同名映画のサントラでもあるが、全世界で1000万枚以上売れ、プリンスの名を一般大衆まで広めたモンスター・アルバム。マイケル・ジャクソンの『スリラー』にはない、退廃的なイメージを演出しながら、曲はわかりやすくポップ。「When Doves Cry(ビートに抱かれて)」と「Let's Go Crazy」はNo.1ヒット。「Purple Rain」は2位、「I Would Die 4U」は8位と多彩なサウンドが光る。
黒人音楽〜ファンクやソウルの壁を越えてロック・ファンにも強烈にアピールしたミュージシャンがプリンスだ。異端児とも取れるルックスや革新的な音楽性は、まさに自意識過剰の孤高の天才ぶりを表わしている。70年代がアース・ウィンド&ファイアーだとしたら、80年代はマイケル・ジャクソンとプリンスになるが、マイケルの失速に比べ、プリンスは90年代以降も(名前が一時シンボル・マークだけになったが)時代を挑発し続け、その存在感は今なおオーラを放っている。
58年にミネアポリスに生まれたプリンスは、78年にプロデュースから演奏まで全て一人でこなした『フォー・ユー』でデビュー。ファルセット・ヴォーカルを生かしたスイートな味わいも残る作品だが、次の『プリンス(愛のペガサス)』から「I Wanna Be Your Lover」が全米11位のヒットに。ジミ・ヘンドリックスやサンタナから影響を受けたギター・ソロとか、Pファンクの流れとはまた違ったプリンス流ファンクの原型が出来てくる。次の『ダーティー・マインド』でエロス全開となり、続く81年の『コントラヴァーシー(戦慄の貴公子)』で、プリンスのスキャンダラスなイメージが確立したと言えるだろう。付録ポスターのビキニ・パンツ一丁に思わず赤面…。音楽的にはすでに高い完成度を誇り、その最初のピークが2枚組LP(当時)の『1999』である。初のトップ10ヒット(6位)となった「Little Red Corvette」を収録し、プリンスのポップ・スターへの怒涛のようなヒット攻勢が始まる。
2曲の全米ナンバー1ヒットを含む84年の『パープル・レイン』から『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』、『パレード』と続く万華鏡の如きサウンドは天才の名にふさわしい傑作群である。そしてバック・バンドのレヴォルーションを解散させ、再びマルチ・プレーヤーとして密室的アイデアを爆発させたのが『サイン・オブ・ザ・タイムズ』だった。この後も、全裸ジャケットが悩ましい『Lovesexy』や映画『バットマン』(89年)と話題作をリリース。そしてプリンスの80年代は終わってしまうのだが、プリンスの魅力は80年代に凝縮されており、『コントラヴァーシー』から『サイン・オブ・ザ・タイムス』までの6枚のアルバムから影響を受けたアーティストも多い。ベックなども方法論ではプリンスを参考にしているはずだし、日本では岡村靖幸が有名か!?(Text/遠藤哲夫)
2作目で、ブレイクするきっかけとなったヒット「I Wanna Be Your Lover」や、後にチャカ・カーンがカヴァーする「I Feel For You」を収録。リズム・アレンジはまだ軽めだが、ポップなダンス・ナンバーがいい出来。