)も見え隠れしていた。
 73年にアサイラムから『クロージング・タイム』でデビューして以来、アサイラムで7枚、その後移籍したアイランドで7枚(サウンドトラック盤も含む)のオリジナル・アルバムを発表してきたトム。ジャズ色を強めながらも、センチメンタルな名バラードを幾つも残してきた。そのトムのキャリアの中で、音楽的な変化が現われたのが、アイランドからの1枚目『ソードフィッシュトロンボーン』(83年)だ。続く『レイン・ドッグ』『フランクス・ワイルド・イヤーズ』と並び“フランク3部作”と呼ばれるものだが、ここでトムは、それまでのジャズ に色づけされたビート詩人のペルソナを脱ぎ捨て、もっと演劇チックというか、不条理でアヴァンギャルドな世界に踏み込んでいった。当初は面食らっても、トムの映画俳優(ジム・ジャームッシュ映画の常連)としての活躍や、映画音楽、前衛演劇の作曲といった幅広い創作活動を考えると、この新たな挑戦も納得がいく。99年の『ミュール・ヴァリエーション』からエピタフ傘下のANTIに移籍し、最新作は『リアル・ゴーン』(04年)となる。
  だが、トムのアルバムの中では、いまだにアサイラムの1、2作目を最高作として信奉しているファンが多い。当時のシンガー・ソングライター・ブームも手伝い、日本でもそのダミ声の圧倒的な存在感は知れ渡り、イーグルスによってカバーされた「Ol' 55」や、「The Heart Of Saturday Night」といった名曲は今なお色褪せることはない。デビュー作はフォーク色を残した中にジャジーな感覚がきらりと光るサウンド・プロダクションだったが、2作目以降はビートニク詩人してのトムの個性や、ジャズ・ミュージシャンの起用を押し出して独自の世界を作り上げていった。いまでも愛されているトムの極上のラヴ・ソングは、トム自身の資質をジャジーな感覚で切り取ってみせているものが多い。
 フランシス・フォード・コッポラ監督の映画『ワン・フロム・ザ・ハート』の音楽の仕事を経て、リズム&ブルース色を強めた『ハートアタック・アンド・ヴァイン』を最後にアサイラムを離れるトム。今回の特集では、そのアサイラム時代を徹底検証。煙草の煙の向こうにセピア色の思い出がよみがえる。(Text/遠藤哲夫)
代表アルバム
『Closing Time』 1973 Release
ダウンロード価格
トラック 各\150(税込)
「閉店の時間です」。バーで酔いつぶれたトム・ウェイツの情景が浮かぶ。当時23才、キャラクター的に作りあげた部分はあったにせよ、夜にうごめく人間関係から人生の悲哀をすくい上げる、その詩的才能はやはり素晴らしい。ケルアックやブコウスキーから影響を受けた、そのストーリーテラー振りはこのデビュー作から完成されている。
名曲揃いであるが、「Ol'55」や「I Hope That〜」、40年ぶりにかつての恋人に電話をかける「Martha」などは親しみやすい切なさを伴う。ジャジーな「Virginia Avenue」「Midnight Lullaby」はどこか酩酊感があり、「Little Trip〜」「Grapefruit Moon」「Closing Time」と続く、甘くて渋い響きは、やはりこのデビュー作でしか味わえないもの。
01. Ol'55  >>試聴
  02. I Hope That I Don't Fall In Love With You  >>試聴  
  03. Virginia Avenue  >>試聴  
  04. Old Shoes  >>試聴  
  05. Midnight Lullaby  >>試聴  
  06. Martha  >>試聴  
  07. Rosie ※  
  08. Lonely  >>試聴  
  09. Ice Cream Man  >>試聴  
  10. Little Trip To Heaven  >>試聴  
  11. Grapefruit Moon  >>試聴  
  12. Closing Time  >>試聴  
  ※印の楽曲は現在OnGenでは取り扱っておりません  
Links
ワーナーミュージック・ジャパン(トム・ウェイツ)
トム・ウェイツ・オフィシャル・サイト
アーティスト詳細ページ
Selected Discography
『The Heart Of Saturdayb Night』 1974年 Release 『The Heart Of Saturdayb Night』 1974年 Release
一曲ごとに短編小説でも読むかのように、都会の夜の孤独感や情熱を描いていく。“土曜の夜”というテーマで統一されたコンセプト・アルバム風。多くのカバーを生んだ「San Diego Serenade」は泣ける1曲。ジャジーな「New Coat Of Paint」「Diamonds On My Windshield」もどこか悲しげ。
おすすめトラック
San Diego Serenade  >>試聴
The Heart of Saturday Night  >>試聴
New Coat Of Paint  >>試聴
『Nighthawks At The Dinner』 1975年 Release 『Nighthawks At The Dinner』 1975年 Release
ライブが評判を呼んでいたせいか、急遽制作されたらしい2枚組ライブ盤。ジャズ・スタイルのラップがかなりの割合を占めるので、英語がわかると面白さ倍増。下品なジョークはさておき、「Eggs And Sausage」「Better Off Without A Wife」あたりは曲自体がいいので、要チェック。
おすすめトラック
Eggs And Sausage  >>試聴
Better Off Without A Wife  >>試聴
Warm Beer And Cold Women  >>試聴
『Small Change』 1976年 Release 『Small Change』 1976年 Release
初期の名作のひとつであり、シェリー・マン(ds)、ルー・タバキン(ts)等の有名ジャズメンをバックに、更に荒々しくなったダミ声で迫る。ジャケットように猥雑な感じや悲哀がごちゃ混ぜになって、一気に押しよせる。「Tom Traubert's Blues」はしゃがれ声にかけては先輩のロッド・スチュワートもカバー。
おすすめトラック
I Wish I Was In New OrLeans  >>試聴
Tom Traubert's Blues  >>試聴
Invitation To The Blues  >>試聴
『Foreign Affair』 1977年 Release 『Foreign Affair』 1977年 Release
ベット・ミドラーとのデュエット「I Never Talk To Strangers」が白黒映画のイメージにぴたりとはまる。実際にロード・ムービーを見ているような芳醇なストーリーが満載のアルバム。「蛍の光」をイントロに使った「A Sight For Sore Eyes(想い出に乾杯)」の美しさといったら!
