“天賦の才能を与えられた18歳”というキャッチ・フレーズのもと、日本デビュー・アルバムである『レット・ゴー』が爆発的な売れ行きを見せているKiKiこと、キエラ・キキ・シェアード。ここ最近、ビヨンセが映画『ファイティング・テンプテーションズ』で、強烈なゴスペル・ボーカルを披露したことも手伝い、コンテンポラリー・ゴスペルのシーンが盛り上がっている。その中でも、R&B界は勿論、ヒップ・ホップのファンからも熱い注目を浴びているのがKiKiだ。
2004年8月にリリースされたデビュー・アルバム『I Owe You』が全米ゴスペル・チャート初登場1位に輝き、新世代のゴスペル・シンガーとして、その才能を見せ付けたKiKi。そのアルバムは、デスティニー・チャイルドやメアリー・J.ブライジなどを手掛けた超売れっ子プロデューサーのロドニー・ジャーキンスと共作した「ユー・ドント・ノー」や、ウォリー・キャンベルがプロデュースの「レット・ゴー」などを収録。これまでのゴスペルのイメージを打ち破る、最新R&Bのようなコンテンポラリーでフレッシュな感覚の作品が並び、KiKiのボーカルの圧倒的な迫力は、とても17歳(録音当時)とは思えない、並外れた実力を示していた。 それもそのはず、KiKiはゴスペル界の名門、クラーク・シスターズのカレン・クラーク・シェアードの娘である。コンテンポラリー・ゴスペルの女王であるカレンの血を引くKiKiは、6歳の時に、父親が牧師を務めていた教会の子供聖歌隊に加わった。信仰深い家庭と母親や祖母(有名なDr.マティ・モス・クラーク)からの音楽の教えに囲まれながら育ち、9歳で母親のアルバム『Finally Karen』('97年)の中の「The Safest Place」でデュエットを披露し、レコード・デビューを飾る。母親のツアーにも同行し、クラーク・シスターズの歌が、人の心を動かす様子を目の当たりにしてきたKiKi。「自分でも、同世代の子たちに神のメッセージを届けたいと思った」と語っている。 その後もカレンのアルバムへの参加やパフォーマンスで経験を積み、遂に'04年のソロ・デビューへと至る。'05年にはデビュー・アルバム『I Owe You』収録の曲を更にアーバン風にリプロダクションして、R&B/ヒップホップ・ファンへも強くアピールしたリミックス・アルバム『Just...Until』をリリースした。ロック色を強めた冒頭の「レット・ゴー(ロック・ソウル・リミックス)」や、ダンスホール調になった「ユー・ドント・ノウ(モンスターズ・ミックス)」を聴いてもらえば、ゴスペルの枠を超えて、R&Bリスナーに大受けしているのもうなずける。同曲の別ミックスとなる「レット・ゴー(ザ・ゴッドソン・コンセプト)」と「ユー・ドント・ノウ(ザ・ゴッドソン・ロック・ジョイント)」では、ボーカルの部分を歌い直して、さらにヒップホップっぽい音像になっているのも聞き逃せない。「スウィーテスト・シング(ソウル・ハウス・ミックス)」や、「オール・アイ・アム(オールスクール・クワイエッット・ストーム・リミックス)」での、ハウス風、クワイエット・ストーム風のリミックスも、熱唱型というイメージの強いゴスペルから離れて、グルーヴィーなノリが楽しめる。 この日本デビュー作となる『レット・ゴー』は、1作目からのベスト・トラックとリミックス・アルバム全曲を収録した日本独自の選曲によるアルバムである。1作目からの6曲ではアーバン・ゴスペル/R&Bの力強い魅力を、リミックス・アルバムからの9曲では、オリジナル以上に多彩な輝きを与えられた“イマドキ”の音に酔って欲しい! (Text/遠藤哲夫) |








