デビュー曲「ひとり咲き」や「万里の河」にはじまり、「SAY YES」「YAH YAH YAH」など、CHAGE and ASKAは1979年以来数々の普遍的名曲を残してきた。そんな彼らに常にあるのが探求心だろう。楽曲の幅広さはさることながら、1983年、今では大型コンサート会場としての知名度もすっかり定着した国立代々木競技場第一体育館を初めて使用したアーティストであるとか、アイス・キューブ、NAS、ファーサイドらヒップホップのトップ・アーティストたちが楽曲提供した1994年のサウンドトラック・アルバム『Street Fighter』でエンディングテーマ「Something There」を担当したとか、あまり知られていないエピソードも彼らの周辺には多い。
ただしその一方、大物が避けて通れない弊害が彼らの実態を不明瞭にしてもいるのではないだろうか。スマッシュ・ヒットが出れば出るほど、外的なイメージと彼らの本質との間に隔たりが生じてしまうということだ。本質を知らないまま「CHAGE and ASKA=ミーハー系」というようなイメージを抱いてしまったり、あるいは聴くより前に敬遠してしまうような人も少なくないはずだ。
だが、そういう人には一度、ステレオタイプな偏見を排除してCHAGE and ASKAの音楽を純粋に受け止めてみてほしいと思う。そうすればきっと、彼らが純粋で真面目な音楽家であることがわかるはずだから。
そして「だけど「SAY YES」とかの人たちでしょー、ああいうのってあんまり好きじゃないんだよねー」というような意見をお持ちの方には、まずこのアルバムをお勧めしたい。1996年にリリースされた『CHAGE & ASKA MTV UNPLUGGED LIVE』。その名のとおり、この年にロンドンで収録されたライブ・アルバムだ。
まず特筆すべきは、このシリーズにアジア人として初めて出演したのが彼らだったという事実だ。ただでさえ厳密な審査で知られるプロジェクトである。それどころか、観客の大半はふたりの名前すら知らないイギリス人である。にもかかわらず彼らはここで、萎縮することなく堂々と素晴らしいライヴを展開している。
キー・ポイントになっているのは、アレンジの素晴らしさだ。オープニングの「HANG UP THE PHONE」を耳にした時点でその理由がわかるはずだが、他にも「SOMETHING THERE」や映画『ヒーローインタビュー』の挿入歌でもある人気曲「PRIDE」、「ON YOUR MARK」を英語詞にした「CASTLE IN THE AIR」、そしておなじみの「SAY YES」まで、すべての楽曲が理想的なアコースティック・バージョンに変身しているのだ。だから日本語のままで歌われている曲も少なくないのに、海外アーティストのアンプラグドを聴いているような気分にすらなってくる。
おそらく、ステレオタイプな印象はこの作品に触れることによって排除されるだろう。背伸びをせず、日本人としての自分たちが海外でなすべきことをしっかりと形にした作品だといえる。
(text:Steve Johnston a.k.a.Propmaster Sweet)