おすすめトラック
I Never Talk To Strangers  >>試聴
A Sight For Sore Eyes  >>試聴
Burma-shave  >>試聴
『Blue Valentine』 1978年 Release 『Blue Valentine』 1978年 Release
ちょっとマンネリ化を危惧したのか、エレクトリック・ギターを取り入れた曲も披露。トムの視線は更に鋭く、社会のドン底でうごめく人達を見つめる。娼婦の嘘をやさしく包む「Christmas Card〜」や、チンピラの末路を歌う「Romeo Is Bleeding」には、やるせなさと共に優しい眼差しを感じる。
おすすめトラック
Christmas Card From A Hooker In Minneapolis  >>試聴
Blue Valentine  >>試聴
Romeo Is Bleeding  >>試聴
『Heartattack And Vine』 1980年 Release 『Heartattack And Vine』 1980年 Release
『ワン・フロム・ザ・ハート』の映画音楽を担当中に作り上げたのが本作。B・スプリングスティーンがカバーした「Jersey Girl」など、ヴィヴィッドな音が印象的。同名映画の主題歌となった「On The Nickel」や、ゴダール映画で使われた「Ruby’s Arms」といったドラマチックな名曲を含む。
おすすめトラック
Jersey Girl  >>試聴
Ruby’s Arms  >>試聴
On The Nickel  >>試聴

(トム・ウェイツ的)こんなのもおすすめ
Lou Reed『Ecstasy』2000 Lou Reed『Ecstasy』2000
元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドということで、何か突拍子もないことをやる点ではトム・ウェイツに似ているかも。89年の傑作『ニューヨーク』に続く最高のロックンロール・アルバム。うごめく情念がエクスタシーに昇華する瞬間を確かに捉えている。
おすすめトラック
Paranoia Key Of E  >>試聴
Ecstasy  >>試聴
Baton Rouge  >>試聴
Chris Isaak『Forever Blue』1995 Chris Isaak『Forever Blue』1995
トム・ウェイツとの共通点は、共に映画俳優としても名が知られていること。『羊たちの沈黙』『ツイン・ピークス』などが有名だが、本業の歌手でもエルヴィス・プレスリーとロイ・オービソンが引き合いに出され、そのメランコリーでサイキックな歌声は癖になる。
おすすめトラック
Somebody's Crying  >>試聴
Graduation Day  >>試聴
Shadows In A Mirror  >>試聴
Latin Playboys『Dose』1999 Latin Playboys『Dose』1999
プロデューサーとして売れっ子のミッチェル・フルームとチャド・ブレイクが、ロス・ロボスのメンバーと組んだ無国籍風バンド。アヴァンギャルドな切り口はアイランド移籍後のトム・ウェイツと通じるものがある。インストの「Fiesta Elotica」は中東風ジミヘン?
おすすめトラック
Fiesta Elotica  >>試聴
Cuca's Blues  >>試聴
Paletero  >>試聴
Marc Ribot『Saints』2001 Marc Ribot『Saints』2001
元ラウンジ・リザースのギタリストであり、トム・ウェイツの『レインドッグ』他の重要作にも参加。この人のギターなしでは、あのジャンクなサウンドは生まれなかったろう。“にせキューバ”アルバムも好評だった。アルバート・アイラーをギター1本でやるか?
おすすめトラック
Happiness Is A Warm Gun  >>試聴
St.James Infirmary  >>試聴
Holy Holy Holy  >>試聴




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