Track List

2007/05/2 Release ダウンロード価格 アルバム ¥1,500(税込) トラック 各¥150(税込)
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2007/05/2 Release ダウンロード価格 アルバム ¥1,500(税込) トラック 各¥150(税込)
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「私がこのアルバムでやりたかったのは、とにかく楽しむってこと、そして十分な満足感と高揚感が得られる作品を作るってことだったのよ」
ビョークの約3年振りとなるオリジナル・アルバム(通算6作目)『ヴォルタ』は、究極の構築美を誇る『ヴェスパタイン』や、これまでの音楽方法論を覆すような『メダラ』に比べると、より肉感的で土着的とさえいえるビートが躍動している。1997年に『ホモジェニック』をリリースして以来、映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を挟み、どちらかといえば内省的なアルバムが続いていたビョークが、外に向かって新たな冒険へと踏み出したのが今回の『ヴォルタ』といえるだろう。
アルバム・タイトルとなっている“ヴォルタ”とは、電池を発明したイタリア人科学者、アレッサンドロ・ヴォルタから取られた言葉でもあり、西アフリカを流れる大きな川の名前でもあるという。エネルギッシュなアルバムの内容を象徴する言葉であり、世界各地のミュージシャンを起用し、地球の鼓動をビート化しながらシャーマンのように音を司るビョークにふさわしいタイトルだ。充電を完了したビョークが新境地に向かって、自らのエネルギーを放電していくような衝撃的なアルバムである。
人間の声だけで作られていた前作『メダラ』から、リズミックなものへと回帰し、世界のあちこちを旅しながらレコーディングを進めていった本作には、これまでとは違ったミュージシャンが多く参加している。まず話題となったのが、世界一のヒット・メイカーといわれるティンバランドとのコラボレーションである。ビュークの「ヨーガ」をミッシー・エリオットの曲にサンプリングしたことがあるティンバランドとは、古くからの知り合いだったらしいが、今回、「アース・イントゥルーダーズ」「イノセンス」「ホープ」の3曲でコラボが実現している。まさしく地球から湧き出るようなアップ・ビートが強烈な「アース・イントゥルーダーズ」には、プログラミングされたビートだけではなく、ソニック・ユースでも活動していたクリス・コルサーノが生ドラム、コンゴのKONONO No.1が親指ピアノで参加している。変態ビートが渦巻く「イノセンス」の衝動も凄まじいものがるが、「ホープ」では、マリの弦楽器コラ奏者であるトゥマニ・ジャバテが参加。妊婦をよそおって自爆テロを起した女性を題材にした歌詞の内容とあいまって、なんとも摩訶不思議な世界が広がる。
民族的(土着的)なビートということでいえば、中国の琵琶(チャイニーズ・ピーパ)奏者のミン・シャオ・ファンが参加した静謐感漂う「アイ・シー・フー・ユー・アー」や、アントニー・ヘガティがビョークと世にも美しいデュエットを聴かせる「ザ・ダル・フレイム・オブ・デザイア」で、地球の鼓動のようなドラムを叩いているライトニング・ヴォルトのブライアン・チッペンデールも強烈な印象を残す。ビョークの地元、アイスランドの女性ブラス・セクションも「ワンダーラスト」他の曲で、独特のアクセントを効かせているし、お馴染みのマーク・ベルも多くの曲でプログラミングを手掛けている。
そして、ビョークのパンクな側面(70年代末にはパンク・グループで活動していた)が火山のように大爆発している「ディクレア・インディペンデンス」に打ちのめされる。ここまで荒々しく衝動的なビョークははじめてだ。
右脳的で、衝動的であり、女性であることを意識したアルバム。それでいて、イノセントな輝きは失わない。混乱する世界へ警告を発し、自然と人間と文明のあり方を探ろうとしているビョークの新たな冒険の始まりである。
(Text/遠藤哲夫)