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超天才ポップアイコン!
ベック2年振りの新作『モダン・ギルト』完成! 「ケムトレイルズ」をはじめ、ミニマムでメロディックな世界を構築!!
2008/07/08 Release
(2008/08/06 国内盤Release)
ダウンロード価格 アルバム ¥1,500(税込) トラック 各¥150(税込)
数年前にベックが来日したとき、友人が興奮気味で言ったのだった。 「昨日、渋谷の東急本店前あたりを歩いてたら、ベックがスケボーに乗ってすーっと通りすぎていったんですよ」 その彼に虚言癖はないし、決して目も悪い方ではないと思う。とはいえ、ひたすら信憑性に欠ける話。だが同時に、「ベックなら、やりかねねーなー」とも思えたりもする。 斬新な音づくりのみならず、「俺は負け犬だ。なぜ俺を殺さないんだ?」という歌詞も衝撃的だったシングル「ルーザー」をインディーからリリースしたのが1993年。翌年にメジャーからリリースされた同曲はビルボードのチャートで5週連続1位の快挙を成し遂げ、以来ベックは一貫して自分の世界観の枠内で生き続けているからだ。
やりたいことしかやらない男。 だからこそ、圧倒的な共感を勝ち取れる男。 そんなベックが、10枚目のアルバム『モダン・ギルト』をリリースした。
今回は、ナールズ・バークレイのメンバーであるデンジャー・マウスことブライアン・バートンをプロデューサーに迎えている。いつもながら予想外のアイデアで驚かせてくれるというか、嗅覚に優れた人だなと改めて思う。それに、奇才といって差し支えない両者がこういうことをやるというのは、妙に納得させられる話でもある。
ベックは大半の楽曲でアコースティック・ギターとドラムを、ブライアン・バートンがキーボードを、そして過去の諸作でもおなじみのジョーイ・ロワンカーも数曲にドラムとパーカッションで参加している。また、シンガー・ソングライターのキャット・パワーも2曲に色を添えている。豪華ゲストをごっちゃり集めるのとは対照的で、必要な人だけで作り上げたという印象が強いのだ。しかもそんなラインナップが叩き出してきた音が、なんとロウ・ファイで60年代臭濃厚なブリティッシュ・ロック・サウンドなのである。
たとえばいい例が、事前に彼のサイトとmyspaceにアップされた新曲「ケムトレイルズ」。これがまさにサイケデリックの極みで、全体の流れもまるでタイム・マシンで1969年に戻ったような錯覚を与えてくれる。
他の楽曲にしてもそうだ。フィル・スペクターがやさぐれたような(ってヘンな表現だけど)「オーファンズ」にはじまり、疾走感満点の「ガンマ・レイ」、屈折60’sポップといった趣の「モダン・ギルト」や「ユースレス」、あるいは「ウォールズ」、感傷的な音づくりが心に残る 「レプリカ」、アグレッシブなグルーブ感を持つ「ソウルズ・オブ・ア・マン」、ブリブリのベースが痛快な「プロファニティ・プレイヤーズ」、重たく陰鬱とした「ヴォルケーノ」と、各曲それぞれがくっきりと際立っている。
それから楽曲以外にも、「いいセンスだなあ」と思わせるのが全10曲、計34分という構成。最近はやたらと長尺で飽きのくる作品も少なくないだけに、この短さは痛快。逆に、じっくりと聴き込める。ジャケもクールでかっこいいし、トータル的な意味で最高の完成度だ。
ひとことで言い表せば、「またしても、やられちゃいました」って感じ。
(text/印南敦史)
1994 Release
ダウンロード価格 アルバム ¥1,050(税込) トラック 各¥150(税込)
名曲として名高いメジャー・デビュー・シングル「Loser」を収録したファースト・アルバム。ヒップホップのエッセンスを取り入れたトラックと、ブルース、フォーク、カントリーなど雑多な要素を反映したアコースティック・ギター、そして全体に流れる虚無感がシーンに大きな衝撃を与えることに。
1996 Release
グラミー賞2部門を受賞したセカンド・アルバム。ダスト・ブラザーズとの共同プロデュースによる作品で、ヒップホップの方法論に加えてテクノのニュアンスも。というわけで雑多で屈折した雰囲気は相変わらずだが、卓越したソングライティング・センスも魅力のひとつだ。名曲「Devil’s Haircut」収録。
1998 Release
プロデューサーにレディオヘッドのナイジェル・ゴドリッチを迎えることにより、原点回帰的なニュアンスを生み出した1998年作品。持ち前のねじれフォーク感覚を生かしつつ、ブラジルやアフリカ音楽からの影響も感じさせる。地味な印象は否めないが、彼の世界観がはっきり構築されていることは確実。
1999 Release
自らの原点を軸として、現代のアメリカン・ミュージックとしての楽しさを凝縮させたような1999年発表の4作目。ダスト・ブラザーズに加え、のちにアイム・ア・ロボットを立ち上げるジャスティン・メダル・ジョンソン、そしてジョーイ・ワロンカーも参加。山塚EYEのジャケット・デザインも秀逸だ。
