マッキーこと槇原敬之が、シングル「NG」とアルバム『君が笑うとき、君の胸が痛まないように』をリリースし、デビューを果たしたのは、1990年10月25日のこと。以来、35枚のシングルと、14枚のオリジナルアルバム、そしていくつかのカバーアルバムやライブアルバムを彼は発表してきた。デビューから18年。マッキーが世に送り出してきた数々の楽曲たちは、今なお日本中の音楽リスナーの胸を暖め続けている。
今回、マッキーがワーナーミュージック・ジャパンからリリースした11枚のアルバムが配信されることになった。デビューアルバム『君が笑うとき君の胸が痛まないように』から初のミリオンセールスを記録した『君は僕の宝物』、ダンスミュージックへ傾倒した全編英詩の異色作『Ver.1.0E
LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY』、休業からの復帰第一作にして傑作の『太陽』と、いずれもリリース時に大きな話題となったタイトルばかりが揃い、改めて槇原敬之というシンガーソングライターのキャリアの濃密さを痛感せずにはいられない。
デビュー以来、マッキーが一貫して歌い続けているのは、日常の何気ない風景の中にある、深い愛や喜び、そして切なさだ。愛しい人への気持ちを隠さず、恋人を想う時間の優しさを噛みしめ、どこか自信を持てない自分に苦笑いしながらも、少しでも前を向いて生きようと歌うマッキーの歌。そうしたマッキーの歌の魅力が一番味わえるのがラブソングである。特に『君が笑うとき君の胸が痛まないように』『君は誰と幸せなあくびをしますか。』『君は僕の宝物』の三部作は極上のラブソングが溢れるほど詰まったラブアルバムであり、中でも『君は僕の宝物』は“マッキーといえばラブソング”“マッキーといえば冬”という初期のマッキーのイメージを決定付けた名作。恋に落ちるたびに聴きたくなるアルバムというカテゴリーで、このアルバムの右に出る作品はないんじゃないかと個人的には思っている。マッキーのディスコグラフィの中でも最も人気の高いアルバムの一つだ。
“マッキーといえばラブソング”“マッキーといえば冬”という初期のイメージは、作品をリリースするごとに覆されていくことになる。楽曲のモチーフを“君”から“自分自身”へと移した『SELF
PORTRAIT』以降、マッキーの音楽はより幅広い表現性を獲得していくのだ。そうしたシンガーソングライター槇原敬之の歩みも、作品を通して味わってみてほしいところ。この偉大な、そして誰よりも身近なシンガーソングライターが、今日もどこかで歌を歌っている。そう思うと、この国が少しだけ誇らしく思えてしまう。
(text:大山貴弘)