ド派手なサウンドが、耳をつんざくように迫ってきた『プッシュ・ザ・ボタン』。これまでにない冒険的な音を作っているにもかかわらず、ボーカル・トラックが多いこともあり、いろいろな感情が曲に滲み出ていて、聴き手を決して飽きさせないアルバムだった。グラミー賞を2部門で受賞し、最高傑作との評価も高かった、その『プッシュ・ザ・ボタン』から2年半、遂に新作『WE ARE THE NIGHT』が完成した。
1995年のアルバム・デビュー以来、ダンス・ミュージック界の重鎮として、常に時代の最先端を行く革新的なサウンドを創り上げてきた、トム・ローランズとエド・サイモンズによるユニット、ケミカル・ブラザーズ。80年代後半のイギリスにおける“セカンド・サマー・オブ・ラヴ”や“マッドチェスター”といったムーブメントをくぐりぬけ、プライマル・スクリームやシャーラタンズなどのリミックスを手がけて名をあげた彼等は、ブレイクビーツにロック・ボーカルを融合するという革新的なサウンドで、世界中をとりこにした。ダンス/クラブのジャンルで、UKアルバム・チャート4作連続1位という記録を樹立しており、それはこの新作でまた記録を更新することになりそうだ。『WE ARE THE NIGHT』に漲るサイケデリックでめくるめくビートは、またケミカル・ブラザーズがクラブ・ミュージックの新たな地平を切り開いたことを示している。
アルバムからの先行シングルとなっている「Do It Again」では、UKの若手シンガー・ソングライター、アリ・ラヴがフィーチャーされているのをはじめ、話題のニュー・レイヴ・シーンの代表格であるクラクソンズ、LAのヒップホップ・グループ、ファーサイドのMCであったファットリップ、テキサス出身で、コクトー・ツインズのサイモン・レイモンドに見出されたローファイ・ポップ・バンド、ミッドレイクといった面々とのコラボレーションも、大きな話題となっている。
「前作がリアリティーの世界とすれば、本作はファンタジーの世界」とエド・サイモンズが語っていたが、“We Are The Night”というタイトル通り、夜=未知の世界へと引きずり込む、さまざまなアイデアが凝らされている。デジタリズム、ジャスティス、シミアン・モバイル・ディスコ、LCDサウンドシステムなどの新たなダンス・ミュージックや、“ニュー・レイヴ”勢が注目を浴びる中、その生みの親でもあるケミカル・ブラザースは、やはり“格”が違う。“王者”の存在感は、この夏のFUJI ROCK FESTIVAL '07で爆発する。
(Text/遠藤哲夫)
デジタル・ロックのブームを作り上げたといえる『さらばダスト惑星』『ディグ・ユア・オウン・ホール』に続く3作目は、攻撃的なブレイク・ビーツは若干抑え気味に、バラエティに富んだ広がりのある世界を構築。オアシスのノエル・ギャラガーがボーカルで参加の「Let Forever Be」や、ニュー・オーダー/プライマル・スクリームのメンバーとコラボした「Out Of Control」をはじめ、「Hey Boy Hey Girl」などの躍動感に溢れる曲から、「Asleep From Day」などの幻想的な曲まで、充実の1枚。
日本でも「One More Time」が大ヒットした『Discovery』に続く、ダフト・パンク3枚目のアルバム。前作に感じたポップでロマンティックな部分が薄れ、無機的でパンクな感じではるが、「Robot Rock」やCMにも使われた「Technologic」が人気。サマソニ06では、巨大ピラミッドで降臨。