95年に弱冠16歳でシーンに登場し全米のアイドルとなり、デビューから10年を経過した今ではR&Bセレブリティと謳われ、全米のみならず世界的に注目されるディーヴァ。ブランディーの歴史には、同時代のR&Bのヒット・セオリーが凝縮されていると言える。
TV俳優として注目されていた彼女が、95年にリリースしたデビュー作『Brandy』のリード・シングル「I Wanna Be Down」と、2ndシングルの「Baby」は、メアリー・J.ブライジのヒット曲「Real Love」以降シーンに定着したHip Hopソウルといわれるスタイルを取り入れたサウンドで、ラジオやクラブ等に広く受け入れられ、アルバムとしても全米だけで500万枚という新人らしからぬ大ヒットとなった。
続く2作目『Never Say Never』は、「決してあきらめない」「信じて努力すれば不可能は可能になる」という彼女の信条が込められたタイトルの通りの意欲作で、当時はまだ無名に近かった、ロドニー・ジャーキンス率いるプロデュ−ス・チーム、ダーク・チャイルドの手掛けた、モニカとのデュエット「Boy Is Mine」、そしてメイスをフィーチャーした「Top Of The World」を立て続けにシングル・カットし、これがどちらもNO.1ヒットになるという快挙を成し遂げた。これで、当時人気を集めていた幾人かのアイドルの中から彼女は、一歩抜け出すこととなり、ダーク・チャイルドも、この2作のヒットにより、一気に時代を代表するプロデュース・チームのひとつとなった。
彼らは、続く3作目の『Full Moon』でも全16曲中12曲を手掛け、リード・シングルの「What About Us?」や、「Can We」「I Thought」といった一連のクラブ向けのフロア・ライクな楽曲は、当時ドメスティックR&Bと形容され、その独特のソリッドなビートで、R&Bディーヴァとしてのブランディーの変貌を世界中に告げた。
そして、最新作『Afrodisiac』では、JAY-Zの秘蔵っ子、カニエ・ウエストや、ロイド・バンクス、T.I.といった、Hip Hopシーンのアーティストを積極的に起用し、よりストリート色を強く意識したサウンドを全面に打ち出して、ブランディー自身がネクスト・レヴェルに突入したことをシーンに知らしめている。(Text/鈴木栄治)
キース・クロウチが手がけたヒップ・ホップ・ソウル・チューン「Baby」「I Wanna Be Down」の2曲が、彼女のその後の成功を決定付けた。やや線の細い感はあるものの、うまさでは当時のロー・ティーンズの中でずば抜けていた彼女のヴォーカルの魅力を十分に引き出した見事なプロダクション。これぞ仕事人!他にも、ボーイズUメンのウォンヤ・モリスをフィーチャーしたスロウ「Broken Hearted」も秀逸。
当時流行の兆しを見せていたチキチキ(後にフューチャリスティック)・サウンドを取り入れた1stシングル「The Boy Is Mine」は、プロデュ−スを手掛けたロドニー・ジャーキンス(ダーク・チャイルド)にとっても出世作ともなった。他に、メイスをフィーチャーした「Top Of The World」もNO.1を獲得した他、「Have You Ever?」「Almost Most Doesn't Acount」といったスロウ・チューンにも名曲多し。アルバム・セールスは全世界で、1500万枚を記録した。
1stシングル「What About Us?」を初め、前作同様にメイン・プロデュースを手掛けたロドニ−・ジャーキンス(ダーク・チャイルド)のアッパー・チューンが当時は話題を呼んだが、スロウにも聞きどころは多く、彼女のヴォーカリストとしての成長がみてとれてうれしい。中でも「He Is」「Come A Little Closer」「Love Wouldn't Count Me Out」と連なる後半は圧巻で、前作の「Boy Is Mine」程のメガ・ヒットはないものの、アルバムとしての完成度はかなり高い。
ブランディーもヘヴィー・Dとのデュエット「Rock With U」で参加したクインシー・ジョーンズの『Q's ジューク・ジョイント』(95年)。ここに収録された「Move OnMy Heart」で突如シーンに登場したのがタミアだ。2ndアルバムの本作では、これまでも数多くのアーティストが取り上げたホール&オーツの「I Can't Go For That」をトラックに用いた「Can't Go For That」が独自の解釈で面白い。この曲を手掛けたミッシー・エリオットやダラス・オースティン等、ストリート色濃いプロデューサーが数多く参加しているのが特徴。
ノトーリアスB.I.G.の弟分、ジュニアマフィアの一員としてアルバム『コンスピラシー』でシーンに登場した彼女が、2000年に自身のレーベルQueen Beeからリリースした2ndアルバム。「Suck My D**k」「No Matter What They Say」といったシングル・ヒットに加え、シスコをフィーチャーした「How Many Licks?」や、メアリー・J.ブライジを迎えた「Hold On」など、R&Bシンガーをフィーチャーした曲も多数収録しているバラエティー豊かなアルバムだ。
ジャケットのファッションからして、オールド・スクール・フレイバー溢れる4作目。Run DMCの名曲「Rock The Bells」をここぞというところで聞かせる憎いトラック・メイキングも話題となったシングル「Work It」は、R&BチャートでNO.1を獲得するなど、自分名義では最大のヒット曲となった。他にも多くのヒット曲を生んだこのアルバムだが、思わせぶりなタイトルからはちょっと想像出来ないしっとりとした歌モノ「P***ycat」が個人的にはオススメ。
ブランディーの「Boy Is Mine」に代表される、チキチキ(もしくは、フューチャリスティック)系全盛の当時、変態ビート(?)などと揶揄された独自のビート感覚で、ジェニュワイン、アリーヤらのヒット曲を手掛け、シーンに浮上したティンバランド。彼とタッグを組みシーンに登場してきたのが、このミッシー・エリオットだ。2作目となるこのアルバムではエミネム、レッドマン、リル・キムといったHip Hopアーティストを多数ゲストに招き、「Hot Boyz」「We Did It」といったヒットを放った。