森山直太朗、2006年第一弾シングルである。この曲は、昨年7月から続く全国ライブ・ツアーのリハーサル中に生まれたという。そして、感動、賞賛の声に押され、晴れてリリースとなった。よってタイトルはツアーと同名、「君は五番目の季節」である。春夏秋冬、そして、君。どんな意味なのだろう。
今年の冬がラストスパートをかけた、とても寒い朝。この原稿のため、通勤の車中で初めて耳にする。古ぼけたレコードみたいな音と今のビートが交じり合い、曲は始まり、歌へ。失恋なのか、はからずの別離か。どうやら「君」と「僕」は、もう会えないみたいだ。淋しさが伝わる…というより、どこか甘えたいようなボーカルと感じた。「タンポポの綿毛」「国道のカーブ」なんて叙情を醸す言葉えらびも、しかり。その後、ゴスペルも思わせるコーラスも織り交ぜ、6分弱の歌は展開する。やはりスロー・ナンバーの名手だなぁ、なんて通り一遍の感想を抱きつつ、幾度となくリピートしていた。 何回目の再生かは、忘れたが。目的の駅に降りたち、街へ出た瞬間だった。不意にこの歌が、心の中に深く入り込んできた。いや、棲みついた?と表現したいほどの驚き。歌の中の「僕」が、胸の中で呼吸を始めた。「僕」の吐いた息はとても白く、冬そのもの。でも、街は春を呼び込もうと、やっきになっている。ふたつの風景がクロスし「君」が、到来したんだ。 でも、本当は違う。春の次は、冬が来てしまう。無いはずの「君」が来てしまうことで、ぽっかり空く胸の穴と時間− それを、五番目の季節と呼ぶのか。そう、思った。 たくさんのステージを経て森山直太朗は、さらに人の心へ入り込む歌を届けてくれるようだ。そう実感させるのに、この歌は充分な力を持っている。(Text/hr) |










