Track List

2007/05/16 Release ダウンロード価格 アルバム ¥1,500(税込) トラック 各¥150(税込)
|

|
|





アルバム・セールス累計4000万枚。オリジナル・アルバムがわずか2枚のリリースにもかかわらず、この記録は異常である。デビューアルバム『ハイブリット・セオリー』でヒップ・ホップとヘヴィ・ロックの融合を完璧な形で世界に公表し、一気に頂点へ上り詰めてしまったリンキン・パーク。セカンドアルバム『メテオラ』から、4年もの歳月をかけじっくりと作り上げた新作『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』が遂に全世界に放たれた。
まず驚かされるのは、自分たちのスタイルを一新し、過去の作品からは想像もつかないようなアルバムに仕上がっているということ。リンキン・パークの象徴であるマイクのラップ、ギターのヘヴィなリフは影を潜め、原点回帰とも思えるバンドサウンドが全面に押し出されているのだ。新時代のロックはこんなにもシンプルで良いものなのか?と疑問を抱いてしまうほどに。そしてもう1つ、彼らが辿り着いた新境地は、メンバー全員の存在感とグルーヴが驚異的に進化し、個人ではなくリンキン・パークというバンドが築き上げた21世紀最大の最重要作品になっているということだ。全ては、U2やレッチリなどを手掛けるヒットメイカー、リック・ルービンとマイク・シノダの共同プロデュースが見事にハマった結果である。
イントロ「ウェイク」が終わり、流れてきた曲はゴリゴリと荒々しく暴力的に弾きたてる「ギヴン・アップ」。そこから一気に聴きに入らせる「リーヴ・アウト・オール・ザ・レスト」に突入、かと思えば一転して前作『メテオラ』に収録されている「フェイント」のように疾走するハイナンバー「ブリード・イット・アウト」で初めてマイクのラップが炸裂する。さらにマイクに続けとばかりに「シャドウ・オブ・ザ・デイ」、先行シングルの「ワット・アイヴ・ダン」、ロックサウンドで激しく叩きつける「ノー・モア・ソロウ」でチェスターの存在感を知らしめる。マイクがラップではなく歌を披露する「イン・ビトウィーン」や、ラスト「ザ・リトル・シングス・ギヴ・ユー・アウェイ」はチェスターの嘆きにも聴こえる叫びとバンドの見事な一体感が壮大に繰り広げられる6分を超える超大作で、過去の作品と照らし合わせても当てはまる節のない実験的サウンドだ。
ロックアルバムとしてはスマートだが、政治、戦争に対する素直な想いを初めて歌詞にぶつけており、世界情勢を示している世界終末時計にインスパイアされた『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』というアルバムタイトルにその背景が全て集約されているのだ。
リードシングル「ワット・アイヴ・ダン」のプロモーションビデオを観たときにも、ふと感じたことがある。それは映像に映し出された晴天の空である。過去のビデオを見直してみると閉ざされた暗い部屋や、争いあう人々、絶望を表したような闇の空間が表現されており、晴れた空が映っているビデオクリップは一切なかった。しかし今回の映像では、この世に1つしかない空のように、世界を1つにしようという彼らの願いを訴えかけているようで私の中で鮮烈に映ったのだ。こうした変化を見ても、今までのスタイルを脱ぎ去り『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』に込めた意味の深さがうかがい知れると思う。
おそらく『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』を聴いた瞬間、とてつもない衝撃が走ることだろう。しかし、アルバムを聴き終わる頃には衝撃が今までに感じたことのない高揚感で満たされているはずだ。それほどリンキン・パークは私たちでは計り知れないほど進化しているのだ。
(text/Gudera)