だが、それだけが心のよりどころになるのだろうか? エレクトロ・ミュージックからはどうやっても、暖かさを引き出せないのだろうか? 僕は「ノー」と断言したい。ロイクソップがいるからだ。 「熱が感じられない音楽は苦手だね」 「機械には機械の音しか出せないからさ」 そんなことばかりを口にしていたくせに、ロイクソップを聴いてから彼らのCDを買い揃えた友人を、僕は3人知っている。 大西洋を臨むノルウェー南西部の港湾都市、ベルゲンから生まれたロイクソップは、プロデューサーのスヴェイン・ベルグとトルビョム・ブルンドフラントからなるユニットだ。2001年のデビュー・アルバム『メロディーA.M.』からはビート感が心地よい「プア・レノ」「Eple(イープル)」がヒットした。 だが彼らは、チャート受けを狙った意志の低いポップ・バンドではない。エレクトロ・ビーツの狭間からにじみ出る体温がヒットという結果に結びついたにすぎず、だからなおさら深い印象を与えてくれるのだ。彼らが評価される世の中は、とても正しく思える。 「スパークス」や「イン・スペース」や「シーズ・ソー」のぬくもりからは、彼らが肌触りのいい毛布に触れるときと同じ気持ちで機材を扱っていることがわかる。 「ア・ハイヤー・プレイス」や「ロイクソップス・ナイト・アウト」の力強さは、明確な意志の存在を明らかにしてくれる。 そして2作目の『Missunderstanding』。 『メロディーA.M.』の成功で世界中からの期待感を背負った彼らは、しかし怯むことなくさらに広大な世界観を表現している。 「トライアンファント」や「49パーセント」にむき出しになったアグレッシヴな姿勢(しかしそれは不快なものではない)。 小気味よい「オンリー・ディス・モーメント」のビート(とクールなヴォーカル)。 クラフトワークを彷佛させる「ソンプル・デチューン」。 聴く者を80年代に立ち戻らせる「フォロー・マイ・ルイン」。 メロディーへの重点が強化されたことを立証する「ビューティフル・デイ・ウィザウト・ユー」。 そして「ホワット・エルス・イズ・ゼア」「アルファ・メイル」「サムワン・ライク・ミー」「トリステス・グロバル」に明確な、前作から踏襲されたやさしげな雰囲気。 視線が前を向いていることを証明する様々な要素が、『Missunderstanding』の随所に散らばっている。 過去にあてはめることが得策だとは思わないが、たとえばディペッシュ・モードに共感した経験のある人なら、ロイクソップも無理なく受け入れることができるだろう。 それどころかエレクトロ・ビーツに慣れていない人でさえ、ここに快適さを意識するはずだ。 機械仕掛けのオーガニック・サウンド。それがロイクソップだ。 (text:Steve Johnston a.k.a.Propmaster Sweet) |
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