『美しいバラード』― とても綺麗なものを想像させながら、さらに、力強さも秘めたタイトルだ。デビュー20周年を迎えた徳永英明。記念すべき今回のバラード・ベストは『BEAUTIFUL BALLADE』と名付けられた。数々のヒット・バラードを送りだしてきた、そして、困難も克服してきたキャリアゆえ、このタイトルを冠することができる。そう、苦しみも知るからこそ、この歌は美しい。
1986年1月21日。徳永英明は「レイニー ブルー」で、デビューを果たす。ガラスのように繊細で、かつハスキーさも帯びた唯一無二の歌声が、早くも注目を集めた。また、同年に全国50ヵ所のライブハウス・ツアーを敢行、さらに2作のシングルをリリースするなど、タフさも備えたことを証明する。この助走を経て、彼は'87年の夏にフジカラーCMソング「輝きながら・・・」でブレイクを果たす。その後も「風のエオリア」「恋人」などヒットは続き、バラード/ラブソングの名手というイメージが世に浸透した。しかし、徳永英明の名をより広めた(本作の冒頭も飾る)「壊れかけのRadio」は、バラードであるが“成長の挫折”を描いており、彼の表現の広がりを感じさせた。詞の世界に共感し、男性ファンも増加したという。
以降も、「LOVE IS ALL」のヒット、大型野外ライブやアリーナツアーの展開、スポーツキャスターへの挑戦など、順風の中でキャリアは続いていた。だが、'01年「もやもや病」の発症によりツアーの中止、1年半に及ぶ闘病と休止を与義なくされた。しかし、彼は帰ってきた。歌を届けるために。ライブツアーも'04年より再開、リリースも精力的に行い、この20周年を迎えた。ベストにも収録の最新曲「ボクニデキルコト」では、“諦めない”という強いメッセージを発している。そう、美しくあるためには、挫折や障害も乗り越えてゆく力がなければならない。まもなく45歳を迎える中で徳永英明は、この事を実証している。20年間を凝縮したバラード・ベストで、実感してほしい。(Text/hr)







