英BBCが、今年ブレイクするアーティストを予測する“BBC Sounds Of 2006”で、第1位に輝いたアーティスト、コリーヌ・ベイリー・レイ。2005年11月リリースのデビュー・シングル「Like A Star」で一挙に注目された驚異の新人である。
ビリー・ホリディのようなブルージーなジャズ・フィールを感じさせる「Like A Star」だけでなく、コリーヌの歌声には、軽やかに空を舞い、優しく頬をなでるようなピュアな輝きがある。ネオ・ソウルのジル・スコットやエリカ・バドゥのようでもあり、ジャジー感は、シャーデーやノラ・ジョーンズを、アコースティックな響きは、インディア・アリーやベス・オートンなども思い起こさせる。だが、その可憐なルックスや、小鳥のさえずりのようなキューティー・ボイスを聴くと、同じイギリス出身(祖父がジャマイカン)のリンダ・ルイスに一番近いのでは、と思ってしまう。日本でもフリー・ソウル・シーンで再評価されたリンダ・ルイスと、ソウルの枠に収まらないオーガニックなシンガー・ソングライターとしての魅力を振り撒くコリーヌ。英アルバム・チャート初登場1位となったデビュー・アルバム(輸入盤)で、その全貌が遂に明らかとなった!
コリーヌ・ベイリー・レイは、西インド諸島出身の父とイギリス人の母の間に、3人姉妹の長女として、イギリス北部のリーズに生まれ育った。最近では、カイザー・チーフスやザ・ミュージックの出身地としても知られるリーズ。少女時代はレッド・ツッペリンに夢中だったそうだが、自らバンドをはじめる頃には、L7やヴェルーカ・ソルト、ベリーのような女性ロッカーから影響を受けたそうだ。15歳の頃、女性ロック・バンド“Helen”を結成して、地元ではかなり注目を集め、ロードランナー・レコーズ(スリップノットなどで知られるヘヴィ・メタル系レーベル)と契約するまでになるが、メンバーの女性が妊娠したために、バンドは解散してしまう。
一旦は、抜け殻のようになってしまったコリーヌだが、リーズ大学で英文学を学びながら、地元のジャズ・クラブで働き、音楽への新たな意欲が沸いてくる。ロックではなく、ソウル/R&Bへとシフトした楽曲を書きためて、2004年の春にはEMIとの契約に至る。ビョークやマッシヴ・アタックまで、あらゆるアーティストに影響を受けながら、コリーヌならではのオーガニックな手触りを持ったアルバムが完成し、2006年の3月6日にリリースされた。
冒頭の「Like A Star」のアコースティックな落ち着きは、次のネオ・ソウル風の「Enhancement」、2枚目のシングルとなったアッパーでほんわかとした春らしさを運んでくる「Put Your Records On」へと続く。アンニュイな雰囲気を漂わせる「Till It Happens To You」や「Choux Pastry Heart」もコリーヌらしい繊細さに満ちている。「Trouble Sleeping」や「Breathless」などのUKソウルのビート感をもったミディアム・テンポでの、愁いの中に力強さを秘めた楽曲も個性的だ。柔らかなグルーヴで聴き手を優しく包み込むような「Call Me When You Get This」も1回聴くだけで気に入るはずだし、ストリングスをあしらった「Butterfly」の気だるいゴージャス感が、ワインのようにゆったりと聴き手を酔わせていく。これは、日本でもブレイク間違いない。26歳になったコリーヌの、飾り気のない素敵な歌が、今たまらなく恋しい。
(Text/遠藤哲夫) |








