Track List

2007/05/02 Release ダウンロード価格 アルバム ¥2,400(税込) トラック 各¥150(税込)
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2007/05/02 Release ダウンロード価格 アルバム ¥2,400(税込) トラック 各¥150(税込)
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第一印象は、どこか偏屈そうに見える。29年前の初来日時には日本の学生服を着て銀座で路上ライブをやったし、数年前にはジャズ界の才女ダイアナ・クラールと結婚しちゃうし、行動だって予測がつきにくい。音楽性も幅広いものだから、コアなファンに好かれたりもする。
つまりエルヴィス・コステロは、彼の音楽を聴いたことがない人にとってはちょっと敷居が高い存在なのではないだろうか。本人は決して壁をつくっているわけではないのに、状況がそうさせているというか。
でも、もしそんな理由からコステロの楽曲と距離を置いているなら、いますぐ考えを改めた方がいい。なぜなら彼は豊富な音楽知識を備えた無類のメロディ・メイカーであり、“とっつきにくそう”なイメージとは裏腹にとても親しみやすい曲を生み出すからだ。とりわけ怒りを知性で覆い隠したような初期の衝動、そして自らのベースである様々なジャンルを取り入れるようになった中期の活動には、一度でも聴いておくべき価値がある。
そういう意味でこの『The Best Of - The First 10 Years』は、「聴いてみたいとは思ってたんだけど……」という思いを持っていた人、あるいはまったく彼を知らなかった人にとっても格好の入り口になるだろう。文字どおり初期10年の間にリリースされたアルバムから重要曲を集めたベスト・アルバム。自己評価が低い『Goodbye Cruel World』が除外されているのはちょっと残念だが、これを聴けば彼の世界観がつかめる構成になっている。
まず77年のファースト・アルバム『My Aim Is True』からは3曲。初期コステロらしいロックンロール・ナンバーの「(The Angels Wanna Wear My) Red Shoes」、名バラードとしても名高い「Alison」、そして演奏能力の高さにも注目したいレゲエ・ナンバーの「Watching The Detectives」だ。78年のセカンドで、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ名義の『This Year's Model』は、日本ではデビュー・アルバム扱いになっていた作品。ここからの注目曲は、なんといってもファースト・カットされた 「(I Don't Want To Go To) Chelsea」だ。うねるベースと尖ったギターのリフが興奮度を高める代表曲。たたみ込むようなビートとキーボードの音色が効果的なセカンド・シングルの「Pump It Up」、続く「Radio, Radio」のソリッドな疾走感も気にとめておきたい。
ポップ・センスを爆発させた79年の3作目『Armed Forces』からは、「Oliver's Army」、「Accidents Will Happen」と2曲のシングル曲が選ばれている。前者は軽快で優しいボーカルが魅力的、後者はゆるやかなグルーヴが心地よいミディアムだ。またシングルにはならなかったものの、ソリッドなコステロ節が全開状態になった「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding」もオススメ。
ブラック・ミュージックからの影響を見せつけた80年の『Get Happy』からは、モータウン・サウンドを独自の解釈で再現した「I Can't Stand Up For Falling Down」と「High Fidelity」を収録。コステロの懐の深さを実感できる。81年作『Trust』は、デビュー以来プロデューサーとして彼を支えてきたニック・ロウの関わった作品としてはラストにあたる一枚。前2作の要素をミックスしたような作風で、「Clubland」はヴォーカル、ギターからキーボードまでのバランスが絶妙。変則ビートが印象的な「New Lace Sleeves」は、じわっと染み入るような彼の音楽の誠実さが表れている。
81年の『Almost Blue』は、コステロのベース(のひとつ)でもあるカントリー・ミュージックのカバー・アルバムで、ここに収められた「Good Year For The Roses」は、60年代に活躍したカントリー・シンガー、ジェリー・チェスナットの楽曲のリメイクだ。カントリーに縁のない人でもすんなり聴ける素晴らしい仕上がり。82年作『Imperial Bedroom』からは、シングルになった「Man Out Of Time」以下、「Beyond Belief」、「Almost Blue」と、前作から一転して従来の路線に立ち戻った彼の姿が確認できる。『Punch the Clock』は83年のヒット・アルバムで、シングルになった「Every Day I Write The Book」、そしてロバート・ワイアットに提供した楽曲のセルフ・カバー「Shipbuilding」と名曲2曲がピックアップされている。
「Brilliant Mistake」と「Indoor Fireworks」は、86年のアルバム『King Of America』からの収録。どちらにも彼のソングライティング能力が活かされており、まさに最高傑作と呼ぶにふさわしいクオリティだ。そして、86年作『Blood & Chocolate』からのシングル「I Want You」シンプルなセットでしみじみと歌われる、ラストにふさわしい一曲だ。
とにかく、理屈や知識は不要だ。入り口として活用し、好きな曲をひとつでも多く見つけることの方が大切なのだから。そしてコステロはそういう面で、きっと期待を裏切らない。
(Text/Steve Johnston a.k.a.Propmaster Sweet)