ソフィア・コッポラ監督の“東京”を舞台にした映画『ロスト・イン・トランスレーション』で、カラオケ・ボックスのシーンが出てくるが、そこで主人公の女性(二十歳半ばくらいの設定?)を演じる、スカーレット・ヨハンソンが歌うのがプリテンターズの曲「恋のブラス・イン・ポケット」だった。
79年にレコード・デビューしてすぐに、「愛しのキッズ」や「恋のブラス・イン・ポケット」といった大ヒットを放ったプリテンダーズ。“ロックン・ロール姉御”然とした、チョット不良っぽくて気だるい雰囲気と、曲は程よくポップで、ニューウェイブ風の新しさとビート・グループの懐かしさを替え備えたイメージが、日本でも大人気につながった。当時は女の子にも結構支持されていて、こうやってカラオケで歌われるのも不思議ではない、と妙に納得してしまった。
2005年に、U2などと並んで“ロックの殿堂”入りを果たしたプリテンダーズ。クリッシー・ハインドがデビューしたのは28歳の時なので、すでに50歳を越えているが、この年齢になっても強烈に“ロック”を感じさせる女性は、クリッシーとパティ・スミスくらいしか思い浮かばない。パティよりも先に“ロックの殿堂”入りしたクリッシーのこれまでの足跡もなかなか波乱に満ちたものだ。
プリテンダーズはイギリスで結成されたバンドだが、バンドを率いるクリッシー・ハインドはアメリカのオハイオ州アクロン生まれ。彼女が23歳の時に、イギリスの有名な音楽誌“NME(ニュー・ミュージカル・エクスプレス)”のライターとして働くために、イギリスに移り住んだ。元々、ザ・キンクスの熱烈なファンであった彼女、音楽好きが昂じて自らプレイするようになり、そのセクシーなボーカルと才能に惚れ込んだのが、デビュー・シングル「ストップ・ユア・ソビング」(キンクスのカバー)をプロデュ−スしたニック・ロウであり、デビュー・アルバムを世に送り出した名プロデューサーのクリス・トーマスだった。
(Text/遠藤哲夫) |









