2009年の春、絢香は年内での無期限活動休止を発表した。驚きや悲しみの声も上がる中、みんなの最も強い願いは「がんばれ」であったと思う。そんな応援に支えられながら「夢を味方に/恋焦がれて見た夢」、「みんな空の下」を発表、そしてライヴも活発に行ってきたが11月18日の「MTV Unplugged ayaka」が休止前のラスト・ステージとなってしまった。大阪城ホールでの1万人の招待枠に対し20万通の応募が殺到したプレミアムな一夜の模様が映像作品化、今回その中から厳選された4曲の動画と「みんな空の下」のライヴ音源が配信開始となった。
世界的な音楽専門チャンネル・MTVを代表する人気番組である『Unplugged(アンプラグド)』。プラグを抜いた、つまりアコースティックな手法と音色、そして歌声の力にこだわった企画である。アーティストの実力がハッキリと分かるスタイルであり、アリーナ級のステージで行うのは日本では例を見ない規模であった。
オーディエンスでさえ、期待と同時に緊張が高まってしまいそうなシチュエーション。しかし、絢香はとても楽しそうなのだ。残り少ない時間を多くの人たち共有できること、歌えることを満喫するように。そして、アンプラグドというスタイルだから、熱狂や興奮では無く、じんわり心底からあたたかくなる様な“うれしさ”が彼女からも客席からも伝わってくる。絢香が帰ってくるまでの時間、この姿を目に焼き付けて待っていたい。
「あなたの笑顔は誰よりも輝き/くもり空まで晴れにしてしまう/何度も高い壁/乗り越えたから/何も怖くない/ひとりじゃないよ」
ラスト・ナンバー「みんな空の下」を一つひとつの詞を噛み締めるように歌い、そしてたくさんの感謝の言葉を残して絢香はステージを去っていった。「おかえり」と言える日を待ち望みながら、彼女の強さと優しさを歌を通じて感じていよう。何も寂しくもないだろう。
(text/hr)