たとえば、女性の素直な日常の描写。特に恋愛を取り上げると。どうしたって、理想の世界につっ走ったり、極端な場合は下品になってしまったり…という中で、嶋野百恵の描写は、画期的だった。すごく、“まっとう”だったから。ごく普通、とか、冷めてる、とかじゃあなく、ほんとうのことを見つめてるから、オトコの心にもやたらグっと来たのを覚えてる。「baby baby,Service」の“冷まさないでいて”とか、「45℃」の“儚いの”や、「Next Lounge」の“なんて卑怯に”…と、ワン・ワードを挙げてくだけでも、ツマるものがある。
たとえば、コラボレート。いまや日常茶飯事レベルのことも(おおげさ?か)、彼女はサクサク先がけて取りいれていた。「Hot Glamour」ではアシッド・ジャズの中心的存在、インコグニート。「Lesson」では“キング・オブ・ステージ”RhymesterのMummy-D。「SOLARIS」ではRIP SLYMEのDJ FUMIYA…などなど、常にエッジィなセレクトはウナらせてくれるものだった。
彼女は、すこしの間ぼくらに姿を見せてくれなかった。しかし、止まっていたワケなんかじゃなく(…Tobbaco candyというユニットも結成…すごく、キュートで毒のある名前にニヤリ)、やりたい事をいっぱい集めて、それをだんだん披露してくれるそうだよ。
いろんな例を挙げたとおり、すごいスピードで、彼女は走っていた。しかも、そのクオリティは、ものすごく高いものだった。それがギュウと凝縮されて、またこれからも楽しませてもらえる…と思うと、とてもワクワクしてくる。まずは1曲「BlackEye」だけだが、その瞳に映っているものは…なんだろう。せっかくだ、期待と胸騒ぎを今のうちに充填しとこうか。
思い出と遊ぶでも、時の波にさらわれるでも、無い。
嶋野百恵という確かな存在を。いまこそ、感じ取ってみよう。(Text/hr)









