Track List

2007/03/30 Release ダウンロード価格 アルバム \1,500(税込) トラック 各\150(税込)
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ジニュワイン「Pony」やアリーヤ「One In A Million」などでシンコペイテッド・ビーツ(チキチキ系)をアピールし、「ありえない斬新さ」を武器にティンバランドはサウンド・プロダクションの常識を覆した。以来10数年にわたりトップ・クリエイターとしての地位を維持し、アーティストとしても『Welcome to My World』(1997)、『Tim's Bio』(1998)、『Indecent Proposal』(2001)、『Underconstruction II』(2003)と怪作を送り出してきたわけだが、この新作でまたもやリスナーを驚かせることになるだろう。
あらゆるカテゴリーやジャンルや概念をごった煮にしたスープのような音楽性は、今回もまたアイディア満点。ゲストのラインナップも多彩だが、単に大物を呼んだというだけではなく、それぞれの個性を見事に引き出している。
プレイ・ボタンを押すと、まずは嫌でも耳に残るピアノ・ループではじまる「Oh Timbaland」が耳を刺激する。そして、続く先行シングル「Give It To Me」も強力だ。ティンバランドの功績によって成功したといっても過言ではないネリー・ファータドとジャスティン・ティンバーレイクをフィーチャーしたこの曲は、安定感のあるビートとラップ、ボーカルの融合感がとにかく絶妙。
引き続きティンバーレイクが参加する「Release」は、テクノからの影響も感じさせる斬新なトラックだ。ぐいぐい引っ張られるような強さが新鮮。やはりテクノ・オリエンテッドな「The Way I Are」にも言えるが、多様なジャンルのエレメントを最大限に活用するセンスはさすがだとしか言えない。
「Bounce」はティンバーレイクに加えてミッシー・エリオット、そしてティンバランドが敬愛してやまないドクター・ドレが登場するダークな楽曲。ティンバもミッシーもドレーもラップとトラック・メイキングを兼任する才人であるだけに、緊張感の高さには鬼気迫るものがある。中盤でのミッシーの的確なフロウもクールだ。ダークといえば、50セント&トニー・イエイヨー、つまりG-ユニットの要人ふたりが殴り込みをかけた「Come And Get Me」もそう。地の底までも届きそうなトラックの重たさは、このふたりのイメージを象徴的に表現しているようにも思える。
「Kill Yourself」は、ネリー・ファータド「Afraid」にも参加していたアティテュード、そしてティンバの実弟セバスチャンがフィーチャーされた楽曲。ちなみにアティテュードは「Hello」で、セバスチャンは「Miscommunication」でそれぞれ女性アーティストのケリ・ヒルソンと共演しており、ヒルソンはプッシーキャット・ドールズのニコルとともに「Scream」にもフィーチャーされている。つまりはゲストがうまく使い回されており、しかもうまく機能しているのだ。そんなところは、いかにもトップ・プロデューサーとしてのセンスのたまもの。
その他、カーティス・ブロウ「The Breaks」の声ネタから始まる朋友マグーとのコラボ「Boardmeeting」、マネーの高音ボーカルがムードを際立たせる「Fantasy」、ミアのキャラが立ちまくる「Come Around」、タイトルどおりのインド風味が怪しくも心地よい「Bombay」(これはすごい!)、ワン・リパブリック参加のメランコリックな「Apologize」などそれぞれがあまりにも個性的。エミネムとの共演経験もあるエルトン・ジョンが参加した「2 Man Show」の重厚なムードも印象的だし、話題性が随所に散らばっている感じだ。
そして今作最大の注目点は、ロック・バンドとの異種格闘技だろう。アルバム『ベアリィ・リーガル』、『ヴェニ・ヴィディ・ヴィシャス』によって日本でもおなじみになったスウェーデンのガレージ・バンド、ハイヴスとの共演曲である「Throw It On Me」、昨年のサマソニにも出演したエレクトロ・ユニットのシー・ウォンツ・リヴェンジが存在感を際立たせる「Time」、シカゴのエモコア・バンド、フォール・アウト・ボーイを招いた「One And Only」と、またもや「ありえない」ことを実践しているのだ。しかもバンドの個性を生かしたまま、ティンバ色も濃厚なのだから恐れ入る。
やはりこの男は、感性そのものが普通の人間とどこか違うとしか思えない。いや、お世辞抜きでホントにすばらしい。
(Text/Steve Johnston a.k.a.Propmaster Sweet)