さなぎから蝶になる。まだ新しい羽根をそっと広げる瞬間の、美しくも幻想的で力強い光景を観てるような気がした。諫山実生が今年1月にアルバム『恋愛組曲〜ONE AND ONLY STORY〜』を発売し、その後も着実な活動を重ねて迎えた4月27日。南青山MANDALAでのワンマン・ライブは、特別な夜になった。
会場の四隅に飾られた春、夏、秋、冬をテーマにした彼女の絵を眺めながら、観客はそれぞれに用意された椅子とテーブルで、くつろぎながら彼女の登場を待つ。オリエンタル風のドレスを身にまとった彼女がステージに登場すると、会場の空気が静かに和らぐ。そして1曲目「春」のアコースティックな生演奏とともに、満員の会場は“静から動”へ。ブレスする際の激しい息づかいは甘く切ない歌声を際立たせる。その歌声を耳にするとなぜだか、“今、ライブ会場にいる”という現実を忘れてしまう。コンクリートで囲まれた無機質な空間ではなく、もっとたおやかな憩いの場に佇んでいる感覚だ。
会場の絵と同様に、ライブは四季をイメージした構成で進んでいく。弾き語りであったり、バンドを従えてであったりと編成を変えながらも一定の体温を保ちながら唄う彼女の姿は、テクニックには頼らない説得力に満ち溢れていた。途中、オーディエンスから曲のテーマを募り、即興で歌を作るというコーナーも大いに盛り上がりを見せる。客席からの“アイスクリーム”“桜”“ゴールデンウィーク”等と挙がるお題の中から「ゴールデンウィーク」