ウクレレを抱いた謎の美人シンガー、ジャネット・クライン!
彼女がデビューしたのは1998年。“タイム・スリップしてきた素敵なオールド・タイム・レディ”と評されたそのアルバムは、1910〜30年代の戦前ジャズのカバーで埋め尽くされていた。
カリフォルニアのサン・バーナディノで育ったジャネットは、アニメ作家でもあった父親や祖父(30年代に奇術師をやっていたそうだ)からの影響で、古い音楽やグラフィック・デザインに興味を示す。80年代に入り、ロサンゼルスの大学に通いはじめ、戦前ジャズの楽譜やポストカードを集めるようになり、女性ジャズ・シンガーの草分けとも言える、リル・アームストロング(ルイ・アームストロングの奥さん)やブランチ・キャロウェイ(キャブ・キャロウェイの妹)といった通好み(?)のシンガーを好んで聴いていたという。今どき、こんな古い音楽に興味を持っている人はいないだろうということで、詩を書くことに専念した時期もあったそうだが、プロデューサーのロバート・ラヴレスとの出会いや、同じ趣味の人が他にもたくさんいることに励まされ、ウクレレを抱えて歌手になることを決意したのだ。
彼女が取り上げる音楽は、戦前ジャズはもとより、ラグタイム、ハワイアン、ボードヴィル、ノヴェルティ・ソング、ブルースなど古き良き時代のアメリカ大衆音楽だ。彼女のアルバム・ジャケットをそのまま映し出したような、セピア色の世界。自らがサイレント映画からぬけ出してきたようなファッションに身を固め、キュートなスウィングを披露する。まさに魅惑の歌姫によるノスタルジックな桃源郷へトリップするかのようだ。
2作目の『Paradise Wobble』(2001年)から、パーラー・ボーイズが完全にバック・アップ。2002年に3作目『プット・ア・フレーバー・トゥ・ラブ』が日本でも発売され、同年8月には初来日公演を行っている。そして、4作目『スキャンダルズ』をリリース後、パーラー・ボーイズを引き連れての再来日公演(2004年11月)が話題となった。
この待望の新作『Oh!』は、世界に先駆けて日本盤がバッファローレコードより先行リリースされ、すでに多方面で注目を浴びている。マリア・マルダーやジェフ・マルダー、ジョン・セバスチャンなどの往年のグッドタイム・ミュージック・ファンや、2000年頃から日本でもブームとなった、ルウ・ロンドンやジョン・ミラー等の“アコースティック・スウィング”のファンからも熱い視線を浴びているが、ジャネットのチャーミングなファッションに興味を持った若い女性達のファンも多いのだ。
バックのパーラー・ボーイズには、ギター、マンドリンの名手トム・マリオンや、ジャンゴ・ラインハルトに心酔するビリー・スティール、ノスタルジック・ミュージックの巨匠でありウクレレやアコーディオンを担当するイアン・ウィットコムといったいぶし銀のプレーヤーが参加。夢見ごこちの「Oh!」から、ロマンティックな「When the World is at Rest」、ちょっと切ないメロディが堪らなくキュートな「Ida」、楽しくスウィングする「Who? You, That's Who」、ノヴェルティ・タッチの「I'm Busy」まで、お洒落な名曲揃い。ジャネットのボーカルも、さらに魅力を増している。
このノスタルジックな世界が、また日本のステージで再現される。4月18日からのジャパン・ツアーをお見逃しなく!2004年の来日公演の模様が、招聘元であるトムス・キャビンのホームページでご覧になれますので、こちらも是非!
(Text/遠藤哲夫)
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