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パンク/ニュー・ウェイヴの嵐がおさまり、MTV世代へとメジャー音楽シーンが移り変ろうとしていた80年代前半。デュラン・デュランやカルチャー・クラブなどがチャートを賑わしていたその時、マンチェスターから、今まで聴いたことのない特異な音楽性を持つグループ、ザ・スミスが登場した。マンチェスターの労働者階級に生まれ、サッチャー政権の下、明日への希望も見出せないような鬱屈した環境の中で、モリッシーとジョニー・マーは出会った。

ニューヨーク・ドールズ・ファン・クラブのイギリス支部の代表を勝手に名乗っていたモリッシー(ボーカル、作詞)と、モータウンやガールズ・グループ、更にはMC5やストゥージズも好きだったというジョニー・マー(ギター、作曲)は82年の夏に出会い、ザ・スミスを結成した。83年に入るとベースにアンディ・ルーク、ドラムスにマイク・ジョイスを加えて、あの伝説のハシエンダなど地元クラブでギグを始め、83年5月には、ロンドンの大手インディー・レーベルのラフ・トレードからデビュー・シングル「ハンド・イン・グローヴ」をリリース。84年の初めには2、3枚目のシングルも合わせ、ザ・スミスがインディー・チャートのトップ3を独占する事態となる。

84年2月にファースト・アルバム『ザ・スミス』をリリース。全英チャートの2位に送り込み、その人気は加熱していく。モリッシーが敬愛するオスカー・ワイルドからの影響が伺える退廃(デカダンス)と、鋭い社会批判が交錯する文学青年的な世界。当時の若者の疎外感や憂いなどを、ヨレヨレのヨーデルみたいなファルセット声で歌い、きらめくように繊細なギターと絶妙に響きあうザ・スミスの音楽は、80年代以降のUKギター・バンド/ブリット・ポップの全てに影響を与えたといっても過言ではない。地元マンチェスターから生まれた、ストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデーズ、シャーラタンズ、インスパイラル・カーペッツ、オアシスも、勿論その例外ではなく、更にはレディオヘッドまでつながるはずだ。

