|
2007/01/24 Release ダウンロード価格 アルバム \1,500(税込) トラック 各\150(税込)
|
|
|
|
|
2007/01/15 Release ダウンロード価格 トラック 各\150(税込)
|
|
団塊の世代といわれる、50歳代の男性音楽ファンからも熱い支持を集めるノラ・ジョーンズ。「ノラ・ジョーンズの声に癒される」のが一番の理由だと思うが、そのスモーキーなボーカル・スタイルは幅広いファン層に愛されてきた。ジャズの名門“ブルーノート”からのデビューであるが、ジャジーなテイストは勿論、カントリーやブルースなど、アメリカのルーツ音楽への深い愛情が、楽曲へオーガニックで芳醇な香りを与えている。デビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ(Come Away With Me)』は、 第45回グラミー賞で「最優秀アルバム賞」「最優秀新人賞」など主要4部門を独占し、ノミネート8部門すべて受賞するという快挙を成し遂げた。
前作『フィールズ・ライク・ホーム』の後、間にノラのサイド・プロジェクトでもあるリトル・ウィリーズのアルバムを挟みながら、ソロ・アルバムとしては3年振りの3作目となる『ノット・トゥ・レイト』が遂にリリースされた。この新作は全曲をノラのオリジナルで占め、ノラがシンガー・ソングライターとしての本領を発揮し、ゆっくりと時間をかけて熟成させたアルバムである。
「いつかアルバム1枚全てを自分の曲でまとめることができたらクールだわって、前から思っていたの」とノラが語るように、ツアー中に世界の各地で書いた曲や、ホームタウンであるマンハッタンに戻ってきてから書いた曲など、たまった曲をレコーディングしたら、結果的に全曲自作のアルバムに仕上がったのだそうだ。
「私は同じようなアルバムを繰り返し作りたくないの。だから新しいことを試したかったのよ。これ1枚でいろいろな場所にいけるアルバムになったわ」
今回のアルバムでは、ノラのパーソナルな部分をストーリー仕立てにした内容や、社会的な意識も歌詞に反映されている。そして、アレンジも凝っていて、これまでにないホーン・セクションやチェロを加えた曲もあり、ピアノを弾かずにギターだけで歌った曲も収録されている。これまでとは違ったアプローチの仕方が、作品の質を確実にレベルアップさせたといえる。まず最初に印象に残るのは、「あなたにいてほしい」での、ギターに絡むチェロの重く引きずるような音。真っ白な雪の上を一人で歩いていくような寂寞としたイメージは、k.d.ラングの「ベアフット」という曲を思い出させる。恋人を戦地へ送られた、残された者の気持ちが込められた曲だ。続く「シンキン・スーン」は、ノラ自身が明らかにしているが、トム・ウェイツの影響のもとに作られた曲で、トロンボーンの音色はトム独特の猥雑な雰囲気を醸し出している。ゆったりとしながら異次元を彷徨うような「ノット・マイ・フレンド」も、これまでになかったタイプの曲。
先行シングルとして既にPVも話題になっている「シンキング・アバウト・ユー」は、ノラがNYで最初に参加したワックス・ポエティック時代(99年頃)に書かれた曲。この曲をはじめ、しっとりした情感を滲ませるノラならではのスモーキー・バイブレーションは、「アンティル・ジ・エンド」や「ブロークン」「ウェイク・ミー・アップ」などでも味わえる。そして本作中、最も心に染み入る曲「ロージーの子守歌」はオーストラリアの海岸で作った曲だそう。続く「ノット・トゥ・レイト」もそうだが、このスローで漂うような感じは、ジョアンナ・ニューサムやジュリー・ドワロンなどの新世代フォーキー達と共通する感覚なのも面白い。そして、アメリカに対する政治的な言及も込めた「マイ・ディア・カントリー」では、トム・ウェイツ的な演劇性とノラの温もりが同居するストレンジだけど郷愁をそそる世界が広がる。
「ドント・ノー・ホワイ」的なキラー・チューンは、「ロージーの子守歌」や「シンキング・アバウト・ユー」がその役目を果たすだろうし、アルバム全体を通して聴けば、ノラの持つ新たな可能性に音楽の未来が見えるはずだ。
(Text/遠藤哲夫)