97年の『ブリッジズ・トゥ・バビロン』以来、8年振りのオリジナル・アルバムとなる『ア・ビガー・バン』(8月31日に日本先行発売となった)は、ミックが「収録曲は力強いもの、コンテンポラリー、クラシック・ロック、パンキッシュなファスト・チューンが揃っている」と語る自信作だけあって、60年代後半から70年代のストーンズを彷彿させるような、ラフなロックン・ロールが詰まった大傑作となった。全16曲という収録曲数は、当時は2枚組LPだった『メイン・ストリートのならず者』に次ぐもので、このことからも、ジャガー=リチャーズ(グリマー・トゥインズ)をはじめとする、4人のメンバーの充実ぶりが伺える。 『ア・ビガー・バン』からのファースト・シングルとなるのは、すでに先行配信されていた「ストリーツ・オブ・ラヴ/ラフ・ジャスティス」。ミック入魂のバラードであり、かつての「愚か者の涙」などよりも若々しいとさえ思ってしまう「ストリーツ・オブ・ラヴ」の味わいは格別だし、アルバムの冒頭を飾るにふさわしいギター・リフでパワー漲る「ラフ・ジャスティス」は一発KOの強力なトラックだ。 このアルバムはギターを中心にしたラフな感触を残しつつ、贅肉を切り落としたような生々しくてシンプルなサウンド・プロダクションが施されている。プロデューサーは、お馴染みドン・ウォズとグリマー・トゥインズ。往年のストーンズ・クラシックスとも共通するルーズなロックン・ロールは、「Oh No, ノット・ユー・アゲイン」や「イット・ウォント・テイク・ロング」「ドライヴィング・トゥー・ファスト」などで十分に味わっていただき、ミックのソウルフルなボーカルの真髄には、ミディアム・バラードの絶品「ビゲスト・ミステイク」や、痺れるようにディープな「孤独な旅人」で浸って欲しい。 生々しさという意味では、昔の「ラヴ・イン・ヴェイン」や「ユー・ガッタ・ムーヴ」などを思い出す「バック・オブ・マイ・ハンド」が、原点回帰のように深いブルースとなっている。ストーンズのリズムに対する貪欲さが現われているファンキーな「レイン・フォール・ダウン」「彼女の視線」も面白いし、ミックがブッシュ批判を繰り広げる「スウィート・ネオ・コン」も話題の1曲だ。 そして、ストーンズのもう一つの顔であるキース・リチャーズが歌う「虚しい気持ち」が、渋い渋いバラードで、こんな歌をこれからもずーっと聴き続けることができたら、こんな幸せなことってない、と思う。 21世紀のストーンズは、始まったばかり。これからも転がり続けろ!! (Text/遠藤哲夫) |








