今や、あの
グリーン・デイと並ぶ程の人気ポップ・パンク・バンドとなったシンプル・プラン。彼らの本領はライブでこそ発揮される。今年3月の来日公演も、ふだん洋楽など聴きそうにもないOLや父母同伴の小学生までが、バンドと一体となって盛り上がるというから、ファンと一緒になってコンサートを楽しもうとする姿勢が、世界各国を飛び回る怒涛のようなライヴをこなす原動力となっているのだろう。
シンプル・プランは、ピエール・ブービエ(ヴォーカル)、チャック・コモー(ドラムス)、デヴィッド・デロシアーズ(ベース&バック・ヴォーカル)、セヴァスチャン・ルフェーヴル(ギター、バック・ヴォーカル)、そしてジェフ・スティンコ(リード・ギター)からなる5人組で、カナダのモントリオール出身。2002年に『No Pads, No Helmets…Just Balls(俺たち★シンプル・プラン)』でデビューして、アルバムは200万枚以上の売上を記録した。同じカナダの若手バンドには、トロント出身の
SUM41や
ビリー・タレント、パイレート、ハーレム・スキャーレム(中堅?)などがいるが、メタル色やパンク色の強弱はあるものの、どれもポップでキャッチーなメロディが特徴だ。
メンバーが語るシンプル・プランの音楽性とは、
「
ビーチ・ボーイズやビートルズなど定番のポップスと、ラグ・ワゴン、フェイス・トゥ・フェイス、
グリーン・デイなどカリフォルニアからの新しいポップスをミックスしたもの」で、「ラジオで聴きたい音楽を演奏する。グッド・シャーロット、ニュー・ファウンド・グローリー、
ブリンク182、そして僕達のようなバンドの音楽をだんだん放送してくれるようになったから、すごくうれしい。それこそが僕達のやりたい音楽スタイルであり、バンドのスタイルだから。」
というように、彼等の音楽はどんどん裾野を広げて行く。日本にも、2002年9月の初来日以来、アヴリル・ラヴィーンのサポートで2003年5月に、そして2005年3月の再度の単独来日公演を果たしたかと思ったすぐ後には、FUJI ROCK FESTIVAL 05にも出演と、目まぐるしく動いている。その間に、2作目の『スティル・ノット・ゲッティング・エニイ』を2004年10月にリリースし、全米アルバム・チャート初登場3位の大ヒット(既に300万枚以上のセールス!)となった。
この初のライヴ・フル・アルバムとなる『MTVハード・ロック・ライヴ』は、今年の5月にグッド・シャーロットとツアーを行った時の、フロリダ州オーランドは“ハード・ロック・カフェ”でのライヴを完全収録したもの。MTV用に撮影され、ライヴを1年や2年に1回ぐらいしか見れない世界中のファンのためにライヴ・アルバムのリリースに至ったものだ。2作目の冒頭を飾っていた必殺のロック・チューン「
シャット・アップ!」で幕を開け、
観客全員がジャンプして会場が揺れるという「
ジャンプ」、気持ちいいくらいにエネルギーが弾ける「
アディクテッド」「
ミー・アゲインスト・ザ・ワールド」「
サンキュー」といった曲の間で、客の一人一人に語りかけるように歌われる「
クレイジー」や「
ウェルカム・トゥ・マイ・ライフ」の真摯さ、そして「
パーフェクト」での観客全員が一体となった大合唱で感動のピークに達する。歌詞を読めばその痛々しいまでの内面の吐露に、シンプル・プランの進化が読み取れるはずだ。ただのパンク・キッズだけのバンドではないことが。(Text/遠藤哲夫)