85年から86年にかけて活動のピークを迎え、『ミート・イズ・マーダー』『クイーン・イズ・デッド』といった名作を世に出した彼等は、ラフ・トレードへの不満やメンバーのアンディ・ルークのヘロイン中毒、度重なるマネージャーの解雇などの問題も抱えていた。レーベル移籍をめぐるゴタゴタもあり、遂にジョニー・マーがスミスから脱退する。モリッシーは代役を立ててグループを存続させようとするが、87年9月に解散を発表。わずか5年の活動期間に終止符を打った。
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もう、ザ・スミスのようなバンドは生まれないだろう。
マンチェスターに初めてセックス・ピストルズがやってきた76年6月、ライブを見に来た42人の中にモリッシーもいたそうだ。パンクをリアルタイムで駆け抜けたモリッシーとジョニー・マー。
あの時代でなければ語れないことがある。彼等が残したシングルやアルバムには、その永遠が詰め込まれている。(Text/遠藤哲夫) |
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| スミス解散後の初ソロ・アルバム。ギターにドゥルッティ・コラムのヴィニ・ライリーを迎え、スミスのプロデューサーでもあったスティーヴン・ストリートが手がけた本作に、誰もがスミスの幻影を求めるはず。でも、ここにあるのは“失われたスミス”に葛藤するモリッシーの姿。 |
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| シングル音源を集めた『ボナ・ドラッグ』を挟み、ソロ3作目となる『キル・アンクル』。ソングライターとして元フェアグラウンド・アトラクションズのマーク・ネヴィンを迎えて、よりドリーミーで洗練された印象を受ける。一方で、元来のロカビリー好きが何曲かで表面化してくる。 |
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| ザ・スミス、ジョニー・マーの幻影から解き放たれたのが『キル・アンクル』に次ぐ本作で、ニューヨーク・ドールズの熱狂的ファンだったモリッシーが、ツアー・バンドのメンバーと一緒に作り上げたロカビリー/パンク色の強いサウンド。プロデュースはなんとミック・ロンソン! |
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| 同じマンチェスター出身、ニュー・オーダーのバーナード・サムナーと組んだのがエレクトロニック。1作目はシンセサイザーによるダンス色が強いサウンドだったが、この2作目からはジョニー・マーのメロディックなセンスやギターもグンと表に出てきて、充実した仕上がりに。 |
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| ジョニー・マーがプロデュースを担当した新人UKバンド、ヘイヴン。成程、その耽美的でロマン溢れるサウンドは、スミスを思い起こさせる部分もあるが、感動的美メロとファルセット・ボイスは、すでにヘイヴンのオリジナリティを確立している。トラヴィスやスターセイラー好きは是非。 |
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| 80年代ロックの最先端の音を作ったプロデューサー、スティーヴ・リリーホワイトの奥方でもあり、英国フォークの重鎮、イワン・マッコールの娘でもあるカースティのソロ2作目。ジョーニー・マーが殆どの曲でギターを担当(共作もあり)し、非常にクオリティの高いアルバム。 |
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| 早熟の天才、ロディ・フレイム(当時19歳)率いるアズテック・カメラ。スコットランドから、オレンジ・ジュースなどと共に新しいギター・ポップ(ネオアコ)のムーブメントを起こした。清涼感溢れるギターの音と、きらめきのメロディは、永遠の青春としての輝きを失わない。 |
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| アズテック・カメラやオレンジ・ジュースと同じグラスゴー出身。エルヴィス・コステロがプロデュースに関わったデビュー・アルバム『Sisters』がやはり素晴らしい。元気がよくて、青春真っ只中的な“熱さ”が特徴。ボビー・ヴァレンティノのヴァイオリンがいい味を出している。 |
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| ネオアコの最高傑作ともされる『Pacific Street』を生んだペイル・ファウンテンズのマイケル・ヘッドが結成したのがシャック。そのシャック復活ともいえるこの3作目は、「Comedy」のような胸キュン・ソングもあり、さすがに並みのブリット・ポップとは一線を画す奥深さ。 |
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| 元ハウスマーティンズのポール・ヒートンとデイヴ・ヘミングウェイが結成した国民的バンド。ポールの切なくて繊細なボーカルが印象的で、美メロの極致ともいえる「Song For Whoever」は必聴。その裏側の、英国ならではの辛辣なユーモアと、毒のある美しさは絶品だ。 |
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| ご存知ビューティフル・サウスのポール・ヒートンと、現在ファットボーイ・スリムとして活躍するノーマン・クックを輩出した名バンド。2枚のオリジナル・アルバムを残して解散したが、このデビュー作に聴かれる「Happy Hour」などのウキウキするような力強いビート感は貴重。 |
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| マンチェスター出身のネオ・アコ系ギター・バンドということもあって、“第2のスミス”ともいわれていたレイルウェイ・チルドレン。しかし、彼等にはスミスのような暗さはなく、ロマンを内に秘めながら、キラキラとしたギター・サウンドに真っ直ぐな感性を乗せていく。 |
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『ディスタント・ショア』で注目されていたトレイシー・ソーンと、『ノースマリン・ドライヴ』のベン・ワットの二人が組んだエヴリシング・バット・ザ・ガール。
後にクラブ系サウンドにも接近していく彼等の、最高の癒し空間を演出するデビュー・アルバム。潤いのある極上のサウンド。 |
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冬になると聴きたくなる名曲「Life in a Northern Town」を収録した、ドリーム・アカデミーのデビュー作。紅一点のケイト・セント・ジョンが奏でるオーボエやアコーディオンの温もりのある音も独自のセンチメンタリズムを誘う。
黄昏れていく「The Love Parade」も名曲。 |
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| ジャケットのアートワークや文学っぽいタイトルなど、スミスとの共通点も多いベル&セバスチャン。シンプルの極みながら、メランコリックで虚ろなサウンドは、インディー・ファンの間で異様な人気を誇る。幻だったファースト・アルバム『タイガーミルク』もCD化されたが、現在はロックモードに突入。 |
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| マンチェスターのクラブ、ハシエンダを舞台にした映画『24アワー・パーティー・ピープル』にも本物で出演していたヴィニ・ライリー。彼のバンドがドゥルッティ・コラムであり、同じファクトリー・レーベルのジョイ・ディヴィジョンとは対称的に、水晶のようなギター・サウンドが脆くも美しい。 |
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| メジャー・ブレイク前のデュラン・デュランのメンバーでもあったスティーヴン・ダフィが率いる、ネオアコ/フォーキー系の和みサウンドが素晴らしいライラック・タイム。グループ名の由来でもあるニック・ドレイク的な翳りも感じさせる。2CDアンソロジーもあり、こちらも大すいせん! |
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