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2、3年前にTVのCMでシルヴィ・バルタンの「あなたのとりこ」が流れて(映画「ウォーターボーイズ」でも使われた)、往年のフレンチ・ポップスに注目が集まった。最近では同じくシルヴィの「アイドルを探せ」がまた使われているが、元々、コケティッシュでキュートなフレンチ・ポップスのアイドル達は、60年代の昔から日本のヒット・パレードを賑わせてきた。中でも、セルジュ・ゲンズブールが手掛けたフランス・ギャルやジェーン・バーキン、そしてゴダール映画にも出演していたシャンタル・ゴヤなどは、90年代に入ってからも小西康陽氏をはじめとする渋谷系といわれたミュージシャンに特に好まれたこともあり、今でも新たなファンを生み出している。
そういったリバイバル現象だけでなく、現役の新しいフレンチ・シンガーが続々と登場している中、フランソワーズ・アルディの再来として大きな話題を呼んだのがケレン・アン。昨今のヴァリエテ・フランセーズ(フランスのポピュラー音楽)の動きは、フレンチ・タッチと呼ばれるダンス音楽に押され気味なところもあったが、このケレン・アンやコラリー・クレモン、カーラ・ブルーニ、カミーユといったアイドル達の登場で、シャンソンやボサノバ、英米のフォークなどの音楽性をフランス独自のアンニュイさで包み込んだシンガー・ソングライター的作品として高い評価を得ている。
ケ レン・アンは、1974年イスラエル生まれで、オランダとパリで育った。セルジュ・ゲンズブール以来の鬼才といわれるバンジャマン・ビオレーをプロデューサーに迎え、2000年にデビュー・アルバム『ルカ・フィリプセンの伝説』を発表。そこに収録されていた「Jardin D'Hiver」を聴いた仏シャンソン界の重鎮、アンリ・サルヴァドールがケレンとバンジャマンに曲を依頼して、復活作『Chambre Avec Vue(サルヴァドールからの手紙)』を作り上げたことは有名である。
デビュー作では、仏製スザンヌ・ヴェガとも例えられ、憂いをたたえた静謐感溢れるフォーキーなサウンドの中に、“ウィスパー・ボイス”が持つセクシーさも秘めた独特の世界を表現していた
。2作目の“消失”という意味深なタイトルが付いた『La Disparition』は、声の感じがより物憂げ(擦れぎみのウィスパー・ボイス)になって、サウンドも全体的にソフトに。このアルバムが最高、というファンも多い。
3作目は、ワールド・ワイド向けの英語作品となった『Not Going Anywhere(さよならは言わない)』。日本でのデビュー作となった本作は、8曲のボーナス・トラック(1、2作目から仏語バージョン)を加えて、『ずっと、ここに...』のタイトルでも発売された。
そして、待望の最新作は『ノリータ』。パリとニューヨークを行き来して制作された本作は、フランス語と英語双方の曲を収録し、もはやフレンチ・ポップではくくれない世界的な才能を開花させた1枚となっている。“Nolita”とはケレンがニューヨークでお気に入りの場所であるNorth of Little Italy地区とNo Lolitaのダブル・ミーニングとのこと。 これまでの流れを汲む、儚げなボーカルが時に痛々しくさえ感じられる「L'Onde Amere(失望の波)」でバックに流れる哀愁のトランペットはチェット・ベイカーを連想させる。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのように幽玄なブルージーさを持つ「Chelsea Burns」や、ニック・ドレイクを彷彿とさせる静謐の極み「Nolita」、靄がかかるように遠くでギターが鳴り響く「One Day Without(あなたのいない一日)」、哀しいほどに美しいヴァイオリンとコーラスが溶け合う「La Forme Et Le Fond(かりそめの翼)」など、どれもアコースティックを基調にして、どこか物憂げではあるが、とても優しい詩情を滲ませている作品が並ぶ。ジャケットの可愛らしさとは裏腹に、もう少女ではない大人の女性の呟きが刻まれている。初秋から冬にかけて、一人の時間にそっと聴きたくなるアルバム。
今年の11月には、遂に来日公演も決定。あのウィスパー・ボイスが生で聴ける!(Text/遠藤哲夫) |
