クレイグ・デイヴィッド本人による曲解説
1. Hot Stuff (Let's Dance)
この曲は80年代のかけらを取り入れた曲さ。デヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」のサンプリングに、僕が自分なりのヒネリを加えた。内容的には26歳の目から見た現在のクラブ・シーンについて触れている。クラブに行ったらとにかく踊りたい、って気持ちを表現してるんだ。皆クールぶってあまり踊らない。でもクラブに来てなんで踊らないの?って思うんだよ。クラブって踊るところだろ? 踊らないんだったら家に帰れば、って言いたいね。キューバに行ってから、僕のクラブに対する考えが全く変わったんだ。クラブへ行ったらとにかく踊らなくちゃ、って。たいした踊りが踊れなくても。じゃなきゃクラブへ行く意味がない。クラブは社交の場でも話す場でもない。音楽をかけて踊る場なんだよ。そんなクラブ・カルチャーへの気持ちをこの曲に込めたんだ。
2. Six Of One Thing
ライヴ・パーカッション、ホーン・セクションが入っていて、とにかくキューバの雰囲気を満載した曲だ。歌詞の、“シックス・オブ・ワン・シング”という表現は、人の言っていることと行動が全く違っていることを表わす表現で、この曲は相手の気持ちがよくわからないという気持ちを歌っている。君の言っていることがわからないから、はっきり言ってくれ、ってね。踊っているときに。
3. Friday Night
金曜の夜の、とある状況を感情的に表現した曲だ。友達は皆クラブに行って楽しんでいる。金曜の夜だというのに自分だけは家にいて、お金もなく、のむ酒もなく、タバコもなくて、自分のそんな状況が哀れだと思う。退屈で、友達に電話しても誰も応えない。そんな落ち込んだ気持ちを晴らすような曲なんだ。気持ちを持ち直して、とにかく出かけなければ。友達だって出かけてるんだから。街に出れば何か起こっているはずだから、ってね。僕が何度も体験した状況だ。家にいると落ち込むけど、いったん外出すると気持ちが晴れる。どうして4時間前に出かけなかったのかと思う。そんな気持ちを歌った曲さ。エッグって男と一緒に書いたんだ。彼の表現はちょっとヒネリがきいていて面白い。80'sのフィーリングがあるというか。
4. Awkward
終止符の打たれていない関係についての気持ちをまとめたような曲だ。しばらくしてからその人に会ったときに、どうふるまったらいいかわからなくて気まずい気持ちになる。謝ったほうがいいのか、全く触れないほうがいいのか、奇妙な気持ち。それで同じ言葉を、ただ順番を変えて繰り返しているだけで。結局言葉は違っても同じことを言ってたりして…。
5. Just A Reminder
彼女の気持ちはとうていわからない。二人の関係が過去になっても、幸せだった頃のことがまだ思い出される。それで昔は二人ともとっても幸せだったな、って言っている。もう完全に終わっている関係でも、こんな言葉で彼女にスマイルが浮かぶ。それで自分のエゴが満足するというか…人生の足跡を残した気持ちだね。
6. Officially Yours
アルバムの中で最も感情移入の強い曲だと思う。誰かとチャンスがあった。ところがそれを台無しにした。よく男のやることだが。それでやっぱりその人とよりを戻したい。それをいろいろな比喩、映画とかを使って、表現している。かなり意味がはっきりした曲というか。全体を通してヒップホップな感覚も残しておきたかった。
7. Kinda Girl For Me
フレイザー・T・スミスと書いた曲だ。マーヴィン・ゲイとダイアナ・ロスのデュエット「ユー・アー・エヴリシング」をサンプリングしている。あのヴァージョンがとっても好きなんだ。特にマーヴィン・ゲイが好きで、この曲で使った部分だけには馴染みがあった。あの部分を使って自分の曲を作りたかった。メロディーのアイデアがそれはたくさん湧いたんだ。あの部分を基に曲を書いたんだが、“Kinda Girl For Me”というコーラスが何度も浮かんできて。それで恋する気持ちを正直に打ち明ける男の気持ちを歌った歌詞を書いた。女性に自分の気持ちを打ち明けることはちっとも悪くないんだ、って。女性に対する自分の感情を閉じ込めがちな男性は多いと思う。タフでクールな男であっても。どうにもならない女性への思いにふりまわされる男は多いと思いうから。
8. She's On Fire
アルバムで一番気にいっている曲なんだ。レゲエ、ダンスホールの要素を満載した曲で、子供の頃父から受けた影響が表われている。声を使っていろいろなことをしたんだ。歌詞は、学校の頃あまりパッとしなかった女の子、本当は美しいんだが10代特有の肌とかに悩んでいて自信がない女の子についてだ。そんな女の子が成長して美しい女性になることについて歌っている。学校にいた頃は、16歳なのに21歳みたいな胸の大きいクラスメートに囲まれて悩む、ぺちゃパイで勉強眼鏡をかけた女の子についてさ。ところがクラスメートが21歳で子供二人をかかえて疲れ果てている頃に、その女の子は目を見張るような美人になるって話なんだよ。待てば願いはかなう、ってことについての曲さ。だからあまり自信のない高校生を励ます曲というか。今きちんと宿題やってれば、そのうち君の時代が来るんだよ、ってね。
9. Don't Play With Our Love
恋愛が難しい局面を迎えたときに、僕を信じてほしい、と歌う。この愛をもてあそぶのはよそう。お互いが好きなんだから、自分の問題があってもこの関係だけは守ろうって。これからも二人の道には問題が待ち受けているだろうが、問題を解決していこう、って。エナジーのある曲なんだ。ドラムスがきいていて、キューバからの影響が強い。アップテンポで。歌詞の内容とは対照的かもね。
10. Top Of The Hill
社会の中にある違いについて触れた曲だ。愛の溢れた家庭で育つ人もいれば、そうでなくて、家族が自分のことを気にかけていてくれるのかどうか不確かな家庭というのもある。自分では家族を選べるわけじゃないし、だから努力して家族を一つにする努力をしなければならない場合もある。やっと生き延びているような家族もある。山の手にある立派な家庭に育とうが、ゲットーに育とうが、家族を一つにするという問題はだれもが抱えている問題なんだってことさ。教師や政府が家族という核を強調しているが、この問題は社会の底から変えていくことが重要だと思うね。まあ一種の政治的な曲かな。
11. This Is The Girl
この彼女こそ俺の彼女!っていう女性に会ったときの気持ちを曲にしたんだ。ケイノにしてもそうだけど、俺はハードだぞ!って気取っている男性のように、女性の気持ちをもてあそんだりしない。これと思った一人の女性に誠実だ。それについての曲を一緒に書こうということになって、彼がラップしはじめて、そこにメロディーをつけて、“This Is The Girl”というフレーズをコーラスに入れた。
訳: 高野裕子
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