2002 Release
ダウンロード価格 トラック 各¥150(税込)
プロデュースに、『Mutations』で優秀な仕事をしたナイジェル・ゴッドリッチを再起用。無駄をそぎ落とすことで、フォークのベースを際立たせたような印象。父親によるオーケストレイションと、より存在感を増したボーカルとのバランスがすばらしい。内省的で派手さには欠けるが、きわめて音楽的な作品。
2005 Release
ダスト・ブラザーズとトニー・ホファーがプロデュースを手がけ、ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトも参加した2005年作。フォークからヒップホップ、ボサ・ノヴァ、様々な効果音までを凝縮した雑多な世界観が突き詰められており、おもちゃ箱をひっくり返したようなスリリングさが魅力だ。
ジョン・キング(ダスト・ブラザーズ)、エール、アドロック(ビースティー・ボーイズ)など錚々たるクリエイター陣が、『Guero』収録曲の再構築を試みたリミックス・アルバム。各リミキサーが趣向を凝らすことで、ベックのオリジナリティが逆説的に浮かび上がってくるという、なんとも興味深い仕上がり。
2006 Release
ダウンロード価格 アルバム ¥2,500(税込) トラック 各¥150(税込)
再びナイジェル・ゴッドリッチをプロデューサーに起用。というわけで『Mutations』にニュアンスは近く、アッパーな楽曲多数。そうでありながら、聴けば聴くほど染み込んでくるようなスルメ盤でもある。誰にも真似のできない独自の音空間を、誰よりも彼自身が楽しみまくっていることがよくわかる作品だ。
2008 Release
ゴリラズのプロデュースでも有名な鬼才DJデンジャー・マウスと、グッディー・モブの一員だった異才ラッパー、Cee-Loによるプロジェクト。デビュー作『セント・エルスホエア』からの「Crazy」がUKチャートで9週連続1位となり、一気にブレイクした。この新作では、Cee-Loの歌をかなり前面にだしている。「Run」がヒット!
キャット・パワーこと、ショーン・マーシャルのソロ・プロジェクトである。オルタナティブを通過したフォーク〜ルーツ・ロック的な持ち味が特徴で、このアルバムでは、ビリー・ホリデイやジャニス・ジョプリンなどの渋いカバーが聴ける。ちょっとハスキーなボーカルはルシンダ・ウィリアムスを若くした感じで胸に染み入る。
2007 Release
ストロークスと並び、ガレージ・ロック・リバイバルのバンドとして注目を浴びたホワイト・ストライプスであるが、かなり泥臭く、ブルースやカントリーの影響も強い。本作では轟音ギターがアグレッシブに炸裂している。ベックとは友人関係にあり、『グエロ』収録の「Go It Alone」をベックと共作、ベースもプレイしている。
ヴァージニア出身のE(マーク・オリヴァー・エヴェレット)率いるイールズは、このデビュー・アルバムからの「Novocaine For The Soul」のヒットで注目を浴びた。ベックとも共通する時代感覚、ポップ感を持つが、より内省的でどこかシュール。寂しげなボーカルの裏には、心を和ませる優しさがある。
“世界一の変態バンド”といわれるだけあり、冗談でやっているとしか思えない曲も入っているが、このメジャー2作目は、ひねくれながらも高い音楽性を示した傑作。あらゆるものがゴチャ混ぜになっていた前作『Pure Guava』に比べると、焦点が定まってきた感じ。だが、よく聴くとかなりパロディ精神に富んでいるのも確か。
90年代のローファイ・サウンドを代表するペイヴメントの中心メンバーだったスティーヴン・マルクマスが、2001年のソロ・アルバムで率いたのがザ・ジックス。前作『フェイス・ザ・トゥルース』から約3年ぶりとなるこの4作目も大充実作。ローファイ・ポップならではのユルユルなボーカルに絡む骨太なギターが刺激的だ。
最近では、ハリウッド女優のズーイー・デシャネルと組んだ“シー&ヒム”が話題となっているM. ウォード(マット・ウォード)。元々はジャイアント・サンドのハウ・ゲルブに見出されてデビューした人だが、そのローファイ感覚は日本でもかなり注目された。 甘酸っぱくてメランコリアを感じさせるボーカルが癖になる。
サブ・ポップ・レーベルの人気バンドであり、フジロック'07でのパフォーマンスも大きな話題を呼んだザ・シンズ。3作目となる本作はなんと全米アルバム・チャートで初登場2位を記録した大ヒット作。アコースティックな質感を生かしたピュアなポップは、どこか60年代風でもあり、ベックの新作と共通する部分も感じられる。
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