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世界に向けての英語アルバム。ウィスパー・ボイスにはフランス語の響きが一番似合うと思う向きは、2作目に収録されている「Surannee (Seventeen) 」「Mes Pas Dans La Neige (Spanish Song Bird)」「La Disparition (Right Here Right Now)」などと是非聴き比べを。パートナーだったバンジャマンがカトリーヌ・ドヌーヴの娘、キアラと結婚したため、単独で作った曲も含まれ、タイトル曲「Not Going Anywhere(さよならは言わない)」には胸が締め付けられる。「End of May」「By The Cathedral」のメランコリックな曲調は、どこか歌謡曲っぽいニュアンスもある。 |
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Not Going Anywhere >>試聴
Polly >>試聴
End of May >>試聴
By The Cathedral >>試聴
Ending Song >>試聴 |
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シャンソンとは、フランス語で“歌”という意味。だが、日本ではシャンソンとフレンチ・ポップスは別物として扱われることが多く、主に戦前・戦後の大衆歌謡のようなものがシャンソンと呼ばれる。ベル・エポック時代のイヴェット・ギルベールの歌唱法(演劇的な言い回し)が元になっているとされる。セリフを言うような代表的な歌手としてエディット・ピアフ、イヴ・モンタン、ジュリエット・グレコ、ジルベール・ベコー、シャルル・アズナヴール、アダモ、ジュルジュ・ブラッサンス、バルバラなどがいる。
反骨精神を持ったものから、人生の悲哀を折り込んだものまで、歌詞が重要な位置うを占め、「バラ色の人生」や「愛の讃歌」、「サン・トワ・マミー」といった有名曲を生んだ。60年代始めには、ロックンロールを取り入れた“イエ・イエ”が流行。その後は映画「男と女」の主題歌を歌ったピエール・バルーやブリジット・フォンテーヌ、セルジュ・ゲンズブールなどが、新たなシャンソンを切り開いた。 |
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この人は正統派フレンチ・ポップなのか、日本製フレンチ・ポップなのか線引きが難しいが、フランスを代表する女性シンガーには違いない。「男と女」のカヴァーも歌ってましたが、本作もカヴァー中心で、ジャンヌ・モローの「つむじ風」から、ヴィッキーでヒットした「恋はみずいろ」、日本のジェーン・バーキンこと小林麻美の「アイ・ライク・ショパン」まで。定番「サン・トワ・マミー」も絶品。 |
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つむじ風 >>試聴
アイ・ライク・ショパン >>試聴
恋はみずいろ >>試聴 |
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ベス・オートンの3作目。一応、ハスキー系ウィスパー・ボイスに入らないこともない。最近はダイドやサラ・マクラクランに比べられることも多いようだが、声質的にはブリティッシュ・フォークの女王、サンディ・デニーに近く表現力は高い。アコースティックと打ち込み系の音がバランスよく融合したサウンド。フォーク系のサラッとした「Concrete Sky」や「Carmella」もいい! |
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Paris Train >>試聴
Thinking About Tomorrow >>試聴
Anywhere >>試聴 |
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知る人ぞ知る的な存在ではあるが、ホープ・サンドヴァルという類まれな女性ボーカリストを擁したサイケデリック/オルタナ・カントリー系のグループがマジー・スターだ。この人の声は、妖しくて夢想的で柔らかい。天使というか小悪魔というか、フレンチ系とは一線をかく気だるいロリータ・ボイスが眩しい。マジー・スターで残した3枚のアルバムはどれも一聴の価値あり。 |
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Disappear >>試聴
Roseblood >>試聴
Flowers In December >>試聴 